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本のエンドロール

"たとえ天職でなくてもいい この仕事をやってよかった。そう思える瞬間が日常の端々、所々にあればそれをきっと幸せなことだろう。"2018年発刊の本書は【あまり知られていない】本がどうやって造られているか"を丁寧かつ多くの取材により物語化していて。本好きは当然、働く人たちそれぞれも共感必至の素晴らしさ。


個人的には、読書会主宰者同士の情報交換会に参加した際に、ある方が"開催した『本の本』をテーマに自由に本を持ち寄る読書会で圧倒的な人がこの本を支持した"と本書を紹介してくれた事をキッカケに手にとりました。

さて、本書は印刷工場の作業風景が表紙になっていることが示すように、読書人口の低下や電子書籍などの影響もあって【斜陽産業とされる中小企業の印刷会社を舞台に】本が無事に出版されるまでの日々を5つの短編エピソードで群像劇風に読みやすく構成しているわけですが。

まず秀逸だと感じたのは、個人的には本が出るまでの"お仕事作品"だと花形的立場?の、よくある【作者と担当編集者ではなく】あくまで【それを支える印刷会社に着目した新鮮さ】そして主人公的に物語を進行させる営業担当に偏らずに工場担当やデザイナーなどの登場人物たちが【それぞれが生き生きと描かれている】事でした。(WEBで連動して公開されている動画も良い仕掛けですね)

また、私自身は印刷会社で働いた事はなく、エンドロールに代表される作中で飛び交う専門的な業界用語も豆知識的に面白かったのですが。舞台で展開される【社内や取引先とのエピソード】は業界に関係なく、多くの組織で働くビジネスマンにとっては誰しも心当たりを感じさせる【普遍的、共感出来る、あるある話】で、読みながら自身の経験と照らし合わせたり、色々と感情移入してしまい終始楽しませていただきました。

読後感の良さもあるし、確かに周囲に紹介したくなる一冊。本好きはもちろん、多くの中小企業や組織で働くビジネスマンにエール的にオススメ。

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