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【文部科学省】今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会(第2回)

情報教育支援プラットフォーム ELDI(エルディ) 事務局員の寺西です。

2月2日(木)に、「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」(第2回)が開催されました。
会議資料はこちらになります。
※会議資料のリンク先が日が経つと変更される場合があります。その場合、お手数ですが、「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」内ページからご参照ください。

2016年12月21日の「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号)」を受け、2017年3月に、現行学習指導要領が告示されました(高校は2018年3月)。
それまでの学習指導要領とは相当変化した「学力観」「学習観」「評価観」等が公開されてから約6年。
どれくらい学習指導要領の理念が浸透し、実行されているかを確かめつつ、「いま」の時点から「未来」を見つめ、そこで生きる大人たちの姿から逆算した「いま」の子供たちのあるべき姿を考え、そして子供たちの「教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方」を考える、という大変重要な検討会です。
そして、第一回目会議の議事録は下記です。

第2回目の検討会について、下記に要点を速報にてお伝えします。

(1)現行学習指導要領の改訂の背景等について

事務局より説明がありました。

  • 学習指導要領の総則において育成を目指すこととしている資質・能力
    「学校の教育目標(児童生徒に育成を目指す資質・能力)」
    「学習の基盤となる資質・能力 (言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力)」
    「現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力」

  • 指導要領の考えをさらに補足・強化するものとして「令和の日本型学校教育」が答申された。強調されているのは「人工知能(AI),ビッグデータ,Internet of Things(IoT),ロボティクス等の先端技術 が高度化してあらゆる産業や社会生活に取り入れられた Society5.0 時代が到来しつつあり,社会の在り方そのものがこれまでとは「非連続」と言えるほど劇的に変わる 状況が生じつつある。」こと。

  • このように急激に変化する時代の中で,我が国の学校教育には,一人一人の児童生徒が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるよう,その資質・能力を育成することが求められている。

  • 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は,例えばテレワーク,遠隔診療のように,世の中全体のデジタル化,オンライン化を大きく促進している。学校教育もその例外ではなく,学びを保障する手段としての遠隔・オンライン教育に大きな注目が集まっている。ビッグデータの活用等を含め,社会全体のデジタルトランスフォーメー ション加速の必要性が叫ばれる中,これからの学校教育を支える基盤的なツールと して,ICTはもはや必要不可欠なものであることを前提として,学校教育の在り方を検 討していくことが必要である。

(2)京都大学 人と社会の未来研究院 広井良典先生からのご発表

未来社会のデザイン―AIと超長期の歴史把握の視点から。

  • これまでの時代とは全く異なる時代に入っていく。従来と全く異なる発想が必要である。

  • 研究の出発点:「2050年、日本社会は持続可能か?」

  • 分析結果として、「都市集中型」か「地方分散型」か、というのが最も大きな分岐点。そして、地方分散型の方が幸福度が上がるという分析。

  • 以前から言われているが、東京に人が集まれば集まるほど出生率は低下する。都市集中は、政府財政は持ち直すが健康寿命や幸福感は低下する、という分析。

  • 昭和時代:人口が増え続けた。集団で一本の道を登る時代。
    平成時代:昭和のやり方でうまくいくと「思って」うまくいかなかった。令和時代:人口増加の山頂で視界が開けた、とも捉えられる。であれば、各人が自由度の高い生き方ができる社会デザインをすべきでは。

  • 世界人口の超長期推移として、人口は、 1:狩猟時代に増え  2:農耕時代への移行期に増え  3:工業時代への移行期に増えている。
    現状、世界人口は定常化しつつある。そんな時代を生きている。定常期のときに、人間の心に大きな変化が起きる。何らかの意味で物質的な限界が起きた時に、よりクリエイティブな成長方法を人間がみつけてきている。

  • 人工光合成、地球脱出、シンギュラリティ〜ポストヒューマン、などという「考え方」は、「いまの考え方」の延長ではないか。他の考え方が必要ではないか。

  • 何が望ましい社会と言えるのか?という議論が活発化している。GDPに代わる指標。

  • 身近に感じるのは、若い世代のローカル志向。ここ10年くらいで増えているように感じる。

  • 若者支援と「人生前半の社会保障」が何よりも大事。少子化の要因も、未婚化・晩婚化である。「人生前半の社会保障」は、国際的に見ると、日本は低い。教育が「人生前半の社会保障」の最も大事なところ。人生における”共通のスタートライン”の保障が大切。

  • OUR COMMON FUTURE(1987)「将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代を満たすような発展」を。

  • 女性の就業率が高い国の方が概して出生率は高い。

  • 持続可能な福祉社会」。これまではケインズ政策(大きな政府)、市場志向(小さな政府)の対立だったが、両方経済成長という意味では一緒。違う社会の在り方が必要になる。

  • 政府と市場の二元論ではなく「コミュニティ」

  • グローバル定常型社会

これを受けての議論の前に、天笠座長から、次のような発言がありました。

  • 次期学習指導要領では「デジタル社会」を前提にどのような手を打つか。だと思っている。

  • 向かっている社会のその先を捉えるために今回の示唆。

  • デジタル社会がどういう人類の流れの中で起きており、その先はどのようなあり方になるのか。

デジタル社会とウェルビーイングを考える、とても大事な検討会になりそうです!

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