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文化の違いは言語体系に表れる

ところ変われば品替わる。
「品」の代わりに「人」を充てたり、
「水」を入れてみたり、様々な亜流
もあるようだが、要は、土地土地で
風習=風俗や習慣が異なる、という
ことだ。

暑い場所ではどうやって涼しく過ごす
かをずっと考えるから、それに対応
する風習が生まれる。
逆に寒い場所では、どうやって暖かく
過ごすかを考え続け、それに対応した
風習を身に付けていく。

風習とか、言葉とか、そういった要素
が寄り集まって、いわゆる「文化」を
形成している。
そして、言語の体系というのは、往々
にしてその土地の風習、ひいては文化
に深いかかわりを持っている。
ということは、誰しも薄々感じている
のではなかろうか。

昨日、縁あって、日本語教育と英語
教育のエキスパートの方々から、
日本語と英語の違いがどこにあるか
というテーマでお話を聞く機会に
恵まれた。
つかみの話題として、
「ありがとう」
「Thank you」
これら二つの違いは何か?
そんな問いかけがなされた。

普段真面目にそんなことに思いを
馳せることはないわけで、一瞬
頭が固まりそうになったが、
「ありがとう」は「有り難う」、
「有り難い」から来ている言葉
だったな・・・と思い出した。
有るのが難しい、そうそう有る
ことではない貴重なことだから、
八百万の神様に感謝している言葉
だよな、、、と考えた。

他方、「Thank you」の方は、
あくまでも「you」という個人、
「あなた」に Thank = 感謝する
ことである。
「有り難う」のような、八百万の神様
というニュアンスは感じられないな、
そんな風に考えた。

種明かしを聞くと、やはり私の考えた
ことと概ね一致していて、ホッと
胸をなでおろした。

他の例も挙げた上で、
英語は「人」が中心、「個」がはっきり
している言語体系であること、
日本語は「状況」「情景」を共に感じ
合うことや、自然と共存することが
意識されている言語体系であること、
そんなまとめをしてくださり、
なるほど!その通り!
自分もそう思ってた!
と膝を打った。

もしかしたら、以前に読書なり授業なり
何かしらの機会に、似たような話を既に
聞いており、頭の片隅に記憶として
引っ掛かっていたのを、今回うまいこと
引っ張り出せたのかもしれない。

他にも、日本語と英語の違いについて
いくつか論じてくれたのだが、特に
興味深かったのが、留学生が日本語を
学ぶ際にどんなところに引っ掛かるか、
というポイント。
例えば、
「~してもらう」
「~してくれる」
という、「有り難い」という意味合い、
ニュアンスが入った表現は、留学生は
特に苦手とするところらしい。
これは、八百万の神様に絶えず感謝
しながら生きるという「文化」的な
背景を持った日本人の言葉に特有の
表現らしいのだ。

日本には、状況に依存して、余計な事
は極力言わない、そんな文化的土壌が
あるため、日本語も影響を受けている
という話もあった。
「そこを何とか!」
みたいな言葉も、非常に訳しにくいの
である。
 「何とか」って何?
 ハッキリ言って!
英語圏の人間からすれば、そう言いたく
なるのだろう。

という具合なので、扱う言語が異なる
人間同士が、本当にお互いの意図を
分かり合えるような関係になるには、
相手の文化的土壌を良く知るという
土台を築いた上でコミュニケーション
を深めていく、そんな必要があるなぁ
と思わされた次第だ。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。