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AI時代に生き残るため、身に付けるべき能力

去る12月13日(日)の午後、多摩大学
主催の公開講座で、田坂広志さんが
講演された。
普段、田坂さんの文章を、新聞、雑誌、
書籍、メルマガなどのメディアを通じて
よく目にしていたものの、ご本人が
直接お話しになるのを聴いたことが
そういえばなかったかも、ということに
気が付いて、YouTube Liveで行われた
この講座を聴講させてもらった。

田坂さんと言えば、今や日本を代表する
思想家のおひとりと言っても良いだろう。
略歴を見るだけでも、その活躍ぶりは
尋常ではない。
ご自身のサイトもお持ちで、今も積極的に
情報発信をなさっている。

講演の冒頭、今のコロナ危機に触れ、
これにより今まで先送りされてきた改革
が進んでいくだろうとの見立てを披露
された。
実際、空間移動を減らす、接触を減らす
などの新しい生活様式が一気に浸透する
という、ある意味革命的な状況が立ち
現れている。

そして、この革命的な状況の帰結として、
ズバリ「大量失業発生が不可避」という
ご指摘をされた。
「大量失業」など、政治家だったら
口が裂けても言えない。
「不都合な真実」
という言葉が頭をよぎる。

「大量失業」を予測するのは、
AIやロボットが、様々な仕事を人間に
代わってできるからだ。
肉体労働、単純労働は、進化した
ロボットがやすやすとこなす。
知識労働であっても、論理思考による
判断業務や、専門的知識の活用だけで
こなせる業務については、AIによる
代替が可能となっている。

失業者が増え、経済が回らなくなれば、
治安は悪化し、社会は混とんへと向かい
かねない。
そんな時代背景の中、キャリア戦略と
して、以下の3つの能力を磨くことが
重要だという。

➀ホスピタリティ
  非言語的コミュニケーション能力
  顧客への深い共感能力
⓶マネジメント
  成長マネジメント能力
  心理マネジメント能力
③クリエイティビティ
  集合知マネジメント能力
  組織内アイデア実現能力

これらはAIでは代替不可能な能力であり、
人間だけが、人間だからこそなしうる
能力なのだという。
それぞれの能力に関する詳細は、
田坂さんの新著に詳しく説明されて
いる。


講演内容は全くおっしゃる通りで、
これらの能力をいかに底上げしていくか、
真剣に取り組んでいきたいところだ。

と同時に、ふと疑問に思ったことがある。
自分だけが生き残りをかけてこれらの
能力を磨き、仮に生き残れたとしても、
社会のカオス化を回避できなかったと
するならば、磨いた能力の発揮すら
ままならない状況が出現するのでは
ないか思うのだ。

そのように考えると、
増えた失業者、消えた産業に代わり、
それと同じだけ、あるいはそれ以上の
雇用を生むような産業を生み出すことが
必要不可欠となろう。

あるいは、賃金を稼がなかったとしても
不自由なく暮らせるような自給自足経済
の構想を実現するという手もあるのかも
しれない。

いずれにしても、そのような新しい概念、
新しい時代を生み出していかなければ
ならない、そんな時代に我々は生きている
のだ。
「生みの苦しみ」というが、ある意味
「生みの楽しみ」なのかもしれない。

そんな新しい時代を生み出すためにも、
田坂さんの説く3つの能力を身に付ける
ことは、極めて有効であろう。
そして、自分がそれらの能力を高めつつ、
周囲にもそれらの能力を伸ばすように
働きかけていくことが重要。
そんなことを感じた講演であった。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。