【開催レポート】インパクトスタートアップスタジオ ワークショップ③
2024年11月2日(土)、郡山市社会起業家加速化支援プログラム「Impact Startup Studio」のワークショップ③が開催されました。
今回は、一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ 共同代表 / ソーシャルフリーランスの土岐 三輪さんを講師に迎え、社会的インパクトの可視化の手法について学びました。
「Impact Startup Studio」とは?
「Impact Startup Studio(以下、ISS)」はこおりやま広域圏を対象に、社会課題解決を目指すスタートアップを支援するプログラムです。
起業家向け:「ソーシャル・アントレプレナー(SE)コース」
第二創業向け:「ソーシャル・トランスフォーメーション(SX)コース」
の2コースを設け、合計10名の採択者の皆様には、資金提供やビジネスの拡大に必要なメンタリング、専門家からのアドバイス、ネットワーキングなどを提供し、地域資源を活かして社会インパクトを創出することをサポートします。
ワークショップ概要
本プログラムでは、集合型ワークショップとして、全国の先行するロールモデル企業や専門家によるワークショップ型のレクチャーを行います。
講師は、東北にゆかりのある専門家やロールモデル企業の経営者をお呼びし、ワークショップ型のレクチャーを実施します。
第3回 ワークショップゲスト
ゲスト. 土岐 三輪さん
一般社団法人インパクト・マネジメント・ラボ 共同代表
ソーシャルフリーランス
東京生まれ。大学にて環境問題を専攻。
「地球にやさしい」を科学的に定量化する手法を学ぶ。ITコンサル企業を経て、環境系ベンチャーにて環境・省エネ・CSRコンサルティングに従事。
2011年、東日本大震災を機にNPOへ移り、地域経済の復興支援に従事。 2013年から3年間、バングラデシュの農村における女性の収入創出事業に携わる。
2016年に帰国後、社会的インパクト投資、社会起業家・NPOの経営伴走支援。
2019年6月よりフリーランスとして独立。
社会的インパクトを創出する事業づくり、NPOの事業伴走支援、SDGsコンサルティング、 ソーシャル分野の事業開発を手掛ける。
グロービス経営大学院卒(MBA)。
レクチャー
本ワークショップでは、社会性を持った事業を効果的に構築する方法について、ロジックモデルを中心に講義が行われました。
社会性のある事業を構築する
社会的なインパクトの創出を目指す事業において、目的(ビジョン)とその達成手段の整理が重要です。ここでは、「縦型ロジックモデル」と「横型ロジックモデル」の2つのフレームワークを用いて、事業の目的達成に向けた道筋を具体的に可視化する方法が紹介されました。
その要点を一部ご紹介します。
縦型ロジックモデル
縦型ロジックモデルは、目的(ビジョン)から逆算して事業の手段を構想するためのピラミッド型フレームワークです。
これは「変化の理論」や「バックキャスティング」とも呼ばれ、社会的インパクトを持つ事業構築において広く使われています。
縦型ロジックモデルを使うと、事業の目的と進むべき道筋が明確になります。複数の事業案がある場合、それぞれがどの段階で目的に貢献するかを視覚的に整理し、比較が可能です。
さらに、事業を目的から逆算することで、その事業の存在意義や方向性が確認でき、目的と手段が一致しているかの検証にも繋がります。
横型ロジックモデル
横型ロジックモデルは、事業の道筋を事業の開始地点から明らかにし、実際にどのような変化(アウトカム)や最終的な社会的影響(インパクト)を生み出すのかを視覚的に整理するためのフレームワークです。
縦型ロジックモデルが「目的(ビジョン)から逆算する」方法であるのに対し、横型は「事業を起点として目指す変化を順を追って示す」という特徴があります。これはフォワードキャスティングの手法で、事業の進行とともに成果がどのように積み重なり、最終的に社会的な影響をもたらすかを具体的に描き出します。
土岐さんは、横型ロジックモデルを「事業の地図」だと説明しました。
行き詰まった際には、この横型ロジックモデルに照らし合わせることで「正しい方向に向かっているのかどうか」を確認できるという、まさに地図のような存在です。
社会性を測る「指標」
指標とは、事業活動のアウトプットやアウトカムを測定するための「モノサシ」です。指標を設定することで、活動が計画通りに進んでいるか、あるいは目指す変化を生み出せているかを確認できます。
土岐さんからは具体例を交えながら、指標の立て方や検証方法について説明がありました。また、指標はあくまでアウトカム(成果)を測定するための手段であり、目的そのものではありません。
他者のモノサシではなく、事業に即した自分たちのモノサシを用いることが推奨され、指標の設定が事業の目的と一致しているかを常に確認することが大切です。
ワーク
土岐さんからは「前提として、ロジックモデルの作成において、完璧な正解はない。重要なのは自分たち自身が納得し、事業の意義や道筋に腹落ちできること」だと説明がありました。
レクチャーを受け、採択者は実際の事業アイデアをもとに横型ロジックモデルを作成しました。
参加者からは、事業の中期アウトカムと長期アウトカムの違いや、指標の具体的な設定方法についての質問が寄せられました。
これに対して土岐さんからは、
とのアドバイスがありました。その他、採択者それぞれの事業に合わせたロジックモデル作成のコツやフィードバックをいただきました。
ロジックモデルを使用した事業の進め方
ワークの最後には、ロジックモデルを使ったPDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルを回しながら、事業を進めていく方法がまとめられました。
ロジックモデルは作成して終わりではなく、事業を走らせる中で定期的に振り返り、「自分たちは地図の通りに来ているのか、このまま進んで本当の目的にたどり着けるのか」という視点で活用していくことが重要です。
おわりに
本プログラム(ISS)は今後もワークショップや外部講師を招いてのレクチャーなど、さまざまな支援内容をご用意しております。
これからの報告もお楽しみに。
本プログラムについてご興味を持っていただけましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
お問い合わせ
株式会社プレイノベーション(担当:堀江・松井)
info_iss@plainnovation.com
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