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本に囲まれると安心する現象を何と名付けようか #本棚をさらし合おう

あきらと氏がやってくれました。

何だって?2年間も放置している本棚を紹介していいよって?やれやれ....

楽しいじゃないですかやだ―!

そのかわり、2年分だからとんでもなく長いよ。覚悟してね。

(あきらと氏へ。やっぱり結構本棚変わってました。まる)

最近はいろいろな場所に行くのがためらわれるので、欲望をあおる紀行文を中心にピックアップしました。

では、どうぞー。


酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記 著者:恩田陸

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これは笑うための本です(←違う)。

恩田陸さんといえば耽美でダークで素晴らしい小説を書くお方なんですが、恩田さんのエッセイは基本的に大笑いできます。

恩田さんは、実は飛行機が大嫌い。

しかし、これは「アイルランドとイギリス」の紀行文です。

そう、飛行機でとビューーーンと行くんです。

飛行機恐怖症の方が、のだめカンタービレの登場人物(飛行機嫌いの)千秋君に縋りながら(どうして縋ったのかは本人も謎らしい)初めて飛行機に乗るんです。

まず、そこから同情を禁じ得ない。でも面白い(悪い読者でごめんなさい)

冒頭の91ページまでは、普通に失神するんじゃないかと心配になるほどの飛行機への恐怖で彩られている。

読書好きな恩田さんは、出立前にあまりにも怖すぎて、「恐怖で恐怖を打ち破ろう」という思考に陥り、まさかのハイジャックのミステリや飛行機事故で亡くなった方の周囲の人々が語るエッセイなどを選択している。

どうしてか手が伸びてしまったという……本人も「なんで」って言っていた。

もちろん、安全な地面に降りたのちのイギリス・アイルランド紀行も恩田さんの鋭い突っ込み、相棒の編集者の方とのやり取りが最高に面白い。そして行って酒、パブで酒、帰ってホテルで酒。

…………いや、どんだけ飲んでんの!?

この本の中には海外だけでなく、後半に日本国内の紀行文もあるのだが、某有名出版社の皆様で飲んだくれの旅に行くという内容である。

羨ましすぎるのでお酒に強い人は要注意。おいしそうでしょうがないので、お酒弱い人も要注意。そして海外のご飯は量が多いので当然注意。

どう頑張っても飲みたくなる、これ。


遠い太鼓 著者:村上春樹

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ずーーっと家にあって、それで最近読みました。

読了して、ふぅと満足の溜息をついたのち、「アホ自分」と突っ込みを入れました。なんでもっと早く読まなかったんでしょうか。

ちなみに、この直前に「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を読了したのですが、文体というか雰囲気がそっくり。

村上春樹その人を(もちろん一部でしょうが)見せてもらえたようで、なんだかうれしい気分。

しかし、ローマってカーステレオ盗まれるんだなぁ……。(著者記載当時)

思わず「えええええ」と声に出して驚いてしまいました。やっぱり日本は平和なんですね。

作中、ランニングする村上さんVS白い大きな犬や、外国の閑散期特有の長閑な雰囲気。

そして、長く過ごすからこそ得られるたくさんの人との関わりを見て、できるなら海外に長期滞在したいなぁと考えてしまう。

村上さんはローマを拠点にしながらも、ギリシャなどの多くの場所で賃貸で借りて小説を書き続けた。

こういう風にフットワークが軽いって、やっぱりすごいなぁ村上さん。(ちなみに、インターネットラジオの「村上ラジヲ」に絶賛ハマり中)

ちなみに現在、同著者の「ラオスにいったい何があるというんですか?」を読書中です。

そして、ぼくは旅に出た。始まりの森ノースウッズ  著者:大竹英洋

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Amazonで直感的にポチッた本になります。

――すっごく、よかった。すっごく。

写真家になる方というのは、とんでもない行動力や人を引き付ける魅力があるようです。

大竹さんは写真家になろうと思い立った時、不思議な夢を見て、人生をかけて追いかける被写体を、狼に決めました。

そして、その直後、都内の図書館で偶然、ナショナルジオグラフィックにも掲載されている有名な写真家、ジム・ブランデンバーグの「ブラザーウルフ」という写真集に出会います。

そこからがすごい。

本人にとっては当然な、しかし他から見たらとんでもないとしか言いようがない行動力を発揮。

ジムの写真集を読み込み、撮るフィールドからジムの住むところを予想。

そして、単身、日本人にとっては殆ど知られていない土地、「ノースウッズ」へと向かい、高名な写真家に弟子入りを志願する……。

これは、大竹さんがスタートするときの、小説ではない嘘偽りない冒険譚。読めば読むほど、根源的な部分が奮い立つような気持ちになる。

これは、ぜひとも読んでほしいなぁ。


夜の魂 天文学逍遥 著者:チェット・レイモ

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自分は宇宙が好きなようで、なぜだか本棚には、勝手に宇宙関係の本が収まっています。

いうなれば、ふと気が付いたら似たような服ばかりクローゼットにあるのと同じ感じ。

星座の伝承を集めた本、月の事典、ハッブル宇宙望遠鏡の写真集などなど。

ただ、その中で「もっとも詩的にして、最も美しい」。

天文学・物理学者である著者、チェット・レイモ氏の眼差しには、常に宇宙の神秘が映ります。

散歩で歩く橋の下、そこから見る水面の中に宇宙を見つけることができる著者。

空に瞬く小さな星ではなく、時空を超え・重力を越え、彼は宇宙の中に響く音を聞くことができる。

未だ人が到達しえない領域で生まれ出でる星の産声、死にゆく星の音ーーー。

宇宙は、なんて、広いのだろう。この本を開くたびに、頭上の遥か彼方まで広がる膨大な風景に圧倒され、そして自分自身が溶け込みます。

大いなる時間を心に描くことを許され、寿命という枠組みさえ著者を縛ることはきっとできない。

チェット・レイモは、今も、どこまでも静かな眼差しで世界を見つめているのでしょう。

アイルランド妖精物語 著者:高畑吉男

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小泉八雲のふるさとでもある、アイルランドに伝わる妖精譚。

それを人々に伝える語り部・高畑吉男さんは、コロナ拡大以前から、アイルランドで地元の人たちが語り継ぐお話を収集しています。

妖怪は「空想のもの」と思って、彼らが少し遠い場所にいってしまった日本とは違い、アイルランドの人々はまだ、ものをなくすと「『あの人達』に借りられちゃったのよ」と当然のように笑ってくれる。

奈良のように観光化されていない不思議な岩や、聖なる泉、朗らかなアイルランドの人々、高畑さんがアイルランドで過ごしたからこそ伝わってくる、ここからは遠い大地が持つ豊かな穏やかさ。

ページをめくるたび、読者である自分自身がアイルランドにいるような錯覚を覚え、まだ見ぬ国に親しみを感じます。

そして、著者が集めた数々のお話、「ちょこっと妖精学」に彩られた一冊は、物語を書く人間なら必ず読みたい一冊。

当然、「アイルランドに行きたい」と、強く思う切っ掛けにもなりました。

※高畑さんは、現在国内で語り部として妖精譚を語っています。ご興味ある方はぜひ、高畑さんのTwitterをご覧ください。


森と氷河と鯨 著者:星野道夫

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いい加減しつこいかなーと思いつつ、それでもこれを避けることはできないと何度目かのピックアップ。

尊敬してやまない星野道夫氏の本であり、彼が出した最後の本となります。

星野さんが追いかけたのは、「ワタリガラス」の伝承。

アラスカの人々にとって、始まりの神であり最も神聖な存在ですが、知っての通り、今もなお生き、大空を羽ばたいて北方に生きるワタリガラス。

星野さんは、「伝承のワタリガラス」を追う過程で、現代人である私たちが忘れ去ったものを、古老たちから託された一人のインディアン・ボブと出会います。

旅は様々な人と出会い、話を聞き、広大な自然の中にありながら、不思議と一本の道をたどっているように見えます。またそれを、星野さんも作中で感じている。本当に神話で語られたトリックスター(悪戯好き)のワタリガラスに導かれているようだなと思うのは、自分だけでしょうか。

この本に感化され、ワタリガラスの伝承を研究したいと思うようになった。

※もしワタリガラスについての文献を知っていれば紹介してください。絶賛募集中です(懇願)

日本では、最初の天皇である神武天皇を導く役割を与えられたヤタガラスは、「ヤタ=大きい」という意味であることもあり、ワタリガラスではないかといわれています。

アイヌの人々が「老大なるワタリガラス」として敬うように、北海道でワタリガラスに出会えるかもしれません。

いつか、であってみたいなぁ。



……以上、紀行文特集でしたっ!!(実はまだたくさんあったけど泣く泣くやめた)

題名にアマゾンリンクを貼っているので、「ぜひとも読んで~」な圧が、すごく強い文章になってしまって反省しています。ごめんなさいすみません。


というわけでいい加減、本棚整理しなきゃまずいわーと思い知った千羽はるがお送りしました。

あきらとさん、ステキかつ掃除意欲を奮い立たせてくれる(?)企画をありがとうございました!!



写真のお供:「ポストカード蛍/しゅんしゅん様」「ミネラルマルシェ戦利品クリスタル」


現場からは、以上でーす!!




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