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「対意識高い系」フラニーとズーイ

"世の中には素敵なことがちゃんとあるんだ。紛れもなく素敵なことがね。なのに僕らはみんな愚かにも、どんどん脇道に逸れていく。"子供と社会のマージナルな世界を描く名手である著者による、架空の一家、グラス家のうち残念な"イケメン及び美人"が描かれた本書は(身も蓋もなくすいません。。)時代を超えた普遍性に驚かされる。

個人的にも、自身の作品とも似ているようで、また違った味わいを持つ村上春樹らしいセリフまわしの翻訳"も"楽しみつつも、別に自身の作品で一部を関西弁に訳した川上未映子による"あんな、フラニーな、制度を相手に戦争でもおっぱじめたろかとゆうんやったら、頭ええ女の子らしい鉄砲の撃ち方を、せえや"を思い出して、意外な相性の良さにニヤリとしてしまった。また、反体制!システム!といった側面だけでなく大切な家族を亡くした【グリーフワークの物語】としても魅力的。

意識が高すぎて、周りを見渡しては【自分も含めて】毎日イライラしている誰かに、あるいは【ティーンネイジ・スカース】といった技法の名書に出会いたい誰かに。"神聖なるチキンスープ"と共にオススメ。

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