愛しいよ、こっぺ。

嫁さんをなんで好きになったのかと言われると、なんだか説明しづらい。
いい匂いがするとか、柔らかな雰囲気とか、勤勉さとか。きっかけとなる要素はいくつかあるけど、どれも決定的じゃない。
ふわっとした「好き」を考えるうちに焦点が定まって、すっかり好きになった。そんな感じだ。ただなんというか、この人なんだろうなというフィーリングがあった。

好きが大好きになって。結婚して、4年たった。
色々なことがあったけど、いまでも変わらない。僕たちは毎日一緒にお風呂にはいって、おやすみのキスをしている。

けど。

まぐわいの時、気持ちが熱と共にせりあがって「愛してる」と言葉にすることがある。
きっと、この言葉に違和感があるのは僕だけじゃない。
燃え上がるほどの恋を知らず、ふたりは愛をこぼしあっている。

水彩画にいくら色を足しても、それは水彩画なのに。

虚しくはない。言葉にすれば、胸に残る違和を無視できるだけの感情がそこにある。
ただその熱の注ぎがおわったあと、またズレが泡のように湧いて、自分を僅かにぐらつかせる。

でも。

止められないのが恋だろうか。狂おしいのが愛だろうか。

違うとは、言えない。
でもね。好きになった理由はしっかり言えないけど、今君が好きな理由は言える。

好きだよ、こっぺ。僕はほとんどこのあだ名で呼んだことはないけど、家族だけで使われてるこの愛称がとても愛しい。だって、君の可愛らしさをよく感じさせる。

好きだよ、こっぺ。否定が苦手なとこも。声が小さいのに、僕の冗談で笑うときは無邪気になるとこも。その笑い声も。

好きだよ。好きだ。どれだけ嫌なことがあっても、まわりのことを考えるところ。僕にはない、しっかりとした清さが。

辛いことがあったとき。胸が苦しいとき。逃げ出したくなるとき。
君が愛しくなる。

その柔らかな肌にふれて暖かさを感じたくなる。声を、聞きたくなる。
そうだ。君の声が好きだ。やわらかい。やわらかい声だなぁとおもう。

僕の声は拡声器のように通るのに、君の声は空気そのもののように、ふわりと消えてしまう。でも、その声が聞きたいんだ。

愛しいよ、こっぺ。

君がいる幸せがいつも胸に染みる。買い物をしている時。散歩をしている時。酔いつぶれて目が覚めて、ベッドへ行ったときの君の寝顔など。ふつふつと湧き上がるこの気持ちは、やっぱり「愛してる」ではないけど。

でも。愛しいよ、こっぺ。
じわじわと、染みながら広がって。もう、抜けない。

君が愛しい。ずっと、一緒にいたいよ。ねぇ。




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