@pirika_upas

クリプトとかエンタメらへんのAMLとかコンプラとか法務とか

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最近の記事

web3スタートアップ法務が解説するNFT取り扱い時の3つの留意点~最新の金融庁パブコメ回答を踏まえて~

はじめにこんにちは!Gaudiy法務のひと(@pirika_upas)です。直近の金融庁事務ガイドラインの改定の内容について、bizdev・開発者向けに実施した社内法務勉強会の内容を以下で共有します。 本稿のテーマ これまで、NFTとして発行したトークンの暗号資産の該当性ついて、少しグレーの部分があり、実務上の課題とされてきました。 この課題については、昨年末の金融庁の事務ガイドライン(金融庁職員向けの手引書だが、ビジネスの実務上も無視できない指針。以下、GL)の改正案の

    • ファン国家のルールメーキング:法務から見たweb3の理想と課題

      はじめまして、株式会社Gaudiyで一人目法務を担当しているTAKANO(@pirika_upas)です。以下では、Gaudiyが掲げる理想『ファン国家』のルールメーキングとweb3法務の課題についてご紹介します。 Gaudiyに入るまで2016年にDMMグループへ転職する際、偶然に知ったビットコインで私のキャリアが決まった感じがします。英国の大学院では国際関係論を学んだこともあってか、ビットコインという、国家が発行しない「マネー」なるものやその機能(第三者を介さずP2Pで

      • 仮想通貨取引所のコンプラが解説するTornado Cashに対するOFAC制裁【後編】

        1. 前編の概要前編では、OFACのTornado Cash(以下、「TC」)への制裁の背後には、北朝鮮のサイバー犯罪の高まる脅威があったこと、そしてクリプト関連では初めてDAOと呼称できるような組織が制裁対象となり、制裁の効果を高める手段として初めて技術(スマートコントラクト)がブラックリスト化された様子をご紹介しました。 従前、クリプト界隈のAMLに対する姿勢は、主にFinCENの業規制の考え方に沿っていた節があり、一般的にノンカストディサービスにAML義務はかからない

        • 仮想通貨取引所のコンプラが解説するTornado Cashに対するOFAC制裁【前編】

          はじめに8月に入って、クリプト領域の話題をさらった事件として、OFACによるミキシング「Tornado Cash」(以下「TC*1」)に対する制裁指定がありました。 米当局による措置は、クリプト界隈において抱かれていたであろう、分散的に運営される組織(DAO)やそこで開発される機能・技術に対しては規制はかからないだろうとの期待を裏切ったという意味で象徴的な事案になるように思います。 以下では、あまりこの業界に馴染みのない方でもなるべく雰囲気が伝わるように、今回のOFAC制

        web3スタートアップ法務が解説するNFT取り扱い時の3つの留意点~最新の金融庁パブコメ回答を踏まえて~

        • ファン国家のルールメーキング:法務から見たweb3の理想と課題

        • 仮想通貨取引所のコンプラが解説するTornado Cashに対するOFAC制裁【後編】

        • 仮想通貨取引所のコンプラが解説するTornado Cashに対するOFAC制裁【前編】

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年7月】

          7月は、増加傾向にあるミキサー利用の話題、日本の金融機関におけるコンプラ費の話や、NFT領域と経済制裁の近接、米法執行機関職員のクリプトに対する認識、SECの法執行などについて取り上げました。 1. ミキサー利用のAll Time Highについてブロックチェーン事業者向けにコンプラツールを提供するChainalysis社は、オンチェーン情報を用いた調査の結果、ミキサー(取引情報を秘匿化する技術又はサービス。ミキシングとも。)の利用が一時的に過去最高に達したと伝えています。

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年7月】

          クリプト「インサイダー取引」に対する相次ぐ法執行 米政府の最近の動向を読み解く

          相次ぐ「インサイダー取引」に対する法執行米国では、司法省(以下、「DOJ」)が、連邦法の通信詐欺罪を適用し、NFTおよび仮想通貨の「インサイダー取引」の取り締まり強化を始めています。 DOJは、6月1日、インサイダー情報(機密情報)を利用した取引について、最大手NFTマーケットプレース「OpenSea」(Ozone Network, Inc.)の元プロダクトマネージャー(Nathaniel Chastain)を通信詐欺およびマネロン罪の容疑で逮捕、起訴しました(以下、「ケー

          クリプト「インサイダー取引」に対する相次ぐ法執行 米政府の最近の動向を読み解く

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年6月】

          はじめに今月は多くのAMLがらみのニュースがあり少し書くのが遅れました。なかなかキャッチアップするのが大変でしたが、以下で主要なものにコメント添えて取り上げます(既にツイートしているものが多いです)。 英大蔵省 業界の意見踏まえマネロン関連法改正へ英大蔵省が、「Amendments to the Money Laundering, Terrorist Financing and Transfer of Funds (Information on the Payer) Reg

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年6月】

          NFTガチャと賭博に関する最新の議論を読み解く

          1. はじめにNFTの販売手法の一つとして、トレーディングカード(以下「トレカ」)のパッケージ販売のように、中身がわからない形態で販売する方法(以下、「NFTガチャ」)が考えられます。 しかしNFTガチャによる販売方法が、賭博にあたるのではないかと言う声があります。 いったいNFTガチャを巡って、どのような議論がなされているのでしょうか? 今後も国内でのサービス展開は難しいのでしょうか? このnoteでは、上記について紹介したいと思いますが、説明することが多く、長い記事

          NFTガチャと賭博に関する最新の議論を読み解く

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年5月】

          今月も先月に引き続き、仮想通貨業界におけるマネロン関連のニュースをまとめます。 米財務省OFACによる初の仮想通貨ミキサーへの制裁(5月7日)北朝鮮が関与するとされる組織、Lazarusによるマネロンを幇助したかどで、初めてミキシングサービスが制裁対象になりました。この措置は、大統領令(E.O. 13694)に基づき悪意のあるサイバー活動を抑止するもので、OFACは関係するビットコインアドレス45個をSDNリストへ追加しました。 この案件は、2022年3月に人気のブロック

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年5月】

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年4月】

          はじめに 仮想通貨取引所のコンプラ業務をする中で、国内外のAML関係の資料・記事を週末も含め読む・聞くことが多くあります。せっかくなので、重要そうなものを毎月、簡単にご紹介できればと思いました。 想定読者はクリプト業界にいる方全般ですので、通常はトレンドの記載にとどめ、詳細は必要に応じて記載しようかなと思います。 今月は、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえた動きが多くありました。 金融庁:「マネー・ローンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策の現状と課題」(2022年3

          仮想通貨取引所のコンプラが注目したAML関連ニュース【2022年4月】

          仮想通貨取引所のコンプラ担当から見たトラベルルール その2 【取引所比較編】

          はじめに 前回のnoteでは、幸いにもたくさんの方にお読みいただけました。その一方で、トラベルルールに関してはやはり周知が全く足りてないよねと強く思いました。いくつか追加の質問をいただいたのと取引所ごとに対応に差がありそうでしたので、まとめてみました。参考になれば幸いです。 前回のnote 【留意】Q14は、筆者が各取引所の案内等リリースを調べた暫定的な情報に過ぎません。今後利用規約等が変更され、より具体化される可能性もあります。各取引所に関するトラベルルールの対応の詳細

          仮想通貨取引所のコンプラ担当から見たトラベルルール その2 【取引所比較編】

          仮想通貨取引所のコンプラ担当から見たトラベルルール 【9の回答】

          はじめに日本の取引所からトラベルルールの案内が出始めていますが、肝心なことがわからないと思います。そこで、知人などからよく聞かれるトラベルルールに関する10の質問に回答してみます。このほかにも、質問があれば教えてください。 ※なお、以下では暗号資産交換業者を取引所と呼び、ビットコインなどの暗号資産を仮想通貨と呼びます。 【留意】あくまで一人のコンプライアンス職員としてこう考えていると言う程度のものです。 FAQ1. トラベルルールとは何? この質問はネットで調べればす

          仮想通貨取引所のコンプラ担当から見たトラベルルール 【9の回答】

          ロシアへの経済制裁と仮想通貨の取引所での対応について

          はじめに 最近、とても気になる論調として、ロシアが制裁を迂回する手段としてクリプト(仮想通貨)が使われるのではないかという懸念が取り上げられています。その議論に入る前に、一般の方にはあまり知られていない取引所のAML(アンチ・マネー・ローンダリング)実務の内容について、一部、ロシアへの経済制裁に触れつつ、少しご紹介したいと思います。 ※なお、以下では暗号資産交換業者を取引所と呼び、ビットコインなどの仮想通貨を暗号資産と呼びます。 まずはじめに、日本における対ロシア侵攻に関す

          ロシアへの経済制裁と仮想通貨の取引所での対応について