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ちょっと聞くとなんか怪しい感じもするが、大丈夫だ。

日曜日のヨガは、体をまったく動かさず、ただただ目を閉じて横になって時間を過ごすというものだった。メディテーションといって、ヨガとは切っても切れないもののようだ。つまり、瞑想。ちょっと聞くとなんか怪しい感じもするが、大丈夫だ。ただ考えごとを、するともなしにしているだけのことだ。これで合っているのかどうかはわからないが。何はともあれ、体を横たえ、ゆっくり休めることができた。その一方で、明日からのレッスンが厳しく感じられそうで怖い……。

お昼前、昼食を買いに行く道すがら、八百屋で買い物。店の人と、近隣の飲食店のおすすめテイクアウト情報を交換する。発信が得意でないお店のことは、こうした口コミで教えてもらえるのでありがたい。今日もまた1軒、新しいお店について教えてもらった。店の人によれば、だんだんと、テイクアウト営業が軌道に乗ったところとそうでないところが、大きく分かれてきているようだ。うまくいっていないところはつらい状況だろうし、うまくいっているところだって、通常営業と比べれば厳しい状況にはちがいないはずだ。いずれにしても、小さな飲食店が、今のような形の営業をさらに1か月続けるというのはそうとうに厳しいのではないだろうか。

夕方、予約しておいた鍋セットを受け取りに出かける。ついでに、義母のためのお惣菜も。今日の鍋は、“鱧と玉ねぎの鍋”。淡路島でとれた鱧と玉ねぎと葉物野菜をたっぷり使った鍋だ。店を訪ねると、「毎週、すんませんねえ」と、板前さんが言う。顔には、いくばくか疲れが見える。弁当や鍋セットのテイクアウト営業をスタートしてから3週間。評判が評判をよんだのだろう、日々の注文がどんどん増え、特に週末はあまりの予約数に息を切らしながら、なんとか対応しているようだった。「千代の富士が引退したときの、『体力の限界……』という言葉を思い出しますわ」と、笑っていた。

テイクアウト営業が順調そうなのはうれしいが、通常営業時より、明らかに勤務時間は増えているとのことで、少し心配になる。とにかく身体を壊さないようにしてほしい……。そして、なんとか持ちこたえてほしい……。そのために、今のところわれわれにできるのは、ごはんを買いに行くことだ。

鱧鍋は、みごとなできばえだった。真っ白に光る鱧が並んだかごと、底の方までぎっしりと野菜が詰まったかご。だしを火にかけながら、かごの中から少しずつ具を選んで入れていく。鍋は、楽しい。骨切りが丁寧にほどこされた鱧は、ふっくらとやわらかく、玉ねぎの甘さや野菜のほろ苦さと合わさって、上品で後を引くおいしさだった。野菜をたっぷりとることができるのもいい。鍋は、究極の温サラダだ。

最後に残っただしで、にゅう麺を作って食べる。子どものころから、「まんが日本昔ばなし」が大好きで、なかでも「そうめん地蔵」と「お花地蔵」という2話が載ったブックレットを愛読していたわたしは、素麺が大好きだ。むろん、にゅう麺も大好きであり、おいしい鱧鍋の残りで作ったにゅう麺を気に入らないはずがない。わたしにしては珍しく、夫と取り合いぎみになりながらすべて平らげた。今日も、おいしい食卓を囲めたこと、板前さんに感謝したい。

夫が丹精込めて育てあげた塩麹が、ついに完成したようだ。早速、鶏肉を漬け込み始めていた。「肉を何かに漬け込んでおいしく焼く」という彼の一連の研究は、はたしてこれをもってゴールとなるのか。この鶏肉が焼かれるときを楽しみに待ちたい。

ラジオ体操は、なし。

(2020年5月3日)

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