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哲学と宗教全史

"人間が何千年という長い時間の中で、よりよく生きるために、また死の恐怖から逃れるために、必死に考えてきたことの結晶が哲学と宗教の歴史でもあります。もしかすると、どこかに明日への扉を開く重大なヒントが隠されているかもしれません。少なくとも僕はそう信じて、この本を書きました。"2019年発刊の本書はビジネス書大賞2020特別賞受賞、ビジネスパーソンに向けたシンプルでわかりやすい哲学入門的一冊。

個人的に学生時代はおろか、社会人になって【ようやく哲学本に触れるようになってきた】事もあり、自分向けかな?と手にとりました。

さて、そんな本書は還暦でライフネット生命を創業、国際公募により現APU(立命館アジア太平洋大学)学長をつとめ、博覧強記でも知られる著者が、多忙なビジネスパーソン向けに少しでも哲学や宗教に興味を持ってほしいと【なぜ、今、哲学と宗教を同時に学ぶ必要があるのか?】から始まり、宗教が誕生するまで、そしていよいよ世界最古の宗教ゾロアスター教の発生、哲学の誕生から現在まで【3000年の東西の人類史】を、最新の学説を踏まえて("文殊"菩薩→満州といった雑ネタも挟みつつ)極めて平易な文章で解説してくれているわけですが。

おそらく本書はいわゆる【専門家、研究者を対象にせず】に、初学者に向けて【わかりやすく文章で、同時に『公平な視点』を紹介するか】に【相当な工夫と勇気が必要であった】だろうことが伺える『洗練された内容』になっているわけですが。本書内で約200冊と豊富に紹介されている文献のうち、半分も読めてない私でも、バラバラだったパズルが【頭の中で組み合わさる気持ちよさ】があって、興奮しながら最後まで読まさせていただきました。

また、これも私だけかもしれませんが。西洋重視の哲学・宗教書だけの勉強だと『点』というか当然にあったであろう当時の先進地域【アジアやイスラーム文明の影響】といった『文脈』が語られずに『釈然としない学び』になることが多いように感じられるのですが。本書ではそのあたりを丁寧に、また心配してしまうくらいに哲学はもちろん、宗教の思惑を忖度せず(笑)【ばっさりと合理的に解説していて】流石だな。と感心しました。

哲学な宗教を学ぶ最初の『入り口的一冊』として、また既に何冊か哲学、宗教関係の本で学んでいる人の『体系的理解』のサブテキストとしてもオススメ。

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