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福岡のまちのための『ウォーカブルシティ入門』ーPART2「ウォーカビリティの10のステップーSTEP2「用途を混在させよう」

Plat Fukuoka cyclingは福岡のまちがBicycle Friendlyなまちになるために活動しています。『ウォーカブルシティ入門ー10のステップでつくる歩きたくなるまちなか』(ジェフ・スペック著、松浦健治郎監訳、学芸出版社)を読みながら、「Walkable」と「Bicycle Friendly」の関係について連載します。

前回の第1章PART1「ウォーカビリティがなぜ重要か」では、ウォーカブルが福岡という都市の生産性にとって重要であることを確認しました。第2章「ウォーカビリティの10のステップ」では、福岡市をベースとして関連が高いステップから考察していきます。最初は都市全体に関するSTEP2「用途を混在させよう」から考えます。前回はこちら。

STEP2「用途を混在させよう」ー都心居住により実現したコンパクトシティ福岡の実力と魅力的な飲食店、店舗のあるウォーカブルシティと都市の雇用、イノベーションの関係

 STET2「用途を混在させよう」にて、ジェフは近代以前の劣悪な都市環境の改善するためのゾーニングについて

ゾーニングは、公害のスプロール地域で頂点を迎える。そこでは、大きく分離された活動体制が、国民の生活に破壊的な影響を与えるハイパーモビリティを強制している。

ジェフ・スペック:ウォーカブルシティ入門ー10のステップでつくる歩きたくなるまちなか,pp112

と述べ、仕事や研究、学業と居住を分離しことが、都心部のもともと備えていた魅力(ネイバーフット)を喪失させたと指摘しています。
 一方で、このハイパーモビリティ(通勤電車)自体は、近代化におけるイノベーションの一つであることは、木下斉氏のnoteで解説されています。

ジェフ氏は、近代化の過程で生まれたスプロールという状況を経て、これからのダウンタウン(都心部)への住宅供給の重要性を指摘しています。その指摘を既に実現している都市のひとつが福岡市であることを、コンパクトシティ福岡市の実力として、紹介していきます。

用途混在の都心居住が実現しているコンパクトシティ福岡の実力

 前回記事の最後に、福岡市の昼間人口の都心部(博多・天神)の偏在を地図で紹介しました。そして、下の図は夜間人口と鉄道駅の利用者数を示したものです。ここで注目なのは、福岡市の東西を走る地下鉄空港線の姪浜駅から天神・博多駅と、南北を走る西鉄大牟田線の天神から大橋間に濃いピンクの人口密度の高いエリアが集中していることです

 さらに、この人口が集中しているエリアは都市計画のゾーニングにおいては、住宅専用地域以外となっています。つまり業務や商業のエリアに住宅、特に集合住宅が建て込むミクストユーズな都市形態となっています。下の都市計画の用途別の人口構成からわかるように、市内の住宅専用地域以外のエリアの土地利用、容積、戸数、世帯人口とも住宅専用地域よりも比率が高いことがわかります。

 つまり、福岡市はすでに住宅の用途が商業や業務エリアが混在し、そのエリアの人口集積が進んだ都市構成となっているということです。代表的なエリアとしては、大濠、六本松、薬院や白金などがあり、魅力的な飲食店や店舗、小規模オフィスが点在し、福岡のホットエリアとして常に注目のエリアとなっています。これらのエリアは、既に公共交通機関で結ばれており、かつ徒歩や自転車でも移動可能な範囲にあります。これが福岡のコンパクトシティの実力です。

ウォーカブルシティとイノベーション産業、都市の生産性との密接な関係

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