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迷路館の殺人

"肝心なのはまさにその、何か過剰なものにどれだけ私の心が共鳴するかということであるわけで"1988年発刊の本書は『十角館』から始まる館シリーズ3作目にして、作中作、叙述トリックで知られる奇抜な迷路館を舞台に連続殺人が起きる新本格ミステリ。

個人的には、ミステリ持ち寄り読書会ですすめられた事もあり手にとってみました。

さて、そんな本書は推理小説界の老大家、宮垣葉太郎が所有する『十角館』と同じ建築家、中村青司が手がけた地下に迷路が造られている奇妙な、『迷路館』に集められた推理作家たちが、各々ね書きかけの小説に見立てる形で何者かに次々と殺されていくわけですが。

さすがに【出入り口が一つしかなく、窓もない迷路の自宅】って、日常使いだと生活においてストレスしかないだろ!っとツッコミをいれたくなりましたが、高度経済成長時代、バブルの時代だったら【もしかしたら、あるかもしれない】。とか思い直したり。

また、80年代とインターネットやスマホがない時代というわけで、本書では作家たちが使用するワープロ『文豪』や『オアシス』といった機種の入力方法の違いが謎解きのヒントになったりといった点は『十角館』のFAXと同じく【今からは懐かしさしかありません】が、それでもスピーディーな展開。そして犯人が明らかになったと思いきやの【作中作、叙述トリックによるドンデン返しのラスト】に驚かされる本書。ミステリとしての没入感は堪りません。

新本格ミステリ好きな方はもちろん、叙述トリック好きな方にオススメ。

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