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学問のすすめ 現代語訳

"『学問のすすめ』としたけれども、決して字を読むことのみを勧めているのではない(中略)一般の人が心得ておくべき事柄を挙げて、学問とは何かを示したものである。"2009年発刊の本書は誰もが知る明治のベストセラーを歯切れよく現代語訳した一冊。

個人的には慶應義塾には縁がなくても、本書冒頭の『天は人の上に人を造らず』というフレーズはもちろん知ってましたが。では【何が書かれているか?】は知らなかったので、読みやすい現代語訳を手にとりました。

さて、そんな本書は緒方洪庵の適塾で学んでいたり、一万円札紙幣の肖像に使われていたり。と大阪、金融機関に縁のある私は勝手に親近感を感じている啓蒙思想家、福沢諭吉の代表作にして、1872年から数年にかけて順次発表、1880年に一冊の本として合本された後は、300万部以上売れ、何と【明治日本人の10人に1人が買った】大ベストセラーをわかりやすい現代語訳したもので、前半は誕生したばかりの近代日本における【国家と個人(国民)の関係、権利や義務について】後半は割と普遍的なビジネス書、キャリア論的な内容で【棚卸しや計画の必要性、自己アピールの方法(!)】などが書かれているわけですが。

役者が"はじめに"で書いているように、各章が独立した内容になっているので【どこから読み始めてもよい】エッセイ集的な構成で、とっつきやすく、また解説によると福沢諭吉は"美辞麗句やもってまわった言い方が大嫌い"だったらしく【はっきりとストレートな言葉づかい】が共通しているので、すらすらと読む事が出来ました。

また、現代日本において発表しても全く古臭くないというか違和感のない内容で、思わず発表時期を確認してしまいましたが。赤穂浪士の討ち入りとかの【儒教的な価値観を忖度なしにバッサリ完全否定している】内容は、やはり当時においても時代を先取りしすぎて批判されたことを知って、思想家としての真摯さ、純度の高さに敬意を覚えました。

明治に誕生したばかりの近代国家、日本の世相を知りたい誰か。また慶應義塾に関係ある人はもちろん、これから大学や社会に出ていく方にもオススメです。

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