ぴよこ

将来に対するぼんやりとした不安を抱えた高等遊民です。思ったことをつらつらと。経験を脚色…

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将来に対するぼんやりとした不安を抱えた高等遊民です。思ったことをつらつらと。経験を脚色してフィクションにしたりしなかったり。こんな世界線もあるのかもしれない。 古いの!→https://note.com/chipichipi

最近の記事

ある少女の志まで

9歳のころ、家族とキャンプへ行くのが好きだった。虫も動物も植物も愛おしかった。 だから、新聞やニュースで環境破壊の話題が出るたび純粋な心は悲しなって、将来は自然を守る仕事をしたいと漠然と思っていた。 12歳のころ、学校で英語の授業が始まった。それまでもなんとなく興味があった「世界」への扉が開かれた。海外へ行ってみたいという純粋な欲求と地球を守るための仕事をしたいという十代前半のエネルギッシュな情熱が心に燃えていた。 15歳のころ、初めて恋人が出来た。恋をして、世界も地球も

    • あけましたの

      2021年になって早7日目。 元旦は、ぬるりと起きて、新しいコンタクトレンズと新しい歯ブラシで背筋が伸びる気持ちになってみたけれど、炬燵にそんな思いを全て飲み込まれて結局ダラダラと過ごす祝日になった。 それでも、今は1人暮らしではなく夫婦暮らしなので、話し相手がいる。私は、人と話すことで怠惰な気持ちが少しは行動力に変わるようだ。おかげでポストに入っていた年賀状の返信を書いたり、スーパーで買った伊達巻や黒豆を食べたり、夕刻近くには近所の神社に初詣に行ったりと正月らしい行事に

      • 本に関する駄文

        私はSNSでアクティブに飛び回っている風に演じるのが得意なのですが、その実は出不精です。学会や調査という目的をもって遠出するついでに旅行をするのは好きですが、自ら旅行という目的をもって遠出することはほぼありません。 ついでの旅行とは名ばかりで、カフェや空港で本を読んでいる時間が大半です。国内であればブックオフへ行ってドトールへこもりがち。 思い返せば、ケニアにいた協力隊時代だって国内旅行もせずにひきこもって雨季の夜長に宮沢賢治全集とかを読んでいたものでした。 (海外に住ん

        • 社会を構築する一部ではない私たち

          以下の図は、2017年に文部科学省が発表した博士課程進学者の推計である。 https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2017/07/24/1386653_05.pdf ここからわかることは、日本において修士課程から(社会経験なく)博士課程に進学する学生は約9000人であるということだ。これは国内の24歳人口の0.7%ととても希少らしい。 博士課程は原則3年あるので、

        ある少女の志まで

          フーテン世界平和

          大学院生のころ、フーテンに近い生活をしていたことがある。 別に家がなかったわけじゃない。お金がなかったわけじゃない。 ただ、求められるがままにフラフラとしていた。 私は当時、研究調査やらで途上国に数年住んでいて帰国したばかりだった。 途上国の山村のフィールド調査をして疲れて、リュックサックに入れておいたチョコレートをかじる。すると、どこからともなく現地の子どもたち沢山集まってくる。興味深そうに大きな目で私を観察する。そこに嫌悪の感情はないように見える。1人が「外国人、

          フーテン世界平和

          コンプレックスと幸福

          彼とは個別指導塾のアルバイトで知り合った。パーテーションを挟んで向かいの席から彼が三角関数の微分公式を読む声が聞こえる。落ち着いて低い声。この授業が終わったら、彼はその低い声で私に甘えるんだろう。私は中学生に英語の問題集を解かせながら、彼の声を味わった。時々、それが何故だか性的にも魅力的に感じて、2人きりのときも数学の証明問題を音読してほしいとねだったこともある。 年中無休の正月のバーゲンセールのように乱れた彼の部屋で、地べたに落ちた解析学の参考書、どこかの学会のジャーナル

          コンプレックスと幸福