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#10Plat Fukuoka books&cycling guide移民大国オランダが自転車でつくるSocial Equity@THE HOPI COFFEES

Plat Fukuoka cyclingは福岡がbicycle friendlyな都市(まち)となるための様々な提案を行っていきます。
bicycle frendlyというと「自転車にやさしい都市」となると思いますが、私は「自転車がやさしい都市」になってほしいと考えています。それは歩行者に対しても、バイクやバス、自家用車…つまりは都市に対して自転車がやさしくできる都市でありたいと思うのです。

Plat Fukuoka cyclingの目次は下記よりリンクしていますので、ご覧ください。(随時更新)

0.Plat Fukuoka cyclingの描く未来
1.Copenhagenize Index2019を読む
2.Plat Fukuoka books&cycling guide
3.Plat Fukuoka cargobike style
4.Fecebook ページ

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 「Plat fukuoka cycling guide」では本とサイクリングで寄りたいスポットをご紹介する連載になります。第4回は前回のCopenhagenize Indexにて紹介したオランダ・アムステルダムの自転車生活に関するエッセイ本の紹介とサイクリングに寄りたいカフェの紹介です。

〇移民大国オランダと自転車がつくるSocial Equity 濱野貴子(著)『自転車のまち オランダ・アムステルダムをゆく』(産業編集センター、2010.7)

 オランダという国の印象は人それぞれと思いますが、オランダは移民大国でもあります。それだけオランダへ移住する人が多く、選ばれている国であるとも言えます(1)。本書はアムステルダム在住のアーティスト・濱野貴子氏のアムステルダムの自転車生活と日常生活を紹介したエッセイになります。
 この本で紹介されているのは、そこに住んでいる市民が使っているような自転車をレンタルできる自転車屋さんであったり、その自転車で移動して楽しみたい、市民に身近なお店の紹介が中心です。
 その中で本書には「「レッテル」フリーな自転車」という項目があり、自転車に関する重要な記載がありますので、その部分を紹介いたします。

 自転車は、乗ったから「誰々さんは云々」などというレッテルをはられることがないという点で、ニュートラルで平等主義的な乗り物です。確かに綺麗なデザインの自転車に乗っていれば目立ちはしますが、「別にそれだから?」という風なのです。身体機能が赦すならば、誰でも自転車に乗ることができます。オンボロであろうが新品であろうが、自転車は自転車、移動するための手段。たとえ車が買えなかったとしてもせめて自転車を買うことはできるでしょう。平等を尊び実利的なオランダ人気質にぴったりな乗り物なのです。

 自転車という移動手段が有する平等性は、それほど高額な買い物でなく手に入る移動手段であること、ただ自分の足でこがなければ進まないというものだけではありません。自転車という移動手段は、自動車と違いヒューマンスケールであり、自転車同士の流れのなかで、身を置くことになります。
 そうなると必然的に自分の周囲の人に対して注意と関心を払うことになり、それが自転車同士の交流へと結びつくと思うのです。これらの交流一つ一つが連鎖することで、市民にある出身や職業、その他諸々の市民の相互理解につながるのだと思います。
 濱野さんはアムステルダムでの自転車生活の中で、自身もオランダでは移民という立場から、自転車により近所の人から認識してもらっているエピソードもあり、自転車が社会の平等と融和のための手段にもなっていることを示唆しています。

〇自転車という移動手段がもつ平等性
 ドキュメンタリー映画『Why We Cycle :私たちが自転車を使うわけ』(2007)(2)にて、自転車という移動手段がもつ、平等性について言及する場面があります。

「多様性にさらされる可能性」:公共スペースで自転車に乗っていると、見ず知らずの他人に会う、自分のグループの外にいる、普段会わないような人とも会うことになる。これは自転車の乗ったり歩いたりするからこそのもの。他人に対して文字通り、すべての感覚をさらけ出してくれる。

 本映画に登場する2人の子どもを乗せて移動するムスリムの女性のシーンも印象的です。彼女は自転車で子どもを乗せて移動することで、普段関わることのない人とも交流が生まれ、それが子どもにも、本人にも社会との新しい接点となり、それはとてもうれしいと、自転車のおかげであるとインタビューの中で述べています。
 オランダは移民大国でもあり、多くの人種の人が生活しています。欧米では移民とその国の国民との間で、宗教の問題も絡み、その軋轢が社会問題になっています。それでもオランダはその問題に今でも、立ち向かっています。その解決の方法の糸口として、自転車は非常に重要な役目を果たしていると思うのです。

 福岡にも多くの海外出身の方が住まれています。Plat Fukuoka cyclingでは、自転車を単なる移動手段として捉えるのではなく、市民社会の多様性にも寄与する自転車の可能性を見据えて活動していきたいと考えています。

○Plat Fukuoka cyclingでTHE HOPI COFFEES(ホピ珈琲)
 西鉄大橋駅とJR竹下駅を結ぶケヤキ並木の通りに面したところにあるのがTHE HIPO COFFEESです。珈琲の他、自家製ヨーグルトのラッシーや、カレーやサンドイッチもあります。

※COVID-19により、提供内容が変更となっています。
最新の情報はお店ホームページ等で確認ください。

◆ホームページ:https://hopicoffee.com/

 お店でテイクアウトのカレーかサンドイッチもカバンに入れて、マイボトルにお好みのドリンクを詰め、すぐ近くの那珂川の河川敷でサイクリングとランチなどいかがでしょう。

 次々回になる「Plat Fukuoka books&cycling guide」の第5回としてドイツのコンパクトシティに関する本と、サイクリングのに寄りたいパン屋の紹介です。
 そして次回は「コペンハーゲナイズ・インデックス2019を読む」として、来週が7月24日ということで(3)日本で唯一2019インデックスTOP20に掲載された東京について意訳しつつ、比較していこうと思います〇

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〈参考文献等〉
(1)世界70カ国、100都市以上を歩いて廻り、東京からアムステルダムに移住した写真家の小野博氏の著書『世界は小さな祝祭であふれている』(モ・クシュラ、2012.11)にて、アムステルダムに流れている自由な空気が海外から多くの人を惹きつけていると述べています。

(2)本ドキュメンタリー映画はインターネットにて配信されています。
ホームページURL http://whywecycle.eu/。動画サイトvimeoにて、日本語字幕付きで、有料配信されています。

(3)幻といいましょうか、既に実現することは誰の目にも明らかな状況であるオリンピック開催予定だった日になります。


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