ぼくのそばにいて
姉が結婚した時、めでたい気持ちより先に一抹の寂しさがあった。
嫌いな部分はあっても、ずっと仲良く笑いあってきたお姉ちゃんが遠いところにいってしまう。嫁いでいく先が遥か遠くの土地だとか、そういうことじゃなかった。
名字が変わるだけ。そう意識しても、離れていく感覚はどうにもぬぐえない。さびしい。さびしかった。
姉はこの家にずっと嫌悪感を抱えていて、一人暮らしを始めるときも「ここにはいられない」と言っていた。気持ちはわかったし、その時は姉らしいなと思っただけだったけど。
一人暮らしも嫁いでいくのも、ただ遠くなるだけなのに。まったく感覚が違う。
結婚式前日。お姉ちゃんが背を向けてどこかへ行ってしまう姿が、心に浮かんだ。
そして時は流れ、僕も結婚することとなる。
やっぱりそこには寂しさがあった。
僕というものの意味が、父と母から離れてしまったような。ずっと守ってきてくれたこの人達の「子供」ではなくなってしまったような。そんな気持ち。
僕は、僕個人でしかなくなってしまった。
・・・守られていたい。
暖かな愛情に包まれていたい。そうだ。守ってくれる人が離れていくのが寂しいんだ。
家族だけじゃない。尊敬してた先輩や、大好きだった同僚。みんなが僕を見守っていてほしい。
ぼくをほめて。ぼくをしかって。ぼくをすきでいてほしい。
そして、ぼくのそばにいて。
こんな願いを抱えてちゃ、ひとりじゃ生きていけないよ。
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