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3. 調停編

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#共同養育

47. 夫との再会と交換条件

47. 夫との再会と交換条件

駅前の喫茶店の窓側のテーブル席に座っていると裕太がやってきて、お茶を頼んだ。裁判中とは違い、ラフな格好をしている。
何を言われるかと身構えていたけど「歩いてきたの?」なんて軽く雑談を始めたので、少し拍子抜けした。

裕太は「もう大変だよ、俺、裁判のせいで痩せちゃったよ。」なんて言う。私はどのように返していいかわからず、苦笑いをした。苦労したのはこっちなんだけどなぁ。

昨日まで書面で罵り合っていた

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46. 書面に込めたメッセージ

46. 書面に込めたメッセージ

審判に提出する書面にどうしても入れて欲しい言葉があって、浜田弁護士に頼み込んで数行だけ、シンプルにする事を条件に許可をもらった。
浜田先生の書面はいつも「長くても裁判所の人たちは読まないから」と5枚ほどにまとめられていた。

それまで、色々提案しても残念ながら却下される事が多かったけど、(離婚調停から円満調停に切り替える、など)審判に移行するにあたって、どうしても裕太に伝えたい言葉があったのだ。

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34. 出口のないトンネルに放り込まれ

34. 出口のないトンネルに放り込まれ

医師の診断書に書いてあった「母親との面会は患者の様子を見ながら慎重に行うべし。」との文言は、まるで死刑宣告のようだった。
調停が進む毎に、処刑台に縛り付けられ、少しづつ体を切り刻まれるような感覚をリアルに感じていた。場合によっては、通例の判決通り、月に1回、3時間しか自分の子どもに会えない人生が確定してしまうかもしれないのだから。

裕太から送られてきた書面には、私が可奈を出産してから会えなくなる

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