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2022京大国語/第二問(理系)/解答速報

【2022京大国語/第二問(理系)/解答速報】

出典は多和田葉子の小説「雲をつかむ話」。

問一「紙とは言え、尖った先がもし眼球に刺さってしまったら大変。責任を持って書かなければならない」(傍線部(1))はどういうことか、説明せよ。(3行)

〈GV解答例〉
自分の気持ちを相手に直接伝える手紙は、表現のニュアンスや意図せぬ受け止め方により相手を酷く傷つけかねないので、繊細に配慮して書く必要があるということ。(75)

〈参考 S台解答例〉
手紙は、受け手であるただ一人に宛てて、伝えるべき内容を直接届けるものなので、受け取った相手の心を傷つけることがないよう、書き手には相応の覚悟が求められるということ。(82)

〈参考 K塾解答例〉
自分に向けた日記とは異なり、他者に宛てて書く手紙は、言葉の用いようで相手を傷つけかねず、最新の気遣いを払いつつ自らの思いを綴らねばならないということ。(75)

〈参考 Yゼミ解答例〉
手紙の言葉はただの文字だが、人に直接向けられるものであるだけに、受け手を傷つける言葉を使わないように細心の注意を払う心構えが書き手には必要だということ。(76)


問二「私はどきっとした」(傍線部(2))について、「どきっとした」のはなぜか、説明せよ。(3行)

〈GV解答例〉
外国語文法を学ぶ方便としても不自然な表現を嫌い最低限の発話しかしない「鱒男」が、唐突に前後の文脈もなく切実な気持ちだけを込めて「出たい」と言ったから。(75)

〈参考 S台解答例〉
日頃の例文では事実に即したことのみを極めて消極的に言うだけだった寡黙な青年が、脈絡もなく、文意も不明な願望の言葉を突然発したので驚いたが、切実な気持ちだけは伝わったから。(85)

〈参考 K塾解答例〉
普段は苛立ちながらも「ですます形」の型にはまった文章を愚直に紡ごうしていた「鱒男」が、唐突に切実な心の欲望を直接に表す「出たい」の一言を発したから。(74)

〈参考 Yゼミ解答例〉
最低限の事実しか口にしない青年が、文法の練習中に突然発した「出たい」という言葉は、脈絡も意味も不明だったが、それだけに彼の切実な気持ちを感じさせたから。(76)


問三「そういう風な手触り」(傍線部(3))はどのような「手触り」か、説明せよ。(4行)

〈GV解答例〉
受け手に配慮せず語り手の内から発せられた言葉に含まれる、客観的には不正確でぎこちなく響くものであっても、語り手の中ではそうとしか言いようのない必然的なものとして説得力を伴い迫ってくるような「手触り」。(100)

〈参考 S台解答例〉
主観と無関係な一般論を述べる仮定と、主観の強い欲望を述べる述部を連結した青年の言葉には違和を覚える。一方で何か本当に言ってみたいことを述べる文章には、意味の不分明さや文法的な誤りを超えて話者の切実さを伝えるものがあるという感触。(114)

〈参考 K塾解答例〉
一般的な視点から述べる文節と主体の欲望を表す文節との不自然な結びつきが、表現の自明性を揺さぶる不思議な魅力を生み、時空や主体が曖昧になりながらも、かえって話者の本当の気持ちがじかに伝わってくるような感触。(102)

〈参考 Yゼミ解答例〉
自己を消去した一般論と自己の強い欲望を連結する表現のもつ矛盾が青年の切実な気持ちを伝えたように、文法的には正しくない文章だからこそ本当に言いたいことが伝わるときの、アンバランスだが魅力的でもある感触。(100)

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