見出し画像

毎日12時間研究に没頭しながら週に4冊本を読む大学院生の読書術

こんにちは。
私は博士課程の大学院生で平日は12時間、休日は6-10時間程度研究を行う忙しい日々を過ごしながらも、週に3-4冊もの自分の専門とは違う本を読んでいます。
私のnoteではその毎日の中で読んだ本を紹介しています。
この記事では、私が敢えて自分の専門分野と関係ない本を読む理由と、忙しい時間を縫って複数の本を読む方法について紹介します。

本を読みたいけど忙しくてなかなか手を出せない!と思っている方がいらしたら是非参考にしてみてください。

活字中毒の幼少期、読書をやめた青年期

中学生までは読書家でした。親も読書家だったのでその影響で、3歳で岩波文庫を読むほど活字に飢えていました。小学校ではクラスが学級崩壊していたので、授業をサボって図書館や資料室に忍び込み、片っ端から本を読みました。当時の図書館と資料室の本は一通り目を通したと思います。研究者を目指したのも、小学3年生の時にとある古本屋で購入した日高敏隆先生の「人間はどこまで動物か」がきっかけでした。

高校からは校内の部活カースト上位の部に入っていたこともあり、暗くみられるのが嫌で日中は本を読まなくなりました。その習慣が続き、大学と大学院修士課程ではほぼ本を読むことはなくなりました。当時は読書よりも友達や恋人と食事をする方が大事でした。

博士課程になってから読書を再開した経緯

修士号を取ってから研究の進捗が滞りました。
その頃は平日休日問わず毎日朝7時から夜23時まで、場合によっては研究室に泊りがけで研究をしていました。当時研究室には学生が自分しかいなかったので誰にも文句は言われませんでした。
しかし、そのようなメリハリのない生活を続けていたこと、修士号を取得し気持ちが落ち着いたこと、いいデータが出なくなったこと、そして最大敵コロナ禍で人と関わる機会が全てなくなったことの4コンボによりサイエンスへのモチベーションがみるみるうちになくなっていきました。毎週行うボスへの進捗報告で実験の条件検討しか報告しない自分に気がついたときは、修士号を取得して半年が経過していました。
このままではあかん!と仕事の生産性やモチベーションを上げる方法を片っ端から調べました。すでに自分の精神性と仕事方法に問題があるだろうということには薄々気がついていたので、この頃にはすでにビジネス書や自己啓発本を読めばいいのであろうことは思い立ってはいました。しかし、これまで小説や文学作品ばかりと関わっていた狭い視野では、活字が苦手な人のために大きい文字や太文字を駆使してページをデザインしているそれらの書籍を、あれは国語が苦手で自分の意志を他人に委ねるタイプの阿呆が読む本だと馬鹿にしていました。しかし、生産性や仕事術などのキーワードに引っ掛かるのはそのようなビジネス書、自己啓発本ばかり。上述した変なプライドがあまりにも邪魔をしてくるので、じゃあ手に取る以外の方法でそれらの本にアクセスしよう、とYouTubeでそれらの本を要約・解説する動画を沢山観ました。それを続けるうちに、YouTuberの紹介する本を自分でも読んでみたくなりはしたのですが、相変わらず変なプライドが文字で埋まった表紙の本を買う自分を馬鹿にしています。また、現実的にもハードカバーが多いそれらの本を大量に購入する資産はありませんでしたし、いつ引っ越すかわからない身の上で本を大量に購入するのはなるべく避けたいと思っていました。

効率の良い読書方法との出会い

書評動画をBGMに作業を続けるうちに、ビジネス書の要約動画を多く投稿しているDr.ヒロさん(*Dr.というがPh.Dではないらしい)が動画内で紹介する、”Audible”というサービスに興味が出ました。

Audibleはアマゾンが提供するビジネス書や小説を耳から聴いて読むサービスです。目と手を使わずに耳と頭だけ使うので、作業や家事、移動中などの読書にもってこいの商材です。

(元)活字中毒としての私の変なプライドは、文字を目で追わない読書を読むと言うな!と何度も囁いてきましたが、大きい文字でページが埋まった本を買いたくないプライドと、むくむくと膨れ上がる読みたい好奇心の方が大きくなってきたので登録してみました。
当時のAudibleは1ヶ月にコインがひとつ付与され、好きな本を無料で購入できました。それを返品処理すればコインが返還されるので実質本を好きなだけ無料で読めました。(*現在はこの制度はなくなり、月額料金1500円で無料で好きなだけ読めます。神制度すぎる…)
最初は1ヶ月の無料体験期間のみ行う予定でしたが、実際読み始めると面白い本との出会いばかりでした。いつしか聴く読書にも慣れ、好奇心に導かれるままに毎日1冊以上の本を読破するようになり、ズブズブと読書沼に再度ハマっていきました。
Audibleは両手と目線が開放されるので、家と研究室の移動時間、脳死でできる作業時間、煮詰まった時の散歩時間、ありとあらゆるスキマ時間に読書をすることができます。気がつけば、頭を使う研究活動以外は全ての時間をAudibleに捧げていました。Audibleの再生時間は0.5倍から3.5倍速まで設定できるので、考えながら読みたい本は1.7倍速、頭を使わなくて読める教示系の本は2倍速で聴いています。
この方法を継続し、2021年10月から現在までの8ヶ月で約80冊の本を読みました。最初は1冊全体を読むのに最低で1日かかり、聴く読書に慣れるまで3周していたので1週間で1,2冊が限界でした。しかし最近は聴くことに慣れたためか、1週間で4-5冊読めるようになりました。

読書を重ねた結果得られたもの

元々の目標である仕事効率化の向上は、読書を始めてその内容を実践するようになってからみるみる上昇し、毎週の進捗報告で意味のある議論ができるデータを紹介できるようになりました。
これまで読んだ中で、主に研究面で助けになってくれた本をひとつ紹介します。

内田和成「仮説思考」は仕事を効率よく、戦略的に行いたい人におすすめの本です。全ての作業の前に仮説を立ててから行うことで、必要最低限、最短距離で結果を得ることができます。この本ではそのメリットと具体的な方法が記述されています。
研究をするときにはまず仮説を立てなさいと学部で学ぶと思いますが、あまりにも当たり前すぎてその意味や効果を理解して用いている方は少ないのでしょうか。仮説を立てて実験をたくさんやってるのに全く効果が出なかった生産性の低い私にはとても強い味方になってくれました。

また、謎のプライドにより馬鹿にしていた自己啓発本は、自分の精神面を充分に支えてくれました。もちろん根拠のない意見だけを述べる本も少なからずありましたが、論理的に立証された根拠で漠然とした不安を言語化し乗り越える手法を示すいくつかの本には大変に助けられました。自分の視野の狭さが今は恥ずかしく思います。
精神面で支えになってくれた本もひとつ紹介します。

カーネギー「道は開ける」は、社会に生きる人間の多くが感じるであろう悩みを因数分解し、解説している本です。この本を読んだときは色々と人間関係に悩みがあり、人とどう接すればいいのかわからなくなっていた時期でした。この本は目新しいことを言うのではなく、少し考えたら誰でも思いつくような、でも病んで視野が狭い人には全く思い付かないような、そんなことが余すことなく書いてあります。
カーネギーの有名な著作はこれ以外に「人を動かす」もあるのですが、これら2冊の内容は現代の自己啓発本を読んでも大体どれかしらが書いてあるほど一般化されています。自己啓発本に興味はあるけど、できれば根拠があって1冊で大体の自己啓発的な内容を把握したいな、と言う方はカーネギーをまず読んでみてください。

noteで読書感想を公開するようになったきっかけ

これまでの内容とは少しずれますが、私が読書を重ねる中でnoteで感想文を公開しはじめようと思ったきっかけについて最後に紹介させてください。

audibleを始めたばかりでは本を耳から聞く形式に慣れず、1冊の簡単な本を理解するのに3周する必要がありました。紙で本を読む時は1回読めば大体理解できることから、3周を必須とするこの読み方は何かが足りていないのだろう、と悶々と考えていました。
そこで読んだ内容を紙のノートに手書きで残すことにしました。読了後に内容を記録すると考えると、1冊をしっかり読むようになるだろうと思ったためです。この効果は充分に得られ、1冊を1周するだけで内容を大体把握できるようになりました。
しかし、数冊と続けるうちに凝り性が顔を出し、内容を完全にまとめようと読みながらメモをするようになりました。これではせっかく両手が空く読書をしているのに意味がありません。
そこで、Ever noteという電子ノートのサービスに読了後時間と文字数を決めてメモをとるようにしました。キーボード入力の方が手書きより速いですし、なにより文字数を制御できるので書きすぎることはないためです。
この効果は大きく、本来の目的である1冊の本を短時間で効率よく読む読書を続けられるようになりました。

あるとき、樺沢紫苑「アウトプット大全」を読みました。その本は著者の多様な体験を根拠にアウトプットを行うメリットについて語られていました。科学的な根拠を提示して解説する内容ではなかったので全ての内容が参考にできるかは微妙なところでしたが、その中の章で読書記録を公開するメリットについて書いてありました。

学びを自分一人にとっておくのではなく、あえてネット上に公開することで習慣化し、人に見せることを意識したより良い文章を書けるようになる、という内容が書いてありました。
これを読んで、これまでever noteでこっそり記録していた読了記録を、読書の習慣をつけるためにネット上で公開しようと決めました。
媒体はなんでもよかったのですが、twitterは文字数少ないし、instagramは読書好きに届くかわからないし、、ということでSNSではなくブログ形式で、その中でも特にとっつきやすそうなnoteに決めました。

noteで読了記録を公開するようになってから、アウトプットの目的である読書の習慣化は完全に自分のものになりました。
noteで公開する前は面倒で読まない週もあったのですが、noteで公開するようになってからは1週間に最低4冊は読んでいます。
週に読んだ中で、面白かったり新しい考えが得られた本のみをピックアップして文章化し、記事として公開しています。
面白くない本はその時の自分のレベルが足りないなどで今の自分に不必要な本であると認識しているので、積読をしています。また読み直す時が楽しみです。

noteで記事を公開するようになって、「スキ」と言うフィードバックによりnoteに登録していて私の記事を見に来てくれた読書家の方が興味のある本、の共通点が一つだけ見えてきました。
それが「投資」に関する本です。
以前「つぶやき」形式で読了記録を公開していたときも、「記事」形式で公開するようになってからも、投資に関する本はその他の本と比べて、閲覧数に対するスキの割合がとても多いです(計算面倒なので載せてないです)。
世界的に不安定な経済状況下で投資や資産形成に興味ある方が多いのだと実感します。単に興味ある方や専門家がアウトリーチ活動に励みがちなだけかもしれませんが。
このような社会の傾向の一端を見れたのもnoteで読書感想を公開するようになってよかった点です。


長々と読んでいただき、ありがとうございました。
見た目を気にして読書を辞めた視野が狭くて時間のない博士課程の学生が、audibleと出会い隙間時間を用いて沢山の読書をするようになった経緯が誰かのご参考となれば嬉しいです。
audibleは月額1500円ととても安いのに1500円以上の本を好きなだけ読めるので、簡単に元をとることができます。
ぜひ登録してみてください。案件ではありせんので、悪しからず、、、。

今後ともぴぺどの読書感想をよろしくお願いいたします。
それでは、また。


この記事が参加している募集

読書感想文

習慣にしていること

記事など読んでいただきありがとうございました。本当に嬉しいです。 もしよろしければサポートしていただけますともっと嬉しいです!