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自分が大好きで、褒め上手なベトナム人から学んだこと

ベトナム人は、自分がとても大好きだ。自尊心と誇りに満ち溢れている。

カフェでは、女性グループの自撮り大会が始まり、カップルは男性が女性の写真を撮影しまくっている。

"đẹp chưa?" (かわいい?美しい?)と聞きながら、ポーズを決める。撮影している人は、"đẹp rồi !!" ((もうすでに)かわいいよ!美しいよ!)と言いながら何度も違う角度から撮影。時に、テラス席があるカフェでは、店内に貴重品を置きっぱなしで、テラスで撮影大会が始まっており、時に日本よりも平和を感じる。

先日、同僚に「このハンバーガーってどうやって食べる?」と聞かれたので、「え、こう両手で掴んでかぶりつく!」と伝えたら、いつの間にか「ハンバーガーとかぶりつく自分」を真剣に自撮りしていたときも、平和を感じた。その上、真顔で「マミ、この角度かわいく撮れるよ、マミも撮る?」と。

ベトナム人の生活は、家族中心で周っている。20歳前後で結婚している人々も多く、20代後半~30代前半の同年代の同僚や友人は既に5歳~10歳の子供もいる。前に、奥さんがいる同僚(男性)に奥さんの写真を見せてもらった際「へー!!奥さん、めっちゃ美人!!」だと言ったら「うん、奥さんも美人だけど、僕のほうがかっこよいでしょ?」と、ここでも真顔で聞かれた。

また、家庭内でも似たような光景だ。ホストファーザーがよく「僕は妻に出会えて幸せものだ」「料理が得意な妻だと思わないかい?」等と、ホストマザーと一緒にいる食卓でも話していて、ホストマザーは嬉しそうに、子供に食事を与えている。ホストマザーは、ホストファーザーがいないときに、愚痴や陰口を言っていることを一切聞いたことがないし、常に「私の旦那は世界で一番」と言っている。

そんな、素敵な毎日だ。

「謙遜文化」の日本から来た私にとって、この「自信と誇り」生活に慣れるまで1カ月程かかった。まぁ、人によってはもっとかかるのかもしれない。基本、私自身は適応能力は高いと思う。

最初は写真撮影をしていて「マミ、キレイ!美しい!」「今日も素敵!」と言われたり、外出する度に「マミは今日もキレイ!いってらっしゃい!」「美しい日本人がいる!」と言われて、「ありがとう」としか返せなかったのが、最近は「マミ、昨日の服、キレイだったよ!」と言われたら「え?服だけ?私は?」とか「昨日だけ?私は、毎日キレイでしょ」と冗談が言えるようになった。それに対しても「そうだ!マミは毎日キレイだ!」と真顔で返してくる同僚に、もはや敬意を示している。

何よりも、冗談で返していたつもりが、その癖に慣れて、「いつも洋服のセンス良いけど、今日の服が一番似合っている」とか、「キレイ!」と自分から相手に発信することもできるようになった。相手の写真を撮影していて、本当に心から素敵だと思ったものは共有しまくって「この写真、プロフィール写真にして!」「これ、旦那さんに見せてあげて!」と素直に褒めたり、「かわいい」「美しい」を自ら発信できるようになった。この「自尊心」から生まれる、相手を素直に褒めることは、とてつもない良好な人間関係が生まれると感じている。そして、そんな社会は素敵だ。

そして、「今日、疲れてるでしょ?早く帰って寝たら?」と、相手の変化にも敏感になり、伝えることもできるようになった。

私にとって、大きな成長だ。

自分に自信が無いと、周りを見る余裕が無くなり、相手に愛を与えることすらできない。そんな、人間にとって一番大切なものが失われていく社会は、すごく悲しいことだと思う。

褒められても、うまく喜べない、相手を信じられない、受け入れられない、自分自身が相手を褒めることに慣れていない、恥ずかしい、そんな思いを持っている人々に伝えたい。それでも、あなたと一緒にいてくれている人がいる、話しかけてくれる人がいる、時間をつかってくれる人がいる、まずは、そんな身近な人に「ありがとう」から、少しずつ始めてほしい。

それでも難しければ、一度、ベトナムの人々の屈託のない笑顔と自信溢れる愛嬌に出会ってみてほしい。「めっちゃお調子者やん!」とつっこみたくなるときが多々あるけれど、何かしらの気づきが、きっとある。

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