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そしてこの世界はつづく
ダ・ヴィンチニュース
星野源ネットインタビュー記事
https://ddnavi.com/news/363934/
なんか、久しぶりです。
源くんにまつわるニュースやインタビュー記事にホッとしたのは。
わたしの源くん熱が一番高まったのは、strangerが出て、源くんの新しい音楽たちが、我が家のオーディオをどかーんと爆発させたとき。
わあ!
と顔を明るくしたのは、私より息子の方が早かったと思う。
おうちにひとりでいるしかなかった時間が長かった息子にとっての音楽というのは、わたしが流しておく音楽がすべてで
だからホシノゲンも、エラ・フィッツジェラルドとかビルエバンスとか大橋トリオとかとおんなじ、っていう認識しかなかったと思う。
時々口ずさんでいるのを見たりしたけど、嬉しそうに『ぼくの音楽』として聴いていた記憶は、ない。
それが、strangerで変わった。
息子は音楽にまつわる名前であるにもかかわらず、音楽の授業は大嫌いで、歌をうたうための喉を開こうともしない男の子だった。
それが、夢の外へのステップを楽しそうに踏んだり、がんばるなんて大の苦手だったのにギターを練習するようになったり。
彼の中のなにかを動かしてくれた、源くんの音楽。
ひとりきりの、安全で、少し寂しい世界で歌っていた源くんの音楽を、聴くともなしに聴いていたからこそ
外へ歩き出した源くんが、まるでカーテンをあけるみたいに、息子にも光を射してくれたようだった。
フィルムをテーマソングに受験勉強した日々が、ほんとうになつかしい。
そんなふうにわたしたちの生活のなかに源くんの音楽があったから、のんびり暮らしているわたしたちの暮らしのスピードとどんどんかけ離れてスターになっていく源くんを、はじめのうちこそ『ぼく、源くんのファンなんだって言って、はじめて“知ってるー!”って言ってもらえたよ』と嬉しくみていられたけれど、次第についていけなくなっていった。
選ばれた特別な人になっていく源くんは、勝手に親近感を覚えていた息子にとって、ただのスターになってしまった。
良かったね、源くん。
本当にそう思っているけど、もう『ぼくの音楽』ではなくなっちゃったんだ、ごめん。
と息子がテレビに向けた背中に、書いてある。
源くんの音楽が好きになったのは、わたしが先だったけれど、わたしが源くんを特別に思えたのは、息子の成長とリンクして花が開くのを目撃したから、だったんだなあとわかってしまった。
源くんはすごく真っ当な人で誠実だし、がんばりやで優しくて、思いやりのある素敵な人だなあと、源くんの言葉を聞いたり目にするたびに、心をあたためてもらっている。
だから、彼がこうして方々で評価されていくのを、一時のブームだとは思わないし、むしろ当然よ!ぐらいに思っているんだけど。
でも、急にスターになってしまった源くんの電光石火ぶりに、またひっそりとしてしまった息子に陰りがみえて
それは全然源くんに関係がないことだし、むしろ、しっかり頑張んなさいよ、あんたも(息子)!と思ってはいるのだけど
次のツアーのチケットは申し込まない、と息子が言ったとき、源くんを追いかけるほどの熱が、とうとう私にも、なくなってしまった。
だけど今日、久しぶりに源くんの言葉を読んでいて“そして生活はつづく”の巻末のテーマと今回のエッセイの巻末のテーマを繋げたことで、ちゃんと着地させてくれた、決着をつけてくれた、というのがわかって、あ、読んで欲しいと思ったのだ(息子に)。
小学生の頃の息子は、源くんのエッセイを読んで、これはぼくの物語だと、こんなぼくでも大人になったらちゃんと仕事があって仲間ができて、あーまたバカをやってしまったと時々ガッカリしながらもちゃんと生きていけるんだと、嬉しかったに違いない。
ひとりだというのは怖いことではないんだと思えたから、目の前が明るくなったんだと思う。
だけど、源くんとぼくは違う、という当たり前のことを知ってしまったら、ひとりで本当に大丈夫なのか、急に不安になってしまった。
それがわかるからこそ、源くんが、どうやってここまで来たのかを、どうやって“今キミがまとっている不安”を乗り越えたのかを、読んで欲しいなあと、母は思ったのだ。
でも、それも、息子が自分だけの答えを、いつか、自分で見つければいいのかもしれない。
だから、息子が何年も経って大人になって、おじさんになって、生きることに焦りがなくなった頃に、
『ああそういえば、ぼくはこの人が大好きだったんだけど、途中で苦しくなって目を背けたんだった』
と懐かしくなって読んでくれたらいいと思い、“いのちの車窓から”を一冊、買って帰ることにした。
それが、今日、思ったこと。
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