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蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠 【おすすめ展覧会紹介】

訪問した展覧会の中から、オススメしたい展覧会について、見所をコンパクトにご紹介します。今回ご紹介するのはこちら。

蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠

会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(虎ノ門ヒルズステーションタワー45F)
会期:2023年12月5日(火)〜2024年2月25日(日)
展覧会URL:https://tokyonode.jp/sp/eim/outline/


▍会場に入る前に 気になるアレコレまとめ

  • 撮影可否:全作品、動画・静止画ともに可能

  • 入館予約:日時指定制(1時間ごと)※入れ替え制ではありません

  • 会期中展示替え:なし

  • 音声ガイド:なし

  • 図録:なし

  • その他:ロッカー利用の場合、会場の45Fにもロッカーがありますが、数が少ないのでエントランスの8Fの広いロッカーに預けるのがオススメです。

▍どんな展覧会?

写真家・映画監督である蜷川実花による過去最大規模の展覧会。会場は、虎ノ門ヒルズステーションタワー45Fに今年オープンした広大なスペース「TOKYO NODE」。

データサイエンティスト・慶應義塾大学教授の宮田裕章らによるクリエイティブ・チームEiMとのコラボレーションにより、映像インスタレーション・写真、立体展示など多様な表現方法の11作品で構成されます。

▍実際に観て感じた 展覧会の「みどころ」3つ

①ここでしか観られない作品に没入する

TOKYO NODEは、「ドーム型空間」「1,000㎡超のギャラリー」「圧倒的天高の可変性の高い空間」という3つの特徴的なギャラリーからなる会場。本展では、それぞれの会場を活かした、ここでしか見られない作品が展開されます。

例えば、入り口から暗い回廊を通った先に見える《残照 Afterglow of Lives》。いのちが生まれて散っていく生命のサイクルを表現した本作は、を色鮮やかな花、そして朽ちていく花が目の前を覆いつくし、一気にその世界観に引き込まれます。

《残照 Afterglow of Lives》/ 蜷川実花
《残照 Afterglow of Lives》/ 蜷川実花

また、ドーム状の空間の天井までプロジェクションで展開される圧倒的な迫力の映像作品《Flashing before our eyes》は、映像の迫力に加え、その背面には「地上200m」というロケーションからの夜景。(わたしは夜に訪問しました。)

《Flashing before our eyes》/ 蜷川実花

その風景を借景に映像が展開され、さらに映像作品がガラスに映り込むことで夜景と蜷川実花さんの作品が一体になるようです。

ガラスへの映り込みが夜景と重なります。

蜷川実花さんの世界観に没入できる作品ばかりです。

②観て、撮って、寝転がって…体験する展覧会

展覧会といっても、座って静かに映像を観るだけではないのも面白いところ。

《Intersecting Future 蝶の舞う景色》/ 蜷川実花

例えば、《Intersecting Future 蝶の舞う景色》は、映画監督でもある蜷川実花さんの真骨頂。映画のセット技術を活用したという、花と蝶にかこまれた桃源郷のような空間を歩き回れる作品。ここでは、皆、カメラを取り出して「観る」だけでなく「撮る」側になっていました。

《Intersecting Future 蝶の舞う景色》/ 蜷川実花

さらに、クッションに寝転がり、天井に投影された映像を観る《Blooming Emotions》のような作品も。

《Blooming Emotions》/ 蜷川実花

写真や映像をただ「観る」だけではなく、「体験」する作品群です。

③「極彩色」から「光彩色」へ。幻想的だけれど、身近に存在する美しさ

蜷川実花さんといえば、鮮やかで「極彩色」とも呼ばれる花の写真を思い浮かべることも。でも、2022年に東京都庭園美術館で開催された個展「蜷川実花 瞬く光の庭」の頃からその作風は大きく変化し、光に溢れた色 「光彩色(こうさいしょく)」の世界が展開されていました。

今回の展覧会でも、光にあふれた夢の中のように美しい世界が展開されます。

《胡蝶のめぐる季節》/ 蜷川実花 映像作品では特に「光彩色」の光の美しさが感じられます。

とても美しい風景ですが、花や蝶がいる美しい世界は、つくられたものではなく、身近に存在する世界を切り取ったもの。わたしたちがすごす日常の横には、少し視点を変えるだけでこれほど美しい世界があることに気づかされます。

《uminous Echoes》/ 蜷川実花

また、《Unchained in Chains》の中では、金魚のモチーフが多く登場します。この「金魚」のモチーフも、かつては”人の欲望を満たすためのもの”の象徴として安価に大量販売されていたものから、郊外の広い水槽で悠々と泳ぐ金魚へと変わり、それがどう生きるのか、生に寄り添うモチーフとして撮影されるようになったといいます。

《Breathing of Lives》/ 蜷川実花

コロナ禍を経ての変化も強く感じられる展覧会です。

▍個人的 イチオシ作品

今回の展示の中では小さな作品ですが、《Fading into the Silence》という作品が印象的でした。

《Fading into the Silence》/ 蜷川実花

開催中のアーツ前橋「ニューホライズン 歴史から未来へ」展でも展開されていた作品ですが、生花と造花を混ぜ、経時でその様子を撮影していった作品。造花は驚くほど精巧につくられ、一見生花と区別がつきませんが、時間が経つにつれ生花は朽ちていき、造花はいつまでもその美しさを保つ様子が撮影されています。

《Fading into the Silence》/ 蜷川実花

最初の作品《残照 Afterglow of Lives》と同様、いのちのサイクルや、朽ちてしまうからこその美しさも感じられます。


なお、TOKYO NODEのある虎ノ門ヒルズでは、「TORANOMON LIGHT ART」展も2024年1月8日まで開催中。こちらもあわせて訪問してみてはいかがでしょうか?


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