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ローカル・サイクルツーリズムとしてのPLAT Recontre@星井さえこ『おりたたみ自転車はじめました』

Plat Fukuoka cyclingは福岡がbicycle friendlyな都市(まち)となるための様々な提案を行っていきます。
 bicycle frendlyというと「自転車にやさしい都市」となると思いますが、私は「自転車がやさしい都市」になってほしいと考えています。それは歩行者に対しても、バイクやバス、自家用車…つまりは都市に対して自転車がやさしくできる都市でありたいと思うのです。

Plat Fukuoka cyclingの目次は下記よりリンクしていますので、ご覧ください。(随時更新)

0.Plat Fukuoka cycling vision
1.Copenhagenize Index2019を読む
2.Plat Fukuoka books&cycling guide
3.Plat Fukuoka cargobike style
4.Fecebook ページ
5.Instagramページ
6.twitterページ
7.Plat Fukuoka cyclingの本棚(リブライズ)――――――――――――――――――――――――――――――――――
 2020年、国土交通省はナショナルサイクリングルルート制度を創設し、サイクルツーリズム推進(1)を掲げています。福岡県も近年のサイクルツーリズムの動きを受けて、福岡県サイクルツーリズム推進協議会が創設され、ルートマップや宿泊施設などの情報、フォトコンテストなどのイベントも実施されてきています(2)。
 Plat Fukuoka cyclingでは、筆者がお世話になっている福岡市南区大橋にある「旅の自転車店 プラットホーム」のクローズな催しとしてサイクリングイベントを企画してきました。
 回を重ねる中で、うまれたのが今回のサイクリングイベント「Plat Recontre2021」でした。

○「Plat Recontre」の概要

210328PLAT Recontre2021企画案内書(案)_page-0001

 このイベントのスタート地点である久留米市の宮の陣橋からゴールである巨峰ワイナリーまでは、直線でたったの20キロ程度しかありません。そのため、寄り道は必須で、のんびり走ることを意図しています。

 またスタート時間も1時間の間で自由であり、かつコースの指定もしない、早さも競わない。唯一競うのは、フォトコンテストを行い、どんなコースでどんな風景に出会えたのかをコンペティションするというか、シェアすることを目的としています。

○ローカル・サイクルツーリズムとしてのPLAT Recontre

 PLAT Recontreは、サイクルツーリズムの中でも、よりその地域の魅力を発見する旅行を指すローカルツーリズム(3)と掛け合わせたローカル・サイクルツーリズムを目指しています。
 既出の記事『#6Copenhagenize Index2019を読む3 コペンハーゲンの自転車政策と新しい観光』にて、デンマークのコペンハーゲンの「知っているとおりの観光の終焉 LOCALHOODの新たな始まりに向けて」で紹介したとおり、従来の名所、旧跡に頼る観光戦略ではなく、その地元市民の生活こそが観光資源であると捉え、観光客を一時的な市民として扱うこと。観光客は、市民の一部としてその地域の生活に溶け込むように旅行を楽しみ、そのひとつひとつの体験が、地域のブランディングに繋がるという考えのもと、名所や旧跡に頼らない福岡の観光の姿を素描しました。

 この新しい観光の考え方では、市民と観光客という壁はほとんど消失します。この考えをもとに、サイクルツーリズムを考えていくと、誰もが日常的にサイクリングする姿の延長が、サイクルツーリズムであるとなります。

 建築家であり都市計画家であるキース・クリスチャンセ氏は『a+u』2021年1月号「特集 バイシクル・アーバニズム」へのエッセイ「Cycling is so great」にてサイクリングの真髄を述べています。

サイクリングをスポーツやエクササイズと見なす向きもあるが、これは昨今の異常な現象である。本来、自転車は楽しむためのものであり、その後、効率的で安価な中距離移動手段となった。私にとっては、サイクリングの真髄は、田舎にでかけて楽しんだり、仕事のために街中を動き回ることである。(4)

 キース氏のような世界的に著名な建築家であり、都市計画家が述べるサイクリングの真髄が、スポーツタイプの自転車で走り回るのではなく、普段使いのレトロな自転車であるというのが、欧米における都市計画やまちづくりにおけるすそ野の広さを表していると感じます。日本では、サイクリング=スポーツという傾向が多く、この指摘は前回の「「人」を主体とした言葉による移動 (モビリティー)のカタチのつくりかた #暮らしたい未来の都市」」にて、お伝えしたとおり、多様な自転車の姿をきちんと把握することが必要です。

 そうすると、街なかで人々が買物や通勤、通学に使っている自転車の姿の方が、スポーツのために自転車に乗る人よりも、圧倒的に多いことがわかります。
 つまり、サイクルツーリズムを推進していくことは、その都市の市民の自転車利用者のためのサービスを推進していくことと同じになると思うのです。

〇Plat Fukuoka books&cycling guide 日常の延長が旅となるサイクリングの魅力 星井さえこ(著)『折りたたみ自転車はじめました』(KADOKAWA)@BOOKSHOP 本と羊

 日常の自転車利用を少し背伸びして、少しづつ距離を伸ばしていくと自転車旅行の楽しさは徐々に広まっていくものです。星井さえこさんの著作『折りたたみ自転車はじめました』は、誰でもはじめられる自転車旅行の愉しさを魅力的なイラストで紹介してくれています。

 サイクリングの楽しみ方は、自転車でどんな風に街や自然を駆け抜けたかだけでなく、近所のサイクリングでは公園で買ったパンを食べり、偶然見つけたお肉屋さんのコロッケ、疲れた時のソフトクリームから、輪行中の寝台列車の体験など様々です。

 詳細は著者 星井さえこさんのnote「「おりたたみ自転車はじめました」が発売されます!」をご覧ください。

 そしてこちらの本は、福岡市の六本松にある本屋本と羊さんで購入しました。そして、この本を読んだかのようにコーヒー屋さんとパン屋をめぐり、本屋本と羊にたどり着き、本書を買われるまでのサイクリングをされた自転車100人カイギのキュレーターも務められている岡﨑沙和香さんが記事にされています。

『good room journal』2021.8.30「コーヒーとパン、本を求めて六本松へ。 自転車で散歩すると楽しい路地裏のおしゃれスポットをまとめました
福岡×自転車のある暮らし by Hoosiers [PR] Vol.4」

 名所旧跡は福岡になくとも、魅力的なコンパクトシティを暮らす人々の風景が福岡の魅力です。その魅力が自転車によって、さらにすばらしい魅力となるよう、Plat Fukuoka cyclingも活動を続けていきます◎

PLAT Recontreは来年も開催を考えております。
来年からは少しづつですが、オープンな催しとなれればと考えています◎

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〈参考文献等〉
(1)国土交通省GOOD CYCLE JAPANにて、ナショナルサイクリングルートの紹介や、満たすべき基準の他、国土交通省の自転車政策についても紹介されています。
(2)福岡県のサイクルツーリズム 福岡県観光連盟が提供するウェブサイト(クロスロードふくおか)にて、県内のサイクリングルートの情報などがみることができるようになっています。自転車100人カイギでご一緒した山田大五郎氏もこの協議会のメンバーとして、様々な自転車の楽しみ方を提案されています。
https://www.crossroadfukuoka.jp/cycletrail/
(3)ローカル・ツーリズムは、有名観光地を鑑賞する旅行ではなく、地域に根ざした歴史文化や日常を体験する、生活する旅行スタイル”(『おもしろかろう!!鳥取』note2019.12.24「−地域×観光の可能性を探る!−『ローカルツーリズムをおもしろがる 』イベントレポート」)より。
(4)『a+u』2021年1月号(エー・アンド・ユー)P21より。同エッセイの中で、氏は「I lile to cycle in a beautiful way on beautiful old. But comfortable biles.(私は、美しくて古い、それでいて快適な自転車を美しく乗りこなすことを好む。)」という大変美しい一文があります。単に美しいだけではいけなく、快適でなければならない。そしてその自転車を美しくの乗りこなすサイクリングとは、どのような姿なのか。サイクリングをご一緒したいものです。

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