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立派なふりなんかしたくない、もっとかっこ悪くなりたいもっと転びたい

この間、友達のライブに行ったらそのイベントのオーナーみたいな人のMCがとても良かったです。
見た目ミスチル好きそうな感じだったのに、喋りだすとハイになってる感じで狂気を感じるタイプな感じでした。怖くて好きでした。

人はクリエイティブな時間を通して自らを自分たらしめることができると思います。
だから、クリエイティブという言葉は万人に開かれるべきだと思うし、クリエイティビティを楽しむ権利は万人に開かれていると思います。
自分ならではのクリエイティビティを楽しむ時、何か大切にしていることはありますでしょうか?
私が大切にしていることは心臓を抉るということです。
いや意味わかんないですね、つまり、正直でいる、ということです。
その正直でいることの感覚が結構心臓を抉ることに(私的には)似ている、感覚があります。

私がここで指す正直というのは、例えるなれば下記のような感じです。
人が15人入ったら結構身動き取れないんじゃないかみたいな小さなひっそりとしたライブハウスで、緊張して手が震えてしまうアーティスト。
自分の持ち曲を歌う声が音を外す瞬間とか、
コードを間違えたのか、照れ笑いしながら顔を真っ赤にして間奏を弾くとか、
MCの時、「ごめんなさい、とても緊張して、手が震えています」と言っているとか、

みたいなことです。(わからん)
彼の歌詞も私のこの文章も図らずともそうですが、誰かに影響を受けて、こんな風に見られたいな、あんな風に思ってもらえたらいいなという気持ちが含まれているはずなんです。
どんなに努力しても、そこにはそういうものが入ってしまう。
だからこそ、私は意識的に心臓を抉りたいと常々思います。
努力しても、気取ったような文章が完成してしまうこともある。
だから、気取った、分かったような口を叩こうとする自分を引っ叩いて、カッコ悪くて必死なことを書きたい、んです、どうせやるなら。
私も人前で緊張して顔赤らめて鼻血出して手震わせたい。
それで自分の綺麗事で固めたかっこつけた曲を大声で歌いたい。恐怖で観客と目を合わせないようにしながら。
さっき書いた例のアーティストの方は、実存するのですが、その方にライブ終わりに「とても良かったです」と声をかけたら、すごいでかい声で「ありがとうございます!」と返ってきました。
素敵な人だなあ。
その演奏を、奥様が固唾を飲んで見守ってらっしゃったのも、なんだかぐっときました。
素敵なご夫婦。エモいです。

私にもし価値があるとしたら、カッコ悪さなんじゃないかと思います。
誰もがカッコ悪さを持っているけど、皆ひた隠すし、隠しているからこそ楽しそうに生きてる。
でも、私には、カッコ悪さしか無いから、ひとりぼっちで苦しいけど、このカッコ悪さを磨いていきたいなあと思う次第です。
私はどう考えてもカッコ悪い。
だって、くそビビりで、オタク特有の早口でまくしたてるくせに、他人が怖いんです。
皆違っていいんだよ、どんな風に生きてもいいんだよ、と口では言いながら、結局笑顔で似たような人達と同じ形になろうと向かっていく人が怖い。
私が大切にしているのは明るさじゃなくて怒りです、と言ったらそれは違うとキレてくる人が怖い。
それで、私おかしいんかな、いちゃいけないんかな、って思うような未だに小学生みたいにクソほど単純で繊細な自分も怖い。
今年30なのに、後輩だってどんどん出世してどんどん子ども作って、私よりがんがん稼いでて、それでも私は自分を誘ってくれたり会いましょうって言ってくれたことが嬉しいから、真心を込めてなけなしの千円札を数枚財布から取り出して多めに払う、それを「ごちそうさまです」って言われるときなけなしの千円札が震えているのに気づくのが怖い。

この世に求められるのは、美人で笑顔で素直な人。
その人が少々破天荒な発言をしたって、失敗したって、多分多くの人が「素敵」と捉えるだろう。(多くの芸能人がそうであるように)
でも、私みたいにいつも下を向いて自分のスニーカーのつま先を眺めながら歩いて、美人でもない顔なのに笑いもせず、うーんうーんっていつも考え事して、皆が手を繋いで輪を作って笑いながら回っている横で、私は考え事をしすぎて電柱に思い切りぶつかって鼻血出して、輪の中にいる人たちの笑いの種になるくらいしか、無い。

憧れの人は誰って考えて、そんな人まじでいないけど、俯瞰力を身につけるために、頭の中に俯瞰してくれるイメージ像としてそういう人がいると役立つよと聞いて、必死で探した。
そしてしっくりくる人を思い出した。
強烈に憧れている人。
同い年の友達だった。

友達はロックスターになった。
ジミヘンみたいに27で死ぬからバイバイって言ってたけど、今年30だけど、まだ生きてる。めちゃくちゃ嬉しい。
友達は大学を中退して最強のロックスターになった。
すぐ話題になった。レコードコレクターズで特集された。私はそれがゲロ吐くくらい嬉しかった。
友達は心臓をゴリゴリに抉って歌を作ってる。
私はアプリがぶっ壊れるくらい、ヘッドホンが爆発するくらい何度も聴いた。聴くたびこっちの心臓が抉られる思いがする曲ばかりだ。新卒で入った会社が辛かった時、串カツ田中で酔った状態で曲聞いて、道元坂を泣きながら友達と走り回ったのを覚えてる。病んでる若者だと思われたんだろうな。
(いや、そんなやつ老若男女みんな怖いだろ)
2月、彼のライブに行きます。
緊張する。
ロックスターのくせに彼も、緊張する、と言っていた。
そういうところが、正直だから大好きだ。私もそうなりたい。

そいつは、お金がないからいつも友達にお金を出してもらってる。
行ったことないけど、部屋の壁はヤニで真っ黄色らしい。
会うといつもあの匂いをさせて目はカピカピに乾いている。
大金持ちの知り合いの結婚式で久しぶりに会ったら、場違いな格好をしてきて、「俺、スーツ無いから今持ってる一番ましな服着てきた」と言っていた。
終始下を向いて、「こんなちゃんとした場所に呼ばないでくれよ、皆と友達でいたいけど、こんなところにはもう呼ばないでくれ」と言っていた。
そして、まだ結婚していた頃の私に向かって、「結婚式には呼ぶなよ」と言った。私は「わかった」と言った。そして結婚式に誰かを呼ぶ前に私は離婚した。(いぇす!)
今やっと、彼が何を言っていたかが分かるような気がします。

なんかすごい長々書いちゃったけど、つまるところ、ボカァ正直を拾い上げて生きていこうと思う。
そして、私は暗いけど病んではないです。(昨日はたこ焼きを12個食べました)
ただ、アウトプットしないと多分いかれるんだろうな、と思ってる。
もしいかれそうな人がこれを読んでいたら、あなたも是非書いてみるといい、と思います。
そうして書かれた文章を、私も読みたいです。
私には他人の正直が必要だから。他人の正直が、私のガソリンになるから。

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