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月刊『高校教育』11月号は “総力特集 教科「情報」”(2)

情報教育支援プラットフォーム ELDI(エルディ) 事務局員の寺西です。

本noteでも以前お伝えしましたが、月刊『高校教育』11月号は教科「情報」特集です。
本noteでは、3回に分けまして、記事の一部を紹介したいと思います。

<第1回紹介> ※10/14記事
教科「情報」のねらいと推進へ向けての課題と対応(鹿野利春)
大学入学共通テスト『情報I』のねらい(水野修治)
<第2回紹介> ※今回
誰でもできる「情報教育格差」を生まない授業実践(高田昌輝)
「情報I」の授業実践(前田健太郎)
<第3回紹介予定>
中学校までの情報に関する学習状況(渡邊茂一)
高校3年間の継続的な実践で身につける情報活用能力(特集関連企画)

誰でもできる「情報教育格差」を生まない授業実践

森村学園中等部・高等部教諭の高田昌輝氏による記事です。

2022年度から施行された高校の学習指導要領では、教科「情報」の内容がかなり改変された上に、臨時免許状の発行や免許外教科担任制の活用で情報の教員を配置しているケースも多く、このままでは自治体や学校によって「情報教育格差」が生じる可能性がある、という危機感から、情報の授業に不安をお持ちの先生が今年度からできる授業実践を紹介されています。

今回紹介する授業実践の単元は、「情報通信ネットワークとデータの活用」の「データの分析」になります。

月刊『高校教育』2022年11月号

「テキストマイニングから始まるアカルイミライの歩き方」として、具体的な授業が取り上げられており、参考になる先生方が多いのではないでしょうか。ぜひ月刊『高校教育』11月号を購入し、ご覧いただければと思います。

「情報I」は「座学」と「実習」の二つから授業が成り立ちます。教科書の穴埋めだけを行った授業であれば、範囲は終わるかもしれませんが、それは、主体的に学ぶことのできる授業ではないのではないでしょうか。
そこで、誰でもできる授業実践として、先生方に紹介するのが、オンラインプログラミング学習教材の活用です。例えば、「Progate」や「Life is Tech! Lesson」は、デザインや学習内容だけではなく、生徒が主体的に学びたくなる仕掛けがたくさんあります。

月刊『高校教育』2022年11月号

高校の教科「情報」の前に中学の「技術」分野で学習する「情報」関係領域では、問題解決の経験を積むことが強調されています。
中学時代にこのような経験を積んできている生徒に対し、教科書の穴埋めだけを行う授業では、教科「情報」を通じて生徒に育成すべき資質・能力を身につけることは極めて難しいでしょう。
理科の実験のように、生徒が実践できる学習環境が必要であり、そのためにオンラインの学習教材は力を発揮すると思います。

私としては、「総合的な探究の時間」との連携をお勧めします。学力、資質・能力は、ただ学ぶだけでなく、「ジブンゴト」として経験することで大きく成長します。

月刊『高校教育』2022年11月号

大学入試は通過点です。その先につながる主体的に学ぶ力、その中でも「情報活用能力」を育むために、「情報」と「探究」の時間の連携は、今後のカリキュラム設計において大切となるのではないでしょうか。

「情報I」の授業実践

北海道札幌北高等学校情報科教諭の前田健太郎氏による記事です。

記事の冒頭で、札幌北高等学校の年間指導計画が掲載されおてり、これだけでも参考になる方は多いのではないでしょうか。
とくに、「ネットワークと情報システム」「データの活用」にあわせて17コマ、「プログラミング」に15コマ、と、配当時数の6割以上を費やし、新しく加わった内容を重点的に取り組んでいるところがポイントかと思います。

記事では、単元ごとの授業例が細かく紹介されています。誌面では、昨年度の定期考査で出題したプログラミングの問題の一部が紹介されており、多くの方の参考になると思います。ぜひ月刊『高校教育』11月号をご覧いただければと思います。

今年度から高校でも観点別評価が本格的に始まった。本校では通知表にも観点別評価を記載することから、前期末において観点別評価の総括をしなければならない。実習で取り組んだ評価物だけでなく、定期考査も観点別に評価する必要がある。そこで考査の設問を、知識を問う問題と思考力などを問う問題に分け、それぞれの得点をもとに評価した。

月刊『高校教育』2022年11月号

学習指導要領の考え方をきちんと実践しようという素晴らしい姿勢だと思います。
一方で、そのために評価の複雑性が増す、などの課題もあったことなどが、誌面では記載されています。
課題はあるものの、課題があるからといって取り組まないわけではなく、やってみて、課題を見つけて、超えていこうとする姿勢が、記事全体から読み取れますし、そのような姿勢が生徒に伝わることが、最も課題解決型人材の育成につながると感じました。

2人の教員の記事からは、生徒のために、教科「情報」の授業技術を高めていこう!とする強い気持ちが伝わってきました。
だからこそ、前田先生の記事の最後にもある、下記の部分については、国や自治体の支援が必要だと強く思います。

道立高校ではGIGAスクール構想により今年度学生からBYODによる1人1台端末を活用した学習が始まった。このため、校内に無線LANが敷設された。(中略)しかしこれらの業務を担当する校務分掌がないため、情報科の教員が対応している。ネットワークや情報機器のトラブル対応は専門的な技術が求められることから負担が大きい。専門的な技術を有するICT支援員を学校に配置するための人材や予算の確保を期待している。

月刊『高校教育』2022年11月号

今後もELDIでは、教科「情報」の必要性と、現状の課題を多くの方にご理解いただけるような発信を続けていきます。
とくに先生方におかれましては、ぜひ公式Webサイトより入会登録し、さらなる情報をキャッチしてほしいと思います!

月刊『高校教育』11月号に関する記事は次に続きます!

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