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モチベーションと好奇心。

なんとなく地面に足がついてない感がある。

向くべき方向は前なのに、
「あれやってみよう」「これはこうしよう」「どんな味なのか」
そういった意欲や好奇心が沸いてこない。
毎日とっても疲れるのだ。

1年前の今頃はとにかく必死で、コロナが流行してからはそれこそ休み返上で売り上げを落とさないように試行錯誤、やれることは片っ端からやった。
もともとは卸業に重きを置いていたが、コロナになり軒並み休業の店舗が増えたため
それをカバーすべく小売業、飲食業、つまり店を毎日開けた。
結果、ありがたいことにほとんどの給付金にお世話になることはなかった。
しかし「なんで貰わないの?」と言われることも多かった。
貰えないのだから仕方ないし、ウチは余裕があるわけじゃ全然ないけど
それよりなにより本当にもっと切実に困っている人がいるだろうから、そこに回してほしいと思っていた。

それにしたってそこから今に至るまで、長すぎる。
昨年は出かけるなら「田舎の方へ行こう」「テレワークだから自宅で飲むコーヒーはちょっと贅沢に」的なお客様が増えたが
長期化する宣言やまん延防止により、引き続きテレワークの方は来て下さるが、そうでない方のお顔を見ることは少なくなった。
この制限からの閉塞感にうんざりし、極力日常をと考える人が多いのではないか。
店をやっている側からしても売り上げに一喜一憂したり新たな仕掛けを考え続けたり、心を揺さぶられ続けるといつかは息切れしてしまう。

で、私はというと経営者、ということで銀行さんや税理士さんや取引先とやり取りをしたり、経理の資料を作ったり、商談したり
細々した似たような調査等の事務や納付やら計算やら手続きやらの雑務と
オープン前に焙煎をするため6時出勤とか続いてなんだかんだやることが多い。

焙煎はありがたいことに結構忙しい。
自分とこの焙煎と、他店の焙煎とやると1回につき結構な量を焙煎することになる。
予熱でだいたい1時間使い、そこからそれぞれの豆や焙煎プロファイルに合わせ順番を組み、焙煎をし更に釜を温め安定させる。
湿気と暑さも相まってかなり過酷な室内となる。

自分とこの焙煎プロファイルは豆の投入温度、ガス圧、焙煎時間やダンパー操作を幾通りかの方法で試行錯誤し、ある程度安定してきている。
季節や空気が変わればまたそこで微調整が必要になる。

他店のものはサンプルがあればサンプルどおりの味を出すために予めプロファイルの予測を立て実行し
差異が出れば原因を探り、その幅や溝を埋めていく。
好きなこととは言え、これもなかなか骨の折れる集中力がいる作業だ。

それをウチの焙煎とよその焙煎を組み合わせて同時にやっていくわけだから、気を付けないと今はどっちの焙煎なのか混乱してしまう。

美味しい=正解=好き?

サンプルが送られて来る。まず飲む。美味い。
よその焙煎が施されたサンプルをそのとおりに仕上げる仕事なので、この味が正解である。
その味を出すために焙煎してから経時変化を確認するため毎日飲み続け、落ち度や差異がないか確認し続ける。
じゃあ、この豆美味しいからウチでも取り扱おう。
ある意味贅沢なことだ。サンプルを仕入れる必要なくウチでの取り扱い商品が増えるわけだから。

しかし。

今までなら同じ豆でも自分が「好き」と思えるように焼いてやるぜくらいにイキっていたが
よその焙煎の正解というものを知ってしまっているため
何となくそれをなぞろうとしてみたり、気づけばその焙煎の矯正や更に精度を高めようとしてしまう自分がいる。
店でリリースするのを1日1日と先送りし、味の確認ばかりして
なんか面白くない。

それは一つの正解だけど、果たしてもともと私が好きな味なのか?
自分の解釈はどこへいった?

おまけに新しい課題が月に1-2度やってくるので
それに忙殺され、他の面白い豆を探すという意欲がなくなっていることに気づく。

SNSでの発信もできない。自分でやった感がないからだ。
これはマズイ。

自分のやりたいことはひたすらコーヒーと向き合い探求していくことだ。
それはある意味では叶っている。
ただ今まであった斜めにモノを見ることや好奇心が欠落していっていることに気づき
致命的だなと危機感を覚えた。


ひとつの希望が叶うと違う課題がこうやってやってくる。
ありがたいことでぜいたくなことだが、今はそれが酷く苦しい。

忠実や真面目であることは止められないけど
正解はひとつじゃないこの世界。
称賛を得られても自分を置き去りにしては達成感は得られない。 

この新月。
コチコチ頭を手離してもいいのかもしれない。

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