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本を読もう。の話

1.はじめに

結論は、「本を読もう。本の主張を体系化して理解しよう。本を読んだら自分なりの意見、考えに落とし込もう。」です。

特に、コンサルティング業で取り扱う対象は、大半が情報です。論理思考は云々と言われますが、ファクトに基づき、ロジックを作り、意思決定を支援する。その為には、情報を知っていること。情報を整理する視点を知っていること、情報を処理する方法を知っていること。これは武器になります。

前置きが長くなりましたが、コンサルタントがどんな読書をしているか。つらつら書き連ねます。まあ、私自身、読書が好きなんですよね。

※補足)本の読み方に王道、正解は無いです。読み方は目的では無く手段です。多くの手段を知っていると、目的に応じて使い分けが出来る。よって、押し付けたり、正解と主張するものではありません。あしからず。

2.どんなジャンルの本を読むか

コンサル業を行う上で、下記3つのジャンルを良く読みます。

①学術本(大学の先生の著作)
②企業経営者/著名人の本
③自己啓発よりのビジネス本

①学術本(大学の先生の著作)

学術世界の良さ。それは普遍性、再現性です。成果を出すには、この普遍性と再現性が頼りです。コンサルティングの仕事は、再現性に信頼を頂き、発注を頂きます。ある人が試行錯誤したから、成功した。個人的には非常に感情揺さぶられる、好きなジャンルですが、とかくコンサルの仕事には不適です。その本を執筆した成功者には、誰も成り代われないからです。

だからこそ、学術領域の議論に耐えたフレームワーク、学術論が重要です。また、ある領域で卓越した成果を出された方の著作も大いに参考にさせて頂きます。マーケティング分野で有名な森岡さんや西口さんの著作は大変勉強になりました。

②企業経営者/著名人の本

次に、経営者の自伝。これはお客様の経営者の目線で企業経営をどの様に捉えているかを疑似体験できます。疑似体験の蓄積がリアルの場で活きます。(その神髄の1%も理解できていないと思いますが)

代表的には皆さまご承知の三枝匡さんの一連の著作が疑似体験ものとしては秀逸ですよね。自分ならどの様に判断するか。特に「ザ・会社改造」は、著者から読者に対し、視座を高める様な、挑戦的な問いかけも印象に強い所ですね。

一方で、不朽の名作を1冊上げるならこちらですよね。今、隆盛のプラットフォームビジネスの真髄が宅配ビジネスネットワーク構築の文脈で記述されており、今の時代でも普遍的に通用する著作と言えます。

③自己啓発よりのビジネス本

ファクトフルネスとか、少し前だとワークシフト、ライフシフト、グリットとか。ですね。企業内で方針決定を行う中で、ビジネスパーソンが影響を受けている思想は、最低限、基本情報を理解しておいて、損は有りません。

特に、お客様の担当者が、こういう本が好きとか仰っていたら、速攻で読んでキャッチアップです。まあ、これらを自己啓発本と分類するか、ビジネス思想と呼ぶかは議論の余地があるかもしれませんが。

※余談:紙かデジタルか?

あとは、本を紙で買うか、電子で買うか。これは結論がはっきりしています。理論を理解したいなら、絶対に紙です。とかく、この仕事をする上で、やはり紙に書き込みメモをします。

文章で書いていることを、絵で書いて構造化し、自分なりに新しい軸を加えてみたり。各章を通じて論じられていることを、白紙の頁に1枚でまとめてみたり。それらメモ情報を読みながら資料に落とす。これは紙が絶対的に効率的です。※対象:上述の①

一方で、疑似体験もの。匂いを感じる。感情を共有する著作は、空き時間に読み返す手軽さが好ましい。となると、やはり電子です。特にマーカーを引いた文言と、その周辺を振り返り、認識を新たにするには非常に有益なツールです。※対象:上述の②、③

3.3つのドリブンで読む

前置き長くなりすぎ。本論です。3つのドリブンで読む。です。(たぶん、ドリブンって言いたいだけです。)

①メッセージドリブン

良書ほどメッセージが秀逸です。メッセージだけ読みましょう。後は枝葉。パラグラフの冒頭と最後を読んで、要は何を言いたいか?メッセージを拾っていきます。ただ、超絶良書は枝葉も面白いので、結局全部読んでしまうのですが。。

下記のプラットフォーム革命はKindleで購入し、紙でも購入しました。それぐらいメッセージが尖っていました。(これぐらいの本でそんなに言うとか思わないで下さい。いじめないでください)

②ファクトドリブン

メッセージを読んだら根拠です。知らなかった事実に基づく真実は誰しもハットします。主張の裏側にある根拠を読みましょう。秀逸な著作は下記です。悩みましたし、これだけに限りませんが、ファクトベースで驚嘆した著作なる目線で。個人的な選択です。

田中 靖浩さんの「会計の世界史」と合わせて読むとより理解が深まります。会計が大切だ。と言うならば、なぜ、人類は会計を発明し、今に至るのか。その背景を知ることで、語れる深みが変わってくる。こんな気づきを与えてくれる超絶良著です。

次に挙げるなら、経営戦略全史です。ビジネスモデル全史も併せて推奨です。本当は、ミンツバーク著の戦略サファリを上げようと思いましたが、ファクトドリブンの文脈とストーリー性では、前者に分がある様に思いました。もちろん、両方を読む事を推奨します。(って、あなたは誰目線なのよと突っ込みたくなりますね。すみません。)

③気づきドリブン

その上で気づきありきですよ。いくら本を読んだ所で、受け売りは、見透かされます。ある著作を読みました。自分はこの様に読み解きました。個人的には、この主張に対しては、この様に考えます。など、個人の気付き、感情の動きを伝えることで、お客様も心動かされる。そういう状況は往々にしてあろうかと思います。

本を読む事は目的ではありません。お客様のお悩みを、実現したい事を成就する。その為の材料を仕入れる手段です。同じ著作でも、自分の成長。置かれた立場、シチュエーションで、本から得られるメッセージは変わります。はい。何度も読み返しましょう。不朽の名作は必ず、あなたの疑問に答えを出してくれます。(って誰目線やねーん。)

何度も読み返すと言えば、プロフェッショナルの条件です。成果を上げろ。成果でしか測られない。としか言っていな気もしないではないのですが、気づきだらけです。

その関連で言うと、経営者になるノートも挙げて置かずにはいられませんね。成果を出す事へのコダワリを徹底的に説いていますね。

4.体系で読む

3つのドリブンで読んだらそれら本を体系づけます。

①位置づける

経営戦略の文脈で言っても、例えば、戦略サファリで各学派(スクール)が紹介された様に、異なる主張、似た主張など種々あります。読書対象の著者の立場、メッセージはこれまでの主張と何が違うのか、同じなのかを読み解き、自分の脳内マップに位置づけます。

自分が興味がある分野は、定期的にアマゾンで検索を掛けて、目ぼしい著作はまとめ買い、一気読みします。これにより、対象領域の先端の話題がアップデートされ、脳内マップが拡張されていきます。

余談ですが、この位置づけが出来ると、本を読むスピードが圧倒的に早まります。なぜなら、過去の他の著作で語られている箇所は読まなくて良いからですね。新しい事が書いてある箇所はどこかしら。ああ、ここね。良い事言っているね。なるほどね。みたいな感じで、大概は1時間以内に読み切れる様になります。※速読が目的ではないですが。

②関係づける

位置づけるにも近いですが、例えば、デジタル化やSaaS化、サブスクリプションビジネスなんてのが、一昨年辺りから大いに日本でも紹介される著作が増えてきました。これら著作を従来の経営戦略の領域や、新規事業の世界と関係づけると、どの様なコンサルティングサービスに繋げられるか、関係づけていきます。

その他にも、ロジカルシンキングの対局にある様なアート思考やデザインシンキング、組織論ならティール組織など、新しいコンセプトがどんどん出てきます。私の本領が一応、戦略の旗印を掲げているので、それら新しい変化を捉えると、どの様な新しい発想が考えられるか。関係づけを行います。

③意味づける

最後は意味付けです。これは仕事に繋げる為の意図が強いです。新しい概念を学んだならば、それらを用いたコンサルティングプログラムを考えます。

事実として、企業側は新しい有益なプログラムがあるならば、会社に導入し成果に繋げたいと考えています。(要は売れます)いやいや、大企業病だよ。人のモノマネしてどうするのよ。自分で考えなさいよ。と突っ込みが聞こえてきそうですが。世の中、ノウハウ本や情報商材が流通する訳で、人間楽して儲ける方法は常に探しますし、試します。合わなければ捨てれば良いだけです。リーンスタートアップですよ。違うか。

話が横にそれました。本の売れ筋が世論の全てではありませんが、要は意味づけるとは、下記の4象限に本の内容を位置づけ新しいコンサルティングプログラムを考えることです。

(1)本に書いてあり、自分も知っていること
(2)本に書いてない、自分は知っていること
(3)本に書いてあり、自分は知らないこと
(4)本に書いてない、自分も知らないこと

既にお気づきの通り、(3)は短期で仕事になる可能性があるので、キャッチアップを試みます。(4)が最も価値があります。まだ、世の中では大っぴらに言われていないが、次に来るトレンドってなんだ?そんなことを考えます。自身の知識体系の外側を探索するイメージですね。

5.おわりに

今の私なりの本の読み方の視点を記述してみました。本の読み方は人それぞれ、強制するものではありません。そういう考え方もあるよね。と。何かのキッカケになれば本望です。

本を読むことに関しては、この分野は先人、先達の多くいらっしゃる世界と思います。より有益な情報をお求めの方はそちらへ。私の方法がベストと思っていませんし、今のスタイルも変わっていくと思います。

仕事柄、本には感謝してもし足りないぐらい、恩恵を授けて頂いているので、その感謝の気持ちも添えて、私なりの本の読み方を振り返ってみました。

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