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共通テスト(旧センター試験)/国語

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2020年1月の記事一覧

2020センター国語 第4問(漢文)

2020センター国語 第4問(漢文)

【2020センター国語 第4問(漢文) 解説講義】

出典は『文選』(蕭統 撰)。六朝時代の詩人 謝霊運による五言古詩からの出題である。
漢文は、中国文語を日本語の古語で訓読したものである。古代以来、わが国のエリート層に広く親しまれ、大陸的な世界観や合理的なものの見方は、日本人の思想形成に大きな影響を与えてきた。そうした観点から、現在の国語教育においても、漢文は「古典」の一つとして、語学的に、かつ

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2020センター国語 第3問(古文)

2020センター国語 第3問(古文)

【2020センター国語 第3問(古文) 解説講義】 #センター試験 #センター国語 #古文 #小夜衣

出典は『小夜衣』、中世の擬古物語である。擬古物語というのは、平安時代の王朝文学に擬(なぞら)えて作られた物語である。平安後期の院政時代以降、藤原時代を頂点とした風雅な朝廷・貴族文化が衰退する中で、その時代を懐かしむ歴史物語や新しい時代に焦点を移した軍記物語が多く残される。さらに時代が下って、実態

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2020センター国語 第2問(小説)

2020センター国語 第2問(小説)

【2020センター国語 第2問(小説) 解説講義】

出典は原民喜「翳」(1948年発表)。
1️⃣(12行目まで) 私は1944年の秋に妻を喪ったが、少数の知己へ送った死亡通知のほかに、満洲にいる魚芳にも端書を差出しておいた。妻を喪った私は悔み状が来るたびに、丁寧に読み返し仏壇のほとりに供えておいた。紋切型の悔み状であっても、喪にいるものの心を鎮めてくれるものがあった。本土空襲も漸く切迫しかかっ

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2020センター国語 第1問(評論)

2020センター国語 第1問(評論)

【2020センター試験 国語 第1問(評論) 解説講義】 #センター試験 #センター国語 #河野哲也 #境界の現象学

2012東大国語/第一問/河野哲也『意識は実在しない』
https://note.com/pinkmoon721/n/n1f6d77af2f59

出典は河野哲也『境界の現象学』。
センター試験では、厳しい時間的な制約の中で客観的に本文を読解し、それに基づき正しい答えを導くこと

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2018センター国語 第3問(古文)

2018センター国語 第3問(古文)

【2018センター試験 国語 第3問(古文) 講義】

こんにちは、GV国語科の大岩です。今回は、前回まで(下のリンク先)に引き続き、2018センター国語より古文の解説をなるべく簡潔に行います。

出典は本居宣長『石上私淑言』。本居は国学の大成者で、舶来の理屈の体系である「漢意」にとらわれず、「もののあはれ」に代表される日本的な自然に即した「真心」を回復することを説く。今回は、江戸時代の文章な

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2018 センター国語 第2問(小説)

2018 センター国語 第2問(小説)

【2018センター試験 国語 第2問(小説) 講義】

こんにちは。GV国語科の大岩です。今回は2018年のセンター国語から小説文の解説をします。
小説も基本的には評論の読解法に準じますが、特に「場面」と「心理」を押さえながら全文を一読し、その理解と設問の要求に基づいて選択肢を積極的に選んでいきます。

出典は井上荒野『キュウリいろいろ』。(※以下〈…〉は大岩による補足を示す)。前書きによると

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2018 センター国語 第1問(評論)

2018 センター国語 第1問(評論)

【2018センター試験 国語 第1問(評論) 講義】

出典は有元典文・岡部大介『デザインド・リアリティ~集合的達成の心理学』。
センター試験では、厳しい時間的な制約の中で客観的に本文を読解し、それに基づき正しい答えを導くことが求められます。ところで「客観的に読む」とはどういうことか。それはつまるところ、筆者と読者一般との間で共有されている(はずの)「前提」にしたがって読むことです。その前提となる

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