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ZEBと自然エネルギー利用の基礎知識


はじめに

みなさん、こんにちは。プランテックの環境設計担当のY.Oです。
現在、私たちの生活環境において持続可能性と環境保護は避けられない重要課題となっています。
これは建築設計の分野でも同様です。そこで、私たちプランテックは環境ソリューションを結集させ、ゼロエネルギービルディング(ZEB)をベースとしたエネルギーマネジメント提案を推進しています。
今回は、建築設計に関わる方以外の一般の方にとってもわかりやすい基礎知識をご紹介します。

ZEBとは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、快適な室内環境を実現しながら、CO2排出量を最小限に抑えるため、建物で省エネや再生可能エネルギーの利用でエネルギー消費量を限りなくゼロにすることをめざした建物のことです。

この実現のためには、光、熱、水、風といった自然エネルギーの有効活用が不可欠です。

この理念に基づいて、以下に自然エネルギーの4つの利用方法(光、熱、水、風)について、ZEB建築設備設計の基本をわかりやすく解説します。


■光の利用

太陽光発電(PVパネル)

太陽光発電は、太陽の光を電気に変換します。太陽光パネルを建物の屋根や壁に設置して電気を生成し、照明や空調などに利用します。

自然採光

窓や天窓を活用し、室内に自然光を取り入れることで照明エネルギーを削減します。日中の照明需要を太陽光で賄うことができれば、電力消費を大幅に削減できます。

■熱の利用

デシカント除湿・太陽熱利用

デシカント除湿は、湿気を吸収する物質(デシカント)を用いて室内の湿度を調整します。太陽熱を利用してデシカントを再生し、エネルギー消費を削減します。

地中熱利用

地中熱利用システムは、地中や地下水の温度を利用して、建物内の空気を温めたり冷やしたりします。地中熱や地下水の温度は一年を通して安定しており、外気温度の影響を受けにくいため、エネルギー効率が非常に高いです。主に次の二つの方法があります。
・直接利用
地中や地下水の温度を直接利用して、建物を冷暖房する方法です。例えば、夏は地中の冷たい水を循環させて建物を冷却し、冬は地中の比較的温かい水を使って建物を暖めます。
・ヒートポンプ利用
地中や地下水の温度差を利用して、ヒートポンプシステムを動かす方法です。ヒートポンプは、少ないエネルギーで温度差を作り出す装置で、この温度差を利用して、冷暖房を行います。

全熱交換

全熱交換器は、外気と室内空気の熱と湿気を交換し、エネルギーのロスを抑えながら室内環境を快適に保ちます

放射冷却

夜間、建物から宇宙へ直接熱を放射させて冷却する方法です。この冷却効果を利用 して、夏場の冷房負荷を軽減します。

■水の利用

井戸水の活用

地下水を利用して冷暖房や給水に用いることで、水資源の有効活用とエネルギー削減に貢献します。

雨水利用システム

雨水を集め、トイレの流水や灌漑などに利用します。

■風の利用

自然通風

自然通風は、建物内の空気を新鮮に保ち、冷暖房のエネルギー消費を減らすのに役立ちます。窓や通風口の配置を工夫することで、風の流れをコントロールし、室内の温度を快適に保つことができます。

上昇気流の利用

暖かい空気は上昇する性質を持っています。
建物の形状を利用して上昇気流を生み出し、自然な換気を促進するデザインもあります。


■ZEBの一例

プランテックが設計を担った「テラル本社事務所棟」では、一次消費エネルギーを基準値から78%削減し「Nearly ZEB」を実現しました。

  テラル株式会社ウェブサイト:「ZEBオフィス誕生」

自然エネルギー「光、熱、水、風」を活用

■まとめ

ZEB建築設計では、これらの自然エネルギーの利用を最大化し、エネルギーの消費を最小限に抑えることが目標です。

これにより、快適な居住空間を提供しながらも、環境への影響を大幅に減らすことが可能になります。

自然エネルギーの利用は、技術的な側面だけでなく、建築設計の創造性やレジリエンス的な要望でも注目される分野です。これに応えるため、今後もより完全なるZEBの開発を進めていくことが重要です。

2023年には、経済産業省や環境省の取組のもと、「ZEBプランナー評価制度」がはじまりました。ZEBの実現に向けたオーナーへの働きかけを積極的に行う設計会社、設計施工会社、コンサルティング会社などをZEBプランナーとして登録し、広く公表する制度であり、その制度においてプランテックは最高のランクとなる5つ星の評価を頂きました。

【リンク】プランテック  ウェブサイト_ZEBプランナー制度 受注目標・実績

プランテックは、持続可能な建築設計とエネルギーマネジメントの融合により、環境への負荷を最小限に抑え、より快適で持続可能な建物の実現を目指してまいります。

次回は、建築設計者にとって役立つZEB設計に必要な知識をご説明いたします。最後まで御覧頂きありがとうございました。