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2023広島大学/国語/第一問/解答速報

【2023広島大学/国語/第一問/解答速報】

出典は中村春作『思想史のなかの日本語』

問一 (漢字の書き取り)
a.遭遇 b.真剣 c.葛藤 d.措定 e.脅威


問二「現実嵌入」(傍線部(1))とある。このことを説明している部分を、森有正の文章から、25字以内で抜き出せ。

〈答〉現実の社会生活とその言語空間とが内密に触れ合う(こと)(23)


問三[    (2)    ]に入れる語句を、森有正の文章から六字で抜き出せ。

〈答〉中性的な言表


問四「新たな真なる「自己」を見出だそうとする」(傍線部(3))とある。ここでいう「新たな真なる「自己」」とはどのような自己か。次の(     )に当てはまる表現を、J .クリステヴァの文章から三字で抜き出せ。

新たな真なる自己=(      )を持った自己

〈答〉他者性


問五「「他者」論とは、近代「国民ー国家」の中で「国語」体系に囲いこまれ、それに依拠して「自己」を見出だすことを強いられる人々にとっての、ユートピアなのである」(傍線部(4))とある。なぜ、「近代「国民ー国家」の中で「国語」体系に囲いこまれ」た人々にとっては、「「他者」論」が「ユートピア」だというのか。80字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
「他者」論は、近代国民国家の共同的言語空間により規定された他者を想定しない自己完結的世界から人を解放し、他者との出会いを通して真の自己を見出す契機を与えるから。(80)

〈参考 K塾解答例〉
近代国民国家のなかでの国語体系に埋没する自己のありように無自覚な人々にとって、そうした自己とは異なる自己の内なる他者のありようを自覚させるものだから。(75)


問六「「国民ー国家」に囲まれて、「国語」なりに形成される「自己」意識への懐疑」(傍線部(3))とある。ここで筆者が述べる「懐疑」について、森有正を例に挙げて説明せよ。(60字程度)

〈GV解答例〉
フランスでの日本語教育を契機とした敬語についての内省的考察を通して、国語体系に規定された自己の自明性に違和感を抱くこと。(60)

〈参考 K塾解答例〉
上下的、直接的二項関係の連鎖・集合から構成されている日本社会の構成そのものを内容としている敬語法を無自覚に駆使している自分自身への疑いのこと。(71)


問七 二重傍線部に「「敬語」論が、外国人に対する「日本語教育」において特に浮上するのは、それが、私たちにとって「対話」とは何か、という本質的な問題を提示するからである」とある。

1 筆者が述べる「対話」とはどういうものか。本文中の言葉を用いて50字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
自らと異質なる他者との遭遇を通して、自らの内の「異質なるもの」を発見し、既存の自己像をゆるがすもの。(50)

〈参考 K塾解答例〉
異質な他者である外国人との遭遇であるばかりか、自己の内なる異質なものを発見し、自己像を揺るがすもの。(50)


2 外国人に対する「日本語教育」において、なぜ「敬語」論が「私たちにとって「対話」とは何か、という本質的な問題を提示する」のか。本文全体をふまえて説明せよ。(90字程度)

〈GV解答例〉
日本語の話者にとって敬語は日本社会の人間関係を忠実に反映した自明なもので、その共同的言語空間の外部者との「対話」を困難にする以上、逆に「対話」成立の条件を内省させる契機となるから。(90)

〈参考 K塾解答例〉
日本語教育において日本語の敬語は外国人に複雑極まりないことを示すことで、その敬語を決して間違えない日本人に、近代日本語の体系の中にいかに埋没しているかを明らかにしてくれるから。(88)

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