記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

イケメン役者育成ゲームに沼落ちした話

※アプリ内で配信されている最新ストーリーのネタバレを含みますのでご注意ください。

前回の更新から2週間以上経ってる?そんなバカな…GW延ばしすぎた。まじめに勉強してたはずなのに。
Webの勉強以外のお仕事も多少していました。そしてGW(こんなありがたくないGWは初めてだったけど)を満喫していました。

ところで皆さん、今年の春クールで「A3!」ってアニメが放送されているのはご存知ですか? もともとスマホアプリで配信されているゲームがアニメ化された作品です。「イケメン役者育成ゲーム」と銘打たれたこのゲームなんですが、つぶれかけの劇団をプレイヤーが劇団の総監督となって立て直していくという導入で始まります。

このアプリ、今年の2月に「PSYCHO-PASS」ってアニメとコラボしてゲーム内イベントが開催されたんですが、PSYCHO-PASS沼にいたわたしはコラボ発表時にとりあえずA3!をDLしました。すでにA3!にドハマりしている友人からキャラの名前なんかはちらほら聞いたことあるけど…程度で始めたし、実際イベントが始まってもメインストーリー途中までしか読めてなくて「これ誰だっけ…」みたいなキャラがいる状態でイベント進めてました。

冒頭に春クールで放送されている、と書きましたが、実はこのA3!、1月クールだったんですよね…録画を溜めてたんですがどうも第1話が複数回録画されている……制作の都合で納期に間に合わなかったらしく、放送は4月に延期されますと運営の発表がありました。この時点ではまだ外野だったのでホーンがんばってね、くらいの気持ちでした。

そして4月から無事放送が始まり、わたしはまた録画を溜めていました。
これには前と違って明確な理由がありまして、ここまでにようやく第1部のストーリーを読んだんです。で、これたぶん推しは「茅ヶ崎至」だな……っていうのがようやく固まってきてまして。一応全キャラ登場するまで直視しないようにしてたんですこの事実を……。でも茅ヶ崎ってば顔はいいくせに廃ゲーマーで全オタクの味方だし、外面は王子様だけど劇団のみんなには干物オタクの素な一面を見せてくれるギャップ萌えだし…そりゃオタクに人気出るじゃん……みたいなキャラなんです。はい、推し〜〜〜。
でね、劇団には春夏秋冬4つの組があって春組から順繰りに公演をしていくわけなんです。茅ヶ崎は春組に加入するメンバーで、アニメではアプリのメインストーリーを最初からなぞっていくので、アプリやってる人は話が分かった上でキャラが動くのを楽しんでいるんですけども。

だからいま放送されてる春組のストーリーで茅ヶ崎が最後まで春組のことハラハラさせるって知ってるんです! そんな推しをわたしは1ヶ月以上かけて見守る精神力はない…これは一気見だ!と思って録画を溜めていたんです。

それで忘れもしない5月12日、アニメで春組が無事に公演を終えた翌朝ですね。さーて公演も完走したらしいし溜めてた録画見よ♡と絶賛自粛中のわたしは朝っぱらから春組一気見マラソン大会を始めました。
咲也…おまえはMANKAIカンパニーの太陽だ……とか、監督さん名塚さんなの正解すぎ…とか、茅ヶ崎のゲーマーバレシーンは別のアニメはじまったかと思う演出だとか、いろいろツッコミながらいよいよ第6話で公演千秋楽までたどり着いたんですが……

いやっ…茅ヶ崎ぼろっぼろに泣いてるやん………

え、わたしアプリでスチル見たときこんな号泣してる印象じゃなかったんですけど???? 嘘でしょ????? 思ったよりボロ泣きしてる………って思ったときが茅ヶ崎に本格的に落ちたしA3!というコンテンツに沼落ちした瞬間です。アニメスタッフGJすぎる…

で、なに? アプリではもう1年分ストーリー進んでるし更に新しいストーリーがはじまろうとしているの??? よっしゃアプリやらなきゃ。
って言って1週間で稽古進めて2部のストーリー全部開けて、更に3部も開けて昨日のキャンペーン終了までになんとかメインストーリーと無料開放中のイベストも全部読んだわけです。まじでこの1週間ちょっとA3!と食事と睡眠しかしてないくらいの勢いだった…。初めて自粛バンザイと思いました(現金だな)。

※ここから9幕を含む全ストーリーのネタバレ注意です。ゴリゴリにネタバレしていきます。

A3!、なにが面白いかってストーリーとキャラ設定の熱量がハンパないなって思ったんです。メインストーリーはフルボイス付きで読めるんですけどそれが1幕30話以上のボリューム、それが今なら9幕ある…ボイス聴きながらじっくり読んでたら普通に3時間とか経ってるんです……
キャラ設定は後半に行くほどトンデモ設定が多くなってくるので、なんか組織の人間とか自称アンドロイドとか…だからストーリーも後半に行くほどどこかの闇組織に巻き込まれて監禁されたりとか王族の後継者問題に首つっこんだりとか、一演劇人が関わるにはS(すこし)F(ふしぎ)すぎる問題にキャラクターたちが立ち向かいながら公演を乗り切っていくわけです。

キャラクターたちはみんな劇団の寮で共同生活しながら稽古と公演をしていて、みんな「ここでみんなと芝居をしたい」って言って過去を乗り越えたり環境と戦いながら、公演を成功させていくんです。監督の勧誘は見境ないし、希望した人みんな劇団に入れちゃうからおまえらほんとに共同生活できるの?? みたいなメンバーが揃っているんですが、「板の上で一緒に芝居する」ってほんと不思議なもので、演劇というものの懐が深いというかなんというか…とにかくなんでも受け入れちゃうし、板に立つひとの誰をも虜にしてしまうような、演劇の中毒性みたいなものがこのトンデモ設定を妙に納得させてしまっているな…と思ったのです。いろんなところのバランスが絶妙で、めちゃくちゃ「読ませる」ストーリーでした。それで1週間で全部ストーリーあけちゃったわけですね〜ランクは20だか30だかから98まで一気に上がりました。

つぶれかけのMANKAIカンパニーを立て直すところからストーリーは始まりますが、専用劇場があったり団員寮があったり、過去にかなり盛り上がっていたらしい、ってことが前提でした。9幕ではいよいよその初代MANKAIカンパニーはじまりの物語が少しずつ語られていきます。
1、2部でやたらMANKAIカンパニーに絡んでくるライバル劇団「GOD座」の主宰、神木坂レニというひと。GOD座はすでに有名劇団で、つぶれかけの劇団にこんなちょっかい出す必要ねーよ! って思うくらいしょっちゅう絡んでくるんですけど。そもそもなぜMANKAIカンパニーがつぶれかけてたかと言うと、前の主宰だった立花幸夫が突然失踪して団員が離れていったから。その幸夫とレニが実は同級生で一緒の演劇部やっててMANKAIカンパニー創設メンバーだと明かされたのが9幕。そりゃちょっかいも出すわ……

レニは幸夫のことを「悪魔」とも言ったし「神」とも言った。レニを演劇という魔物に魅入らされた、引きずり込んだのは幸夫だったという意味ではレニにとって悪魔。たった一度、自分の理想とする形で舞台に立った幸夫は、レニが目指す役者像という意味で神にもなった。でも幸夫はそのあと自分が役者として舞台に立つつもりはまったくなくて、他の役者を満開に咲かせる演出家という形でしか演劇と関わらなかった。そのうちにレニの中で役者としての幸夫は偶像化していって、その神を他の役者で具現化しようとしたけど、偶像は神に届かず、その神への執着だけが残ってレニを歪めていった。そういった意味でもやっぱり幸夫はレニにとって悪魔のような存在だった。

……いやいやいや、突然真面目な口調で語りだすくらいにはプレイヤーに激重感情を残していきましたこないだまで脇役だったレニさん、えぇぇ…こないだまでちょっと登場しては茶々入れて去っていく小物キャラだったじゃん………という感じで、レニ以外にもレニにべったりの晴翔、三角の弟の円などなどこれまでちょっとした登場だったキャラクターがぐいぐいメインストーリーに関わってきて、いったい最初からどこまで考えてたんだこの展開…? というキャラ堀りの深さ…うえぇんおもしろいです……。そして初代メンバーちょろっとしか出てきてくれなくて、おい10幕はいつ始まるんだ…おまえらも深堀りしてくれるんだろうな……? っていうか幸夫がどうなったかまだ全然わからんのですけど……???? っていう現在のきもち。

ここまで一気読みして思ったのは、シナリオライターをはじめとする制作陣、演劇…好きだな??? というか、演劇に関わってきた人じゃないと(あるいはめちゃめちゃに取材するとか)この演劇に対する激重感情をうまいこと落とし込めないんじゃない? とか思いながら制作陣のインタビュー読んだら(各種書籍買い揃えはじめました)プロデューサーの方がもともと小劇場界隈お好きだったんですね、納得…。
そのひと本人におもしろさを見出して役者として花開かせようとする幸夫と、自分のイデアがあった上でその境地へ役者を持っていこうとするレニのスタンスの対立も、演劇人としての業がとってもよく出ていてあーね…それね……となるエピソードでした。

自分が小劇場界隈で少しお仕事してたり、習い事で演劇じゃないけど舞台に立ってたりもしたしなぜ今まで触れてこなかったコンテンツなんだ? と思ったりもしましたが、まあたぶんアニメの至ボロ泣き事件がないと落ちてなかったし、「演劇」自体への複雑な感情が出てきたのってやはり3部かなと感じるのでこのタイミングだったんだと思います。

少し、わたしの知ってる「悪魔」の話をさせてください。
舞台制作のお仕事をやっていた時期があるんですが、そこの演出家が好みの作品をやっていたから始めた仕事でした。でもその演出家、話したら無茶ばっかり言うし、人使い荒いおかげで制作が長続きしなくて引き継ぎもぼろぼろで更に手間は増える……他の会社だったらすぐ干されそうな、組織の中では生きていけないような人でした。会社の上司としては正直ない。
でも演出した作品めっちゃおもしろいんですよね〜〜〜〜〜あと舞台論に関しては、なんというか視点が人間界と天界の間くらいから見てるんじゃないか、どこか高いところからこの世界を見渡しているような話をしているときもあってすごさも感じたりとか、人間としては嫌いになれなかったです(苦手ではあったけど)。
幸夫の話を読んだとき、どこかこのひとのことも思い出しました。このひと、ワークショップとかで舞台が初めての参加者もキャリアのある参加者も、その人自身のおもしろさを引き出しながらいっしょくたにして舞台つくるのも得意だったなぁとか。
人間性としては全然違うけど、なんか全然わからん衝動とか激情とかを引き起こす人間ているんだよなぁ…と思いながら「悪魔」の話を読みました。

小劇場での演劇って本当に玉石混交というか、長いことやってる劇団もこないだ発足した劇団も、古典もコンテンポラリーもストレートプレイもミュージカルも、本当に自由に存在しているのが小劇場での演劇なんです。費用面でも集客面でも比較的ハードルが低くて、大勢のお客さんに受け入れられる必要もないから新しいことに挑戦しやすい環境でもある。劇場、いま大変な時期にあるけど…まあここに関して語りはじめるともう1記事必要なので今はやめときます。一言で言うとおもしろいんだけど、初心者は何を見たらいいかよくわからないし、何がいいのかもよくわからない謎の世界かなとは思います。それをよくここまでキャッチーに取り上げつつ、演劇というものの魔力を描いているなというのが3部まで一気プレイしたざっくりした感想です。
よくある乙女ゲームの「イケメンがいっぱいいる」「いろんな過去持ち」みたいなところもあり(ついでに本筋とは関係ないところで歌もいっぱい歌う)、2.5次元との親和性もばっちりだしすごいいいコンテンツだなぁってしみじみ思っております…。

そしてもうひとつ、アプリ内でも時が進むというのが魅力だなあと思います。

今回の9幕で、レニは過去をつづった手記をしまった金庫を自分の執務室に置いています。その暗証番号は「1991」。ア゛ッ自分と同い年じゃねーかMANKAIカンパニー、覚えやす…そして9幕の彼らは2020年に生きる彼らなんだってことにアーーーーーッッッ(頭抱え)なった瞬間でした。
2017年にリリースされたところから四季を1周して、学生は進学したり年を重ねて、ちゃんといろんなものを吸収して成長していることがはっきり分かる。その上で新しいことに挑戦していくし過去の時系列や出来事も明らかになっていく。積み重ねがストーリーに反映されていているからひとつひとつのエピソードも新鮮に感じられる。シトロンが劇団を辞める、丞に引き抜きがかかって将来を考える、といったくだりでは「このメンバーでいられるのも永遠ではない」という時間の進みがプレイヤーにもぶっ刺さります。第3部のCMでも「永遠なんてない」って…咲也が言ってる……泣いちゃう……。
過去編である第3部が終わって次があるなら、このへんに切り込んでもいきそうな予想もしましたが…つらいんで能天気に新メンバー加入★とかやってほしさもあり、ストーリー的にはおもしろそうなのでシビアに時の流れを感じさせてほしさもあり…と先を見せてほしい!という気持ちが強まります。は〜〜〜うまいことやってるぜ。

長々と語ってきましたが、演じることに関わったことがあるひと、ぜひ触れてほしい…!って思いで書きました。もちろん全然知らないひとが読んだって楽しいし団員の魅力を知ってほしいとは思っているけど。ほんとに演劇やっているひとにも楽しめる、ファンタジーの中のリアルさを味わってほしいです…!つっこみどころもいっぱいあっておもしろいよ。わたしは声に出して大笑いしたり奇声発したりしながら読みました。

ということで言っておきたいA3!のいいところをざっくり箇条書きして終わりますね!
・メインストーリーのフルボイスが役者の有効活用すぎる
・ランク上げに関しては比較的簡単でストーリーを進めやすい
・キャラの服がダサくない
・メインとイベストだけじゃなくて、出稼ぎとか稽古課題とかでキャラ同士サシでの会話も読めて関係性萌えもいっぱいカバーしてくれる
・ヒロイン(監督)との恋愛要素は薄めで、どっちかというと一緒の仲間としてカンパニーをつくっていく感じ
・メインストーリーフルボイス
・フルボイス(大事なことなので3回言いました)

ということで、初期衝動の備忘録でした!
まだまだハマりたてなのでもっと彼らのことを知っていきたい所存です。みんなの推しの話が聴きたい。アニメ夏組もめっちゃ楽しみにしてる。それでは!

この記事が参加している募集

私のイチオシ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?