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大ヒットインド映画「RRR」から考える正義について

インド映画「RRR」を観てきました(2023年4月15日現在)。2022年10月から公開されているロングランヒット作品です。3時間という長編映画ですが、時間があっという間に感じるほど楽しめます。本作は分かりやすい正義のヒーロー型映画で、今回はその中から正義について考えてみたいと思います。なるべくネタバレを避けつつ書くつもりですが、観ていない方はご注意ください。

どんな映画?

1920年代のイギリス統治下のインドを舞台にした「RRR」は、英政府に復讐するラジュとビームという二人の主人公の物語です。ラジュは英国政府下で警察官になり、潜入捜査を行います。一方、ビームはインド民衆にムスリム男性を装って潜伏しています。二人は英国政府に誘拐された村の少女を救出する機会を狙っているのです。

英国政府側の警官に扮したラジュは、英国側からの信頼を勝ち取ります。そんな彼には、危険な革命家として英国政府から目をつけられているビームを逮捕する任務が与えられます。任務成功で大出世のチャンスが待っており、英国政府への復讐が可能となります。

偶然にも二人は知り合い、親友になりますが、その後警官ラジュは自分が追っていた人物がビームだと気付き、葛藤が始まります。

インド映画特有の音楽とダンスも楽しめる作品で、特にナートゥダンスはSNSで多くの人が挑戦しています。また、音楽は第95回アカデミー賞で「Naatu Naatu(ナートゥ ナートゥ)」が受賞しています。

音楽も素晴らしい。
第95回アカデミー賞「Naatu Naatu(ナートゥ ナートゥ)」(作曲者:M・M・キーラバーニ)が受賞。この部門インド映画のノミネート・受賞。

出典:映画.com

この映画はアクションの迫力も凄まじく

インド映画史上最高の製作費7200万ドル(約97億円)をかけたその超大作

RRR公式ホームページ

CGに頼らない映像美も独特の魅力を持っています。

シンプルで分かりやすいストーリー展開で、喜怒哀楽がはっきりと描かれており、時系列の錯誤もほとんどありません。この分かりやすさは、観客にとって非常にありがたいポイントです。

数十年前にインド(コルカタ)の映画館で映画を観た経験がありますが、アクションシーンでは観客が応援やヤジを飛ばし、ラブシーンではからかう声が上がるなど、劇場内が大いに盛り上がりました。きっとこの映画も、現地の映画館では大盛り上がりだったことでしょう

正義って何だろう?

ラジュは、ビームを裁くことに罪悪感を抱き続けています。この映画の見所は、友情と復讐の葛藤です。しかし、親友である同じインド人である革命家ラジュを逮捕しなければならなかったことに苦悩しています。

私たちも日常、会社や学校、国などの方針に従い、自分の道徳心と一致しない状況で行動することが多いです。これを「道徳的正義」と呼びます。

大きな組織に対して抗い行動を起こすことは難しいことも多いです。でも身近な場所では、例えばスポーツで敵対チームの素晴らしい技術に対して、拍手を送る。会社のライバルの成功を讃えるということは、出来ます。 もし、子供がそんな親の姿を見たら、「道徳的正義」を身につけることができるでしょう。ラジュも道徳的正義観と葛藤しましたが、結局・・・

殺人は正義となりうるか?

この映画では、警察ラジュはインド人民衆に対してかなりの暴力を振るっていました。警官の立場から見れば正義かもしれませんが、インド民衆から見ると耐え難いものでした。正義は使い方によって危険を伴います。身近な話題として、死刑制度や戦争、革や絹製品、肉食などが挙げられます。

私自身、ダイエットの一環としてマクロビオティック食事療法を試したことがあります。様々な食事制限がありますが、一番辛かったのは肉食制限でした。肉食は動物への暴力だという哲学に基づいて制限が行われます。

しっかりと実行していた期間は、確かに動物を大切にしている気持ちから満足感が生まれました。他の要因もありますが、心がすがすがしく、身体も軽く感じました。

しかし、今の私には完全に続けることはできません。その代わり、動物の犠牲を心に留め、感謝するようにしています。

生活に生かす哲学

今回、私たちは正義について考えてきました。これはなかなか答えの出ない問いです。ここまでは良いけれど、ここからはダメという考えを、自分自身の基準で持っておくことが大切です。

とはいえ、正義はあくまでも「自分にとっての」正義であることも多いです。自分の基準を相手に押し付けないことが大切です。そのためには、「相手を裁かない」姿勢を持つことが必要になります。

この人のこの行動は「正しい」、「間違っている」私たちは無意識に裁判官のように裁いています。人は常に瞬時の判断を求められて生きているためです。

この映画はとてもわかりやすい正義のお話でした。しかし、設定は1920年です。現代は複雑な社会です。暴力だけで解決する正義からもっと進化しなければなりません。

家族とのちょっとした言い合いの中に、自分が振りかざした正義がないでしょうか。私は毎日反省しています。。。相手への愛情なのか、正義なのか?難しいですが、ちょっと立ち止まって考え直すきっかけになれば幸いです。

【参考文献】
「相手を裁かない」姿勢を身につけるには、アクティブリスニングがおすすめである。

↓正義について深く考えさせられる一冊

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