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未来のレースを描いたSF映画[5選+α]|①徒歩,バイク,カーレース...

こんばんは ぷらねったです
時には未来の乗り物を使った 現実世界には存在しない 映画オリジナルのレース競技
今回は「勝ちぬけ...未来のレース競技を描くSF映画」というテーマで そんなSF映画を紹介していきます
記事の終盤では番外編として まだ映画化されていない 興味深いレースも紹介させていただきます

1.ヴィナス戦記 (1989年)

監督は 安彦良和
オリジナルの競技『ローリング・ゲーム』が描かれる アニメーション映画です

舞台は21世紀初頭
金星は小惑星との大衝突によって環境が激変し 人類が生活可能な惑星となっていました
金星の植民が開始されてから半世紀余り 金星は強大な軍事力を誇る"イシュタル"と肥沃な国土に恵まれた"アフロディア"の二大自治州に別れ 対立は深刻化
そんな中 レースチームに所属して『ローリング・ゲーム』に興じていたイオ・シティの少年ヒロは アフロディア軍の技術士官シムスにスカウトされます
やがて戦争が勃発し 戦闘部隊“HOUND”の一員として出撃したヒロは 大きな歴史のうねりに呑み込まれていく...というストーリーです


「機動戦士ガンダム」の作画などで知られる 安彦良和監督自身の漫画を原作として アニメ映画化されました
作中では 居住可能になった金星を舞台にしていますが これはあまり聞いたことのない設定です
金星で行われる競技『ローリング・ゲーム』とは...2チームでおこなわれる バイクレースを発展させたような競技です
作中では キラーコマンドーズvsヴィナスバーバリアンズの試合が描かれています
それぞれB級リーグに所属しているということなので クラス制のリーグになっており 人々にとっては賭けの対象にもなっているようです


内容としては 純粋なレースだけではなく さまざまな方法でポイントを加算することで勝敗が決定します
まず 半周離れた状態でレースが開始され 相手選手を周回するごとに1ポイント 周回した相手がチームリーダーだった場合は3ポイント
さらに 相手選手をクラッシュさせることでも1ポイント入るようです
競技に使用されるのは バイクのような形の自動1輪車で かなりのバランス感が要求されそうです
チームには整備士も用意されており バイクが壊れたとしてもピットインで修理後に復帰することが可能になっています
『ローリング・ゲーム』が描かれるのは映画の冒頭部分のみですが ちょうどこの部分はYoutube上に公式で公開されていたので 記載させていただきます



映画の内容としては 少し地味なストーリーなのは否めませんが 魅力的な世界観が描かれます
「AKIRA」の次の年に公開され そこからの影響も感じる 本作品
SFアニメ好きの方は ぜひ観てみてください

2.バトルランナー (1987年)

監督は ポール・マイケル・グレイザー
アーノルド・シュワルツェネッガー主演の 野蛮なテレビ番組を描いた映画です

舞台は2017年 極度に管理された未来社会
食糧,天然資源,石油は不足し 世界経済が崩壊している中で アメリカでは警察権力が独裁政権を持ち 貧富の格差は広がっていました
国民は娯楽や芸術まで厳しく規制される中 テレビだけが民衆に与えられた数少ない娯楽です
自由を叫ぶ民衆は虐殺されていく中で 人々の人気を集めていたのが『ランニング・マン』というリアリティー番組であり 囚人たちはこのTVショーに参加させられ 生死を賭けたゲームをプレイさせられるのであった...というストーリーです


製作費は 2700万ドル
リチャード・バックマン名義の スティーヴン・キングによる原作を元に制作された映画です
かなりのディストピアとなっており 労働者が暮らすエリアでは 夜12時以降外出禁止のルールになっていたり"家族を通報すればポイント2倍"というアナウンスがされている 暗黒社会です
映画で描かれるエリアでは学校が閉鎖されたため 子どもはテレビばかり観ているようです


本作品で描かれる野蛮なテレビ番組『ランニング・マン』で行われるレースとは...日曜夜8時から11時に放送される 司法省の協力で制作された 国民的テレビ番組です
番組が仕入れた凶悪犯とされる3名を 狩りの獲物である"ランナー"として巨大なコースに放ち 正義の"ストーカー"がそれを追って 処刑する様子を生中継するリアリティーショーです
会場は過去に大地震が起きた痕跡の残った場所とされ 400メートル四方の区画に分かれています
まず 競技の開始時には ランナーの3名がスタジオにセッティングされたボブスレーのような装置に固定された上で ダストシュートのような穴に投下され 超高速のスピードで会場へ向かわされます


その後 スタジオの観客1名がストーカーを指名し こちらも会場に向かいます
映画内では最初に"プロフェッサー・サブゼロ"と呼ばれる人物が指名されており 相手を無残に刺身にしてしまうのが特徴だそうで 過去に30人以上を仕留めた実績のあるストーカーだそうです
ランナーの勝利条件は 殺されず 3時間以内にゴールへたどり着くことであり 勝利すれば 莫大な賞金を得た上で無罪放免自由の身になって 南国で暮らす権利を得られる...表向きはそういうことになっています
基本的になんでもアリのルールになっていますが ランナー側が丸腰なのに対して ストーカー側は チェーンソーや火炎放射器といった危険な武器を使用する 極めて不公平なバランスの競技です
例によって 国民の賭けの対象にもなっており もはやランナーは負ける前提のコマ扱いという様相です


本作品は 撮影後に監督が急遽交代したことも影響したのか アーノルド・シュワルツェネッガーを主役に据えたにもかかわらずカルト感の強い内容で そこまで興行的に盛り上がらなかった映画でもあります
しかし 劇中でディープフェイク技術の描写が登場するなど 未来で実現された技術を予見していた鋭い視点も持ちます
また シュワルツェネッガーによる「アイルビーバック」というセリフも登場するのも見どころかもしれません
囚人が爆弾付きの首輪を付けている描写もありますが この辺りは1991年の「ウェドロック」が影響を受けたのかもしれません
個人的には 映画内で流れる安っぽい音楽が気に入っている 本作品
オリジナルの競技に注目して 観てみてはいかがでしょうか

3.ヒューマン・レース (2013年)

監督は ポール・ハフ
死の耐久レースが低予算で描かれる Z級SFアクションスリラー映画です

ある街から 突如見知らぬ場所に転移させられてきた 80人の老若男女
彼らは困惑しながらも 謎のデスゲームに強制参加させられることになります
それは 勝者がたった1人しか存在しない 理不尽極まりない命懸けの競走
状況を把握できていない80人の気持ちなど置き去りにして 無情にもゲーム開始の合図が鳴り響く...というストーリーです


製作費は公表されていないようですが 明らかに低予算な内容となっています
『ヒューマン・レース』とは...80名が参加し 勝者1名のみが生き残るという 地獄の競争です
この競技はさまざまな特殊ルールをもちます
・「学校,家,刑務所は安全地帯」
・「矢印に従わなければ命はなく コースを外れてもいけない」
・「2周遅れになってしまったり 草に触れてはいけない」
・「レースを拒んではいけない」ということが作中で説明されています
これらに違反すると なぜかすぐに頭部が爆発してしまうのです
レース開始直後 ルール説明を聞く前に死んでしまう者もいて 他の参加者によって殺されたりするケースもあるのです


80名の参加者は老若男女さまざまな人々で構成されており 彼らの中には歩行困難な者から小さな子ども そして 自称ツールドフランスで優勝したと語る者までいます
参加者が1名減るたびに残り人数がアナウンスされますが 頭部爆発シーンはまさに低予算 Z級といった風情です
正直言って かなりアイデアが先行した作品であり 冒頭とラスト以外の内容は空虚なのですが それも考慮したのか 87分という潔い短さになっています


いったい この狂った競技の主催者は誰で 参加者はどんな基準で選ばれたのか
そして勝者は誰になり そこには何が残るのか...
ある意味「SAW」シリーズのような ソリッドなシチュエーションで描かれる本作品
スプラッター要素や くだらない結末も問題ないという勇気のある方は よければ観てみてください

4.スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス (1999年)

監督は ジョージ・ルーカス
作品のメインテーマではありませんが オリジナルのレース『ポッドレース』が印象的に描かれています

舞台は前3部作からさかのぼること約30年前の世界
通商連合の調査に向かったジェダイ騎士は その背後に銀河征服を企む暗黒卿の存在を知ります
ジェダイ騎士であるクワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービは 砂の惑星タトゥイーンでひとりの少年 アナキン・スカイウォーカーと出会います
アナキンに秘められたフォースの力を感じ取ったクワイ=ガン・ジンは 彼をジェダイ騎士団に加入させようとする...というストーリーです


『ポッドレース』とは...ポッドレーサー またはポッドと呼ばれる極めて高速で走行可能なレーシングマシーンを使い 最も短時間でゴールに到着したパイロットが勝者となるカーレースです
パイロットには強い反射神経が必要とされ 基本的には人間種族がレースに参加するのは困難とされています
レース中には 故意に衝突してライバルを撃墜することも当たり前になっており コース内の障害物にぶつかって自滅してしまうプレーヤーもいます
レースは銀河系各地で行われ 人々にとってはギャンブルの対象として楽しまれてもいるのです


ちなみに 映画公開当時の1999年には NINTENDO 64で「スターウォーズ エピソード1 レーサー」というタイトルで ポッドレースをテーマにしたゲームも発売されています
もはや説明不要の 名作スペースオペラシリーズにも登場する オリジナルのカーレース
観たことのある方も ぜひ今一度 『ポッドレース』に注目して観てみてください

5.デス・レース2000年 (1975年)

監督は ポール・バーテル
ロジャー・コーマン製作で描かれる 殺人カーレースがテーマのSF映画です

舞台は 西暦2000年
国民からの絶大なる人気を誇る "デス・レース"が 今年も開催されます
昨年の優勝者であるフランケンシュタインや 嫌われ者のマシンガン・ジョーなどによるデッドヒートがはじまる...というストーリーです


超低予算の30万ドルで製作されたとは思えない 過激な演出が魅力の映画です
『デス・レース』とは...レース中に一般市民を轢くことで その市民の年齢や性別に応じてポイントが加算されるという 野蛮なルールを持ったカーレースです
本作品では 大部分でデス・レースのシーンが描かれています
登場人物たちが搭乗するのは まるで 幼いころに見たアニメ「チキチキマシン猛レース」の要素を感じさせる 個性あふれる車の数々
その車体は なぜか動物をモチーフにしたデザインばかりです


見どころは 臨場感あふれるグロテスクさの "ポイント獲得"シーンだけではありません
フランケンシュタイン そして同乗するアニーがもつ レースの勝利以外の目的が明らかになっていく脚本も 大きな魅力です
時おり なぜか気の抜けたBGMが流れたりする意外性もあります
また 「ロッキー」や「ランボー」シリーズなどで知られるシルヴェスター・スタローンが マシンガン・ジョーの役で出演していますが ブレイク直前の時期であったため 格安のギャラで済んだそうです


ちなみに 1976年に 本作品のアーケードゲーム版が開発され 日本でも発売されたことがありますが
その過激さが大きく問題視され 日本においては 電気用品取締法違反の容疑で 輸入業者が逮捕されるに至った経緯があります
2008年には「デス・レース」というタイトルでリメイクされ 4作目まで続編も製作されています
こちらのリメイクでは大幅にルールが改変されており「人を轢くこと」によるポイント加算がなくなり レース映画らしい映像になっていますが 「バトルランナー」をそのまま引用したような内容であり オリジナル版の精神性は綺麗サッパリと消失
また 2017年にふたたびロジャー・コーマン製作で公開された「デス・レース 2050」のほうは今作と同じようなルールなのですが コメディに寄り過ぎていて やっぱりオリジナル版が圧倒的で 一番魅力があると感じます


それはともかく 謎を秘めたフランケンシュタインが 狂った世界でレーサーとして活躍する 斬新なヒーロー像を生みだした本作品
唯一無二の魅力をはなつ 野蛮なカーレースを描いたSF映画となっています

番外編. 死のロングウォーク (1979年)

こちらは映画ではなく リチャード・バックマン名義の スティーヴン・キングによる小説です
まだ映画化されたことはありませんが 興味深い競技なので紹介させていただきます

舞台は近未来のアメリカ
年に一度"ロングウォーク"という競技が開催され テレビでの生中継もされていました
16歳の少年レイ・ギャラティは 母親に引き止められながらも ロングウォークへの参加を決意します
競技が進むにつれて 多くの競技参加者"ウォーカー"達は次々に射殺され 空腹や怪我などによる肉体的, 精神的な苦痛に襲われるため 競技は苛烈を極めていきます
参加した少年のほとんどはロングウォークへの参加を後悔し ギャラティは家族や恋人との再会を果たすべく 優勝を狙う...というストーリーです


『ロングウォーク』とは...簡単に言えば とにかく休憩なしで歩き続けなければならない競技で いくつかの特殊なルールをもつ競技です
・歩行の最低速度は時速4マイルで これを下回ると警告となる
・警告は3回までで 4回目には射殺などによりロングウォークから除外される
・警告を受けてから1時間の間に次の警告を受けなければ 1回分の累積が消滅する
・競技は 99人が死亡し ウォーカーが最後の一人になるまで継続される
そして ・優勝者はどんな賞品でも受け取ることができる といったものです


こんな競技であるにもかかわらず 12歳から18歳までの男子の大半がロングウォークに出場する為のテストを受け 合格するのは50人に1人だそうです
その他にも ・1日1回朝9時に 濃縮食の入ったポケット付きのベルトが配給される
・要求した場合のみに限り 水の入った水筒が兵士から渡される
ということになっています


今回紹介した「ヒューマン・レース」なんかよりも 競技としてのルールがしっかりしており 映画化されていればよかったのにな...と思う内容です
スティーヴン・キングが大学1年生のときに書いた 初めての小説だとされる 本作品
個人的には ぜひ映画化してほしいと思っています

あとがき

今回は「勝ちぬけ...未来のレース競技を描くSF映画」というテーマでの SF映画紹介でした
ポッドレースだけは体験してみたいですが それ以外は厳しそうなレースばかりです
未来のレース映画は 第2弾まで予定していますので ご期待ください
最後までご覧いただき ありがとうございました

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