本に関する駄文

私はSNSでアクティブに飛び回っている風に演じるのが得意なのですが、その実は出不精です。学会や調査という目的をもって遠出するついでに旅行をするのは好きですが、自ら旅行という目的をもって遠出することはほぼありません。

ついでの旅行とは名ばかりで、カフェや空港で本を読んでいる時間が大半です。国内であればブックオフへ行ってドトールへこもりがち。


思い返せば、ケニアにいた協力隊時代だって国内旅行もせずにひきこもって雨季の夜長に宮沢賢治全集とかを読んでいたものでした。
(海外に住んでいても、意外と日本の本は譲り受けたり、大使館や日本人学校で借りたり買えたりするんですよ。そして、ゾンビ伝承が多いケニアの田舎で読む屍鬼はおつですよ。)


ところが、秋めいてきたころから「気になっていた場所には足を運んでみるべし!」と思い立ちまして、最近は関西をとことこ歩いています。
 
☆ミ
 
そんなわけで、大阪で気になっていた本屋さんを巡ろうと思い、
読書カウンセリングをしてくれるという本屋へ行きました。

普段読んでいる本や今後読んでみたいジャンルなどを言うと店主さんがいろいろと紹介をしてくれる本屋です。


そこで、物は試し・・・と勧められるがままに数冊購入して、ドトールへ。

自分では選ばなかったであろう本を読むのは、見るはずのなかった世界に飛び込む感覚で面白いものでした。掌から国と時間を超える追体験をするのがたまりません。
たまりませんので・・・結局、いまのところ本屋巡りの予定が同じ本屋に通い詰めています。店主さんに会うと「この前のどうでした?!」と覚えておいてもらえるほどに。


せっかくなので先月読んで印象的だった3冊

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・私は昔っから「海」とか「少女」というタイトルがつく短編集に弱いし、はずれたことがないような気がします。ここに乗せている2冊も同様。

・室生犀星の小説は表現が愛らしすぎて読んでいて照れちゃいます。私は室生犀星に限らず、大正くらいの文士のニックネームのセンスが大好物です。

・海に住む少女は静かな気持ちになれる短編集かつ、まとまりのない終焉が多いのでほろ酔い気分に浸れます。

・「やし酒のみ」はナイジェリア人作者の長編小説です。和訳がですます調と、だである調が交じる文体で慣れるまでは読みにくいのですが、筆者の英語の癖を和訳した結果がこの文章のようでした。内容は起承転結を全く無視した不思議な冒険記でした。面白かったのは、物語の世界観で、死者の国は天空や地底や別の世界ではなくて、街を抜け、森を抜け、同じ地面づたいに歩いていけば辿り着けるという設定。主人公ではなく名もない人が活躍をするところ。


本なら自分で歩かなくても旅って出来るから、GO TO トラベルでなく「GO TO 本屋」の割引券を配布してくれればいいのにな。


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