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仕事と人生に効く教養としての映画

"映画の『表現』には無限の可能性がある。実は、仕事や人生にもめちゃくちゃ役立つ。それを、この本を手にしたあなたにぜひ知ってもらいたいのです。"2021年発刊の本書は映画批評家による月刊誌連載をベースに再構成された『教養としての映画』鑑賞術、歴史論。

個人的に『教養本』にハマっているのと、映画好きということもあり手にとってみました。

さて、そんな本書は関西の大学で非常勤講師を務め、東映太秦映画村・映画図書室にて資料整理の仕事も行なっている映画研究者・批評家の著者が【雑誌連載をもとにビジネスパーソン向けに再構築、加筆・修正を行った】もので。

誌上講義スタイルにて『映画を見たらどんないいことがあるか』『映画史を知ればビジネスの基本がわかる』と【映画自体の魅力を語った上で】具体例として、黒澤、溝口、小津、是枝の『日本映画の鑑賞法』海外ではヒッチコックやエリック・ロメール作品や『ボヘミアン・ラプソディ』と『意志の勝利』を比較しながら『海外(ハリウッド)映画の鑑賞法』を、そして最終講では『アウトプット術、SNSでの編集、発信方法』について。解説してくれているのですが。

まず、本書は『誌上講義スタイル』なので『登場人物』として、著者のイトウ先生の他にリュウくん、セッちゃんという割とミーハーだったり、ネット動画三昧で映画館にはほとんど行かない2人の若者が出てくるわけですが。全方位的な【月刊誌連載をビジネスパーソン向けに再構成した】から仕方がないのかな?と思いつつも【映画好きとして本書を手にとった中年リーマン】として同じ立場で"講義を受ける"1人としては割とノイズ的で気になってしまった。

一方で、著者がTwitterで小津監督作品に対する呟きでバズっていたのは見たことがあったので再読して懐かしかったり、特に『見えているものが私たちを欺いている可能性』をテーマに大ヒットしたフレディ・マーキュリーの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』とナチスのプロパガンダ映画『意志の勝利』の比較や共通点解説は【『映像リテラシー』的な意味で非常に刺激的】でした。

なんとなくではなく、映画や映像を意識的に眺め始めるキッカケとして。また、小難しい教養というよりは『映画好きの気軽な一冊』としてもオススメ。

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