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ミッドサマーに見る全裸ババアの恐怖〜ホラー映画の紡いだ全裸ババアの血脈〜


全裸のババア、その言葉を聞いた時貴方は何を思い浮かべるだろうか?


…、


そう。全裸のババアである
全裸のババアという言葉を聞いて全裸のババア以外のものを想起した方はもれなく病気なので病院での受診を検討していただきたい。


今回は全裸ババアについての、全裸のババアとホラー映画が歩んだ歴史とその最低最悪の集大成、ミッドサマーへと続く伝説を自論として撒き散らしていきたい。


◆全裸ババア 〜そのはじまり〜

さて、ホラー映画史における全裸ババアのはじまりとは何か?

諸説あるだろう。
しかし私は知名度、そしてインパクトと共に
『シャイニング(1980)』を推したい。

古典ホラーの傑作として名高いこの作品は呪われたホテルの力によってジャック・ニコルソン演じるアル中小説家が狂気に陥り家族を手にかけようとするシンプルかつ凄惨なものだがいかんせんジャック・ニコルソンの演技があまりにも気が触れ過ぎてホテルの呪いだとか地縛霊が全然怖くないと評判だ。

そのニコルソンのあまりの狂気には原作者が『ホテルの怖さ生きてなくね?』と苦言を呈したほどだ。

しかし、そんな食われ気味モンスターホテルの怪異の中でもダントツで多くの人間達のトラウマとなった怪異がいる。

それがバスルーム全裸ババアである。

あまりに有名なシーンなので詳しくは省こう。
とにかく綺麗な全裸の姉ちゃんがいたから抱き締めてキスしたら気づいたら全身の腐敗した全裸ババアになっていたというラッキースケベからのデストロイギガレイズである。

余談だがこのババアは続編、『ドクタースリープ(2019)』において幽霊退治のチュートリアルキャラの様な立ち位置にされバンバン退治される。

それもこのババアがあまりにも世界にインパクトを残してしまったが故であろう。
故にこのババアは全裸ババア界のスライム、コラッタ、イャンクックと言えよう。

通称・チュートリアル全裸ババア


◆そして時は流れ…


チュートリアル全裸ババアの華々しいデビューは他の全裸ババアの発展を妨げた。

何故なら全裸ババア=シャイニングの図式が確立されてしまったからである。
そこに名乗りを上げた全裸ババアこそ『イット2(2019)』に登場した巨大全裸ババアである。

ヒロインがかつて過ごした家に向かうとそこには老婦人が住んでいた…
彼女は自身の生い立ちについて滔々と語りだすが気づけば身の丈2m50㎝はあろうかという巨大な全裸ババアになり襲いかかるというメチャクチャ嫌なシーンだ。

2m50㎝の全裸のババアに追い回されたことが貴方はあるだろうか?
間違いなく垂れた乳が顔面を殴打するだろう。

とにかくメチャクチャ嫌だ。

しかしこのシーンで1番恐ろしいのはキッチンをウロウロしている間にいつの間にかに全裸になり駆け出すババアにある…
その動きの奇怪さと言ったら全く筆舌に尽くせないほどである。
不快感で言えば単体優秀賞はこのババアだ。

イットはペニーワイズがあまりにも恐ろしいと話題になった作品ではあるが間違いなくこのババアが1番怖い…
そのシャイニングからの沈黙を破った全裸ババアの活躍を是非その目で確かめてほしい…


◆アリ・アスターと云う悪意


ヘレディタリーについては個別で長々と語る必要がある。
故にここからは駆け足でミッドサマーへと繋がる最凶最悪アリ・アスターへの賛美と唾棄を書き綴ろう。

彼をご存知の方も多いだろう。
『みんなが不安になるといいな』
という爽やかなスティーブ・ジョブズの様な、或いは清潔感のある笑顔を浮かべるスリムな庵野秀明の様な容姿とは裏腹に何かえげつないことを言ってるオッサンの画像を見たことがあるはずだ。

私は天才という言葉を滅多に使わない。
が、彼は紛れもなく天才である。
天から卓越した才能を賜った麒麟児である。

その才能とは、『人を不愉快にさせる才能』だ。
完全に常軌を逸している。

観客が思う『ここでこうなったら最悪だな…』『この人がこうしたら最悪だな…』という最悪の予想の遥か上を行く最悪を容赦なく繰り出してくる。
その作品全体に漂う不快感、そしてそれがもたらす不安感はカメラワーク、演出、シナリオ、キャストの人選、全てから放たれており全く逃げ場がない。

彼の作品を見た人間は皆こう言う。

『最悪だ』と。

とある魔人が言った。
同じ力を持つもの同士が争った場合、勝つのはより相手をより貶める事ができる悪意の強い人間である、と。
紛れも無くアリアスターは新しい血族に名を連ねる人類よりも頭一つ抜けた悪意を持った存在に違いない。

そんな悪意の塊の様な男がホラー映画において最も、最たる、最悪な全裸のババアというツールを手に入れたらどうなるか???

それはもう激情滾る鬱々の全裸ババアマエストロである。
彼の奏でる全裸ババア狂騒曲は尽くを不快感と恐怖で支配する。
あんなに自身の手指の様に全裸のババアを使いこなす人間がかつていただろうか?

いや、いない。
いて欲しくなかった。


ヘレディタリー、そして話題のミッドサマー、彼が手がけた作品は宗教と精神疾患、そして全裸のババアに彩られた醜悪な大輪の花としてホラー映画史に消える事のない傷痕を残した。

そう、綿々と継承されて来た全裸のババアの歴史はは一旦ここでひとつの集大成として花開いたのである。


本文はクソほどもこの世に必要性のない本編の内容をダラダラ書いたネタバレブログではない。
未視聴勢の視聴意欲と不安を煽り視聴勢の余韻にまた一つ毒を盛り不安にさせる劇薬となるべくこの記事を書いている。

故にヘレディタリー、ミッドサマーにおける吐き気を催すひたすらに醜悪な全裸ババア運用法についてはここでは堅く口を噤もう…

是非、貴方の目で進化していく全裸ババアのその果てを、最果ての地で乱れ咲く全裸ババアの狂気滾る煌めきを目撃していただきたい…

私は遊園地にあるパンダの乗り物と同じなので、お金を入れると動きます。さ、お金を入れてぴんくチャンを動かしてみよう!今度はどんなえげつない動きをするかな??