新しい展示様式(前編)
method inc.(株式会社メソッド)は、新型コロナ下での「新しい展示様式」を探るために、本格的に活動を再開します。東京に事務所を構え、会社として仕事を続けていく意味を問い直しながら、まずは、5月29日(金)より、(PLACE) by methodとCIRCLE、2つの会場にて展示を開催いたします。
method(メソッド)とは?
こんにちは。メソッドという会社で、「バイヤー」として、デザインや工芸、美術、ファッション、美容、食など、あらゆる領域のモノたちと関わりながら、店づくりを中心に、東京を拠点に、国内外で様々な仕事をしている、代表の山田遊(ヤマダユウ)と申します。
例えば、こんなお店やイベントをつくっています
・国立新美術館ミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」
・21_21 DESIGN SIGHT SHOP
・燕三条 工場の祭典
・made in ピエールエルメ
・GOOD DESIGN STORE TOKYO by NOHARA
, etc…
この度、遅ればせながらnoteを始めることにしました。これまで紙やウェブ媒体に依頼いただいた原稿や連載の文章は、〆切に追われながらも、何とか頑張って書き上げてきましたが、実は、長文を書くのが正直なところ苦手で、二の脚をずっと踏み続けておりました…。ただ近頃、何を書き記すべきなのかがようやく見つかり、重い腰をやっと上げた次第です。
(PLACE) by methodとは?
2007年の起業後、しばらくの間、BACHさんと、千駄ヶ谷や南青山で事務所をシェアしていましたが、今から7年前の2013年、渋谷区東1丁目に立つ「カミニート」という、一見風変わりなビルの2Fに引っ越して以来、 (PLACE) by method(プレイス バイ メソッド)と命名したこの事務所で、現在まで仕事を続けてきました。今では隣のCIRCLE(サークル)というスペースも運営しています。
英和辞典で引くと「PLACE(プレイス)」は、「場所・所・空間・余地・位置・置く」などの意を含む単語です。
(PLACE) by methodは、method inc.の事務所と、仕切られながらも緩やかに繋がる併設された余白の空間の総称です。企画展やPOP UP SHOPを定期的に開催しながら、主にファッションブランドや作家・アーティストの展示受注会の開催や撮影など、貸し出しも行っています。
ときには作業や打ち合わせ場所、スタッフの休憩場所として、事務所機能を拡張したり、また、一時的に倉庫となったりすることもあります。もちろん、そのまま余地を残し、広いエントランスとなる場合も。開いたり閉じたり、広げたり狭めることも自由な場所、限られた機能にとらわれることなく、完成することもない、移ろいゆく場所であり続けることを願って、敢えて括弧付きで表記しています。
(PLACE)と隣接する、円形のような多面形の空間のCIRCLEも、同じ考え方の下、一体として捉えたり、また、線引きして切り離すことで、独自の活用も行っています。
この事務所をデザインしてくれたのは、千駄ヶ谷と南青山時代には、机を並べて一緒に仕事をしていたこともある14sdの林洋介さん。彼の事務所もとても素敵です。
東京に住み、事務所を借り、会社を、仕事を続ける理由
まだ終わりの見えない、現在進行形のコロナショック。世界中で感染状況が次第に明らかになるにつれ、大都市部こそが「三密」という事実を痛感しました。となると、日本国内で最も感染リスクが高い東京に住み続ける理由、また、自粛期間が数ヶ月続けば、さすがに高いコストをかけて、在宅勤務で閑散としたままの事務所を、東京で借り続ける理由って何なんだろう?という疑問が、否が応にも突き付けられてきます。
もちろんオリンピック同様、今年予定した仕事も、延期という理由で次々と無くなっていき、今まで店づくりやイベントの仕事が中心だった会社も、今後は一層加速していくであろうDX(デジタルトランスフォーメーション)の影響を、大きく受けるであろうことは必至。
このように状況を冷静に考えると、東京で生まれ育ってはきたものの、正直なところ、この場所に踏み留まる理由は、ほとんど無いように思えます。ただ、この前、事務所で1人作業している時に、ふと気が付いたのですが、そのほんの少しだけ残っている理由は、結局、家族や友人、そしてスタッフなど「人」の存在。あとは、唯一「愛着」だけなんだな、と(決して執着ではない)。
活動再開!
いや、それは僕たちも大変ではありますが、ただ、日本中、また、世界中もみんな大変な訳で、医療関係者の方々は、きっと想像を絶するほど大変に違いない。そもそも今、世界では大変じゃない人の方が少ないはず。だから、僕たちの仕事や事務所の存在、また故郷でもある東京に「もう愛着があるんだからしょうがない!」と、覚悟さえ決めてしまえば、後はもう行動あるのみです。
まずは、全体監修を務めている工場見学イベント「燕三条 工場の祭典」の開催中止の発表に合わせ、GW中の安全確保を呼びかける「STAY SAFE 生きろ、KOUBA」のキャンペーンを手始めに、
STAY SAFE
生きろ、KOUBA
燕三条のKOUBA(こうば)は苦難を乗り越えるために生まれた。
繰り返される水害を乗り越え生きるため、
職人はその手に技を身につけた。
その後も幾度となく訪れた歴史の荒波も、
職人はその手でかいくぐってきた。
いま再び訪れた苦難も、必ずその手に宿る技術で乗り越えられる。
2020年、燕三条 工場(こうば)の祭典は開催を中止する。
工場の祭典を象徴するピンクストライプは、
工場で人々を守る黄色と黒の警告色を、
工場の炎の色に置き換えて安全を願うものだ。
いまKOUBAの火が消えても、
職人の手に、心に、灯る火は消えやしない。
まずは安全を第一に、力を蓄えよう。
人々は日常へ戻る日を渇望している。
その日常を道具で支えるのが職人の仕事だ。
今年、燕三条 工場の祭典は新しい形でKOUBAと人を繋いでいく。
その炎を絶やすな。生きろ、KOUBA。
GW明けには、在宅勤務中にコツコツ作業していた会社のウェブサイトを、約10年ぶりにリニューアル。
新しい展示様式
間髪入れず、次は、事務所で自主的に開催していた企画展を見直すことにしました。テーマは「新しい展示様式」です。
すみません、脱線ばかりで前置きが長くなりました。「新しい展示様式」の詳しい内容は、後編に続きます…。
Photo:Koji Honda
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