勝利条件:プーパッポンカリー|バンコク2019 #1
トラブルは旅の華だと思っている。(犯罪系は別として)
旅先で起きるハプニングが、旅の話の盛り上がりどころであり、音楽で言うところのサビであり、映画で言うところのセカンド・ターニングポイントなのだ。
だからというわけではないが、友人との二人旅の行き先を選んだバンコクで、何か起きることを期待していたフシはなくはない。
ただ、そのトラブルとやらは、予想外の方からやってくるものなのだ。
出発 いろいろとギリギリ
2泊3日+αで行ける海外は、選択肢は限られるものの東アジアか東南アジアなら十分いける。そんな中、僕らが選んだのはバンコクだった。理由は簡単で、僕らが旅を計画した2月で、まともに行ける国はタイぐらいだったのだ。(2月は旧正月を祝う国は飛行機代が高騰しているため)
そんな消去法で選んだ行き先だったが、僕らには今回、旅の目的があった。バンコク駐在経験のある友人から「プーパッポンカリーがうまい」という情報を仕入れたのだ。
勝利条件:プーパッポンカリー
そして迎えた当日、日暮里で合流し成田空港で見た光景が、
一面の銀世界。
この日、関東では今シーズン初の積雪を記録。昔から僕は、晴れ男でも雨男でもなく、雪男、と言われていたが、今回はそれを遺憾なく発揮したようだ。
これから南国に行くとは思えないコート姿の僕らだが、兎にも角にも荷物検査に進む。というか、この天候で飛行機は飛ぶのだろうか、と心配しながら、窓の外の雪模様を見ながら朝食を取る。そして意外?にも時間通りの搭乗となった。
ただ搭乗してからは、飛行機に積もった雪の除去のために1時間ほど作業。飛行機の積雪除去というものは初めて見るとともに、のっけから軽いトラブルによりこの先の旅の期待が高まる。
1時間ほど作業した後、飛行機は無事に離陸。1時間程度の遅れなら痛くも痒くもない。(後に調べたところ、僕らが離陸した後の飛行機は軒並み欠航になったようだ。もう少しで痛くも痒くもあった。)
今回の航空会社はスクート航空。LCCのため食事は出ない。そのため僕は買っておいた、おにぎりをぱくつく。僕が食べ終わったあたりで友人も、パンを食べようとすると乗務員に止められる。どうも外から持ち込んだ食事はNGらしかった。僕はご禁制品のおにぎりを食べてしまったということになり、友人はパンを密輸することになった。
チャトゥチャック市場 アジア的わさわさ
映画を2本見終わったあたりで、ドンムアン空港到着。観ていた映画が「告白」と「ユージュアルサスペクツ」という、割と重めの映画だったので、旅の始まりとしていいのか悪いのか。(ただめちゃくちゃ面白い。)
飛行機を降りると同時に、まとわりつくような湿気と暑さ。
「あぁ、こういう感じか。」
どことなく独特の香辛料的な香りが漂う。異国にきた、という実感は、この香りの違いによって感じるのかもしれない。そして成田での雪が嘘のようだ。
空港で両替を済ませてSIMカードを買おうとしたが、パスワードが分からない。店員から「ナンデ〜〜笑」と言われたが、分からないものは分からないのだ。一方友人は、密輸したパンを食べている。
空港からバスに乗りチャトゥチャック市場に向かう。バスの運賃は乗車中におばちゃんがまわって来るというシステム。チャトゥチャックで降り、荷物を背負ったまま市場見物。
チャトゥチャック市場は、ドンムアン空港とバンコク市内の中間地点にあり、タイ最大の市場で、世界最大とも言われる市場。15,000以上の店があるので、全てを観て回るのは無理というもの。日用雑貨・衣類から食事、芸術作品・民芸品に至るまで、ありとあらゆるものが、所狭しと売られている。
夕方だったので、暑さも耐えられる程度で、荷物を背負ったままの僕らは、アジアらしい、わさわさしている雰囲気を体験する。
プーパッポンカリーとの戦い
チャトゥチャックから、BTS(バンコクスカイトレイン)で数駅のサナームパオ駅のホテルへ。早速チェックインして部屋に案内されると、安価な割に綺麗な部屋だった。外国人客も多いらしく、英語の会話も不自由はない。
ところで、タイは下水管が細いため、トイレットペーパーを流せないらしい。もしかしたら、という思いでフロントに聞いてみると、何やら分かった、というリアクション。何が分かったかのかは不明だが、それならそれで、日本人的には「よろしくお願いします」というしかない。
時刻はすでに日も落ちたころ。プーパッポンカレーを探して、バンコク中心部のサイアムスクエアに向かう。
サイアムスクエアは、ショッピングビルが立ち並ぶ繁華街。目当てのプーパッポンカリーの店「ソンブーン・シーフード」は、サイアムスクエア・ワンというショッピングモールの中にある。
このスクエア・ワン、ダイソーやら大戸屋やら丸亀製麺やら、日本でもお馴染みの店がやたらと入っており、ほぼイオンモール。ヴィレッジ・バンガードでもあれば完璧だ。
ソンブーン・シーフードはやはり人気のようで、整理券を発行してしばらく待つというスタイル。やがて席に案内された僕らは、プーパッポンカリーを2つ頼んだ。すると店員のお兄さんは、
「え、2つ??」
的なことを言う。言葉が通じなかったかと思い、僕らは「Yes, Two.」と繰り返す。そしてついでに副菜も2つずつ頼んだ。そして運ばれてきたプーパッポン。
量がメチャクチャに多い。
つまりお兄さんは「君たち正気か?これは普通一つを頼んでみんなで取り分けるんだぞ?」と言っていたのだ。
とは言え、運ばれてきたものはしょうがない。僕らは巨大なプーパッポンを口に運ぶと、これは確かに美味しい。蟹と卵でとじられたシーフードカレーといった感じで、それほど辛くもなく、日本人好みの味だ。これは人に勧めたくなる。そして一人一皿ずつ頼むんだぞ、とホラを吹きたい。
お腹をパンパンにさせた僕らは、それですっかり疲れてしまったので、そのままホテルへと戻った。もう少し夜のバンコクを見物しようかとも思ったが、このプーパッポンは非常に重い。
部屋に戻ると、掃除のおばちゃんが替えのトイレペッパーを持ってきてくれた。どうやら、ホテルを出るときにフロントで聞いていた「トイレに紙を流していいのか?」という質問がうまく伝わっていなかったようだ。あらためて、このおばちゃんに身振り手振りで紙を流していいかを聞くと、やはりNG。仕方がない。
翌日は朝一でアユタヤに向かうため、ここらで一泊。
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