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帰るまで旅

旅行はどこに行くかではなく、誰と行くか。そんな言葉をたまに聞きます。僕も断然そう思います。だから、一緒に旅行に出て違和感のない友人としか旅行をしません。

ひとり旅が好きなのだから、誰かと行くのは嫌いかというとそんなことはありません。旅行は、それぞれの見たいものや金銭感覚をすり合わせる必要があり、海外ともなるとその意識はより強くなる気がします。

気のおけない友人との旅行の話です。

目的地はニューヨーク。

ブロードウェイ、メトロポリタン美術館、セントラルパーク、タイムズスクエア・・・言わずと知れた憧れの街。

大学のときに知り合って、傍からは兄弟と間違われるほどに仲良くなった(お互いに兄の座は譲らない)友との、初めての海外旅行でした。

ニューヨークは時差の関係で、到着すると日本を出発した時間になります。だから、この時点で時差ボケが始まっているのです。

それにもめげず、思いつく美術館、博物館を回り、ミュージカルをいくつか観て、ジャズバーでライブも聞いて、アメリカンサイズのご飯を食べつつ、ホットチョコレートやスムージーなども氷点下のもとで楽しみました。

もう残っているかはわかりませんが、友人が「ぜひ見せたかった!」と言って、連れて行かれたのは、老舗デパート・メイシーズにある木製エスカレーターでした。

カタカタと小気味よい音を立てながら流れていく木製ステップが、まるでテーマパークのアトラクションのようで、友人の期待通り「おおっ!」と感動しました。

おもちゃが好きな友人と、タイムズスクエアにあるトイザらスにも何度か行きました。マーブルチョコのタワーや、レゴでできた自由の女神など、アメリカっぽい景色を堪能し、山のように積んであるぬいぐるみから、1番かわいい顔のものを選ぶという友人に付き合いました。

いろいろと華やかな場所を訪ねましたが、僕は朝のセントラルパークの散歩がとても好きでした。公園につながった、メトロポリタン美術館の古楽器コーナーも楽しかったです。

初めてのニューヨークを楽しんだ帰り道、ぐっすりと眠りについた友人に事件が起こりました。

普段から温厚と言われることの多かった僕は、めったに怒ることはありません。もちろん、その数日の旅行でも変わらずに、友人のテンション高めの要望に応えていました。

旅行中、友人は僕を怒らせたいと思っていたのです。何故かはわかりませんが。

旅行先での喧嘩もまた、旅の"あるある"だと思います。それを実現させようとあれこれ手を尽くしたのですが、僕はいつもどおり温厚でいたのです(自覚は全くありません)。



俺(友人)もあれこれ考えたけど、結局、あいつ(僕)は怒らなかったなぁ・・。

いつの間にか、日本に到着していた機内で、出発前に立ち寄ったチョコレート屋の話になった。

あいつは、チョコレートの箱詰めを買っていたのだ。知らなかった。なんで、言ってくれなかったんだ、俺は何も買っていないのに。

俺「なんで言ってくれなかったんだよ!」

あ「知らないよ、いまさら言うなよ(怒)」

あれ?いま、怒ったか?

気がつくと、暗い機内だった。
隣には、さっきまで怒っていたあいつが寝息を立てていた。


と言うわけで、まさかの夢オチでした。

夢の中で怒ってたんだよお、と嬉しそうな友人は、ほんとうに弟のようでした(笑)また、一緒に行きたいなぁ。ニューヨークは、次の年に家族とも行きました。1度はいってほしい、憧れの街でした。

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