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自律する子の育て方

"今回の本で取り上げた『心理的安全性』と『メタ認知能力』というテーマは、概念を理解することはさほど難しくありません(中略)難しいのが実践です。"2021年発刊の本書は、経験主義、結果主義的な日本の学校教育を最新の脳神経科学の研究をエビデンスに理論的に問い直す。刺激的な一冊。

個人的には、企画した持ち寄り読書会で子育て世代の参加者に強くオススメされた事もあり手にとりました。

さて、そんな本書は麹町中学校の元校長時代に『宿題、定期テスト、頭髪・服装指導・固定担任廃止』などを次々に打ち出した教育改革で注目を浴びた工藤勇一、そしてUCLAの脳神経学学部を飛び級で卒業し、脳神経発明家として分野を横断して活躍する起業家の青砥瑞人の2人の出会いから始まった研究会『麹町研究』の3年間の活動の一部をまとめたもので。

まるで手紙を交換するかの様に交代で、工藤勇一は『どうしたの?君はどうしたいの?何を支援してほしいの?』の3つの言葉他【子供たちに社会で生きていく力を身につけてもらう】教育に必要な『自律』と『尊重』を大切にしてきた【麹町中学校での実践について】青砥瑞人は人間の脳の仕組みを分子レベル、細胞レベルで解明し【現段階でわかってきていることをフィードバックしていく神経科学】の立場から『心理的安全性』と『メタ認知能力』の研究について。それぞれ学校教育に提言しているわけですが。

率直に言って、私は(知名度の高い)お二人の名前も知らず。また2014年に『みんなの学校』として映画化もされた大空小学校の初代校長、木村泰子が参加していることで教育関係者から【研究会自体が注目されていた】事も当然に知らないままに読んだのですが。(お恥ずかしながら、読後に検索して知りました)

ちょっと前のニュースで大阪の小学校の校長が本書でも指摘されているように【学校の目的がテストの点数アップになった】現状を憂いて、コロナ禍の今【子どもたちの安心・安全と学びを保障すべき】と、異例の実名で市長に提言した事を思い出しながら。今の学校教育の実態、『手段が目的化』過剰サービス産業になった結果【自己評価が低く、上手くいかないと他人のせいにする】つまり、自律出来ている人が全く育っていない状況を知って驚きました。

また、本書自体は主に子どもの学校教育についてをテーマにわかりやすい内容になっているのですが。麹町小学校の3つの言葉は、子どもだけでなく【大人側にも問い直すきっかけになっている】事から、学校教育だけでなく、ビジネスパーソンとして【リーダーや管理職をつとめる私も流用できるのではないか?】いや、ぶつぶつ文句を言ってしまう前に実際に流用してみよう。そんな明日からの行動を見直すキッカケを与えてくれました。

学校教育に関わる方はもちろん、子育て世代に、また部下の教育を担当しているビジネスパーソンにもオススメ。

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