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続・場から未来を描き出す

昨日のポストに続いて、
ケルビー・バードさんの著書である
こちらのご紹介。

出版元である英治出版さんのnoteで、
序文を公開してくれている。

誤解を恐れずいうならば、本書の
内容を最も端的に表現してくれて
いるのは、こちらの図ではないか
と感じている。

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これは、英治出版さんから別途出されて
いるオットー・シャーマーの『U理論』
で提唱されている
「聞き方の4つのレベル」
の各段階に応じて、スクライビングを
どのように適用していくかを示して
いるものだ。

①は、言葉として聞こえてきたものを
そのまま鏡のように映すこと。
グラフィック・レコーディングとも
言われている。

②や③になってくると、聞こえて来た
言葉を解釈し、更にはその言葉の背景
にあるものに思いを致す必要がある。
レコード(記録)するだけではなく、
表層からグイッと奥に入り込んで、
ホンネを引き出す助け舟を出す。
つまり、ファシリテート(助長とか
促進という意味合い)する。
グラフィック・ファシリテーションの
段階である。

④となると、これはもうアートの世界
だろうと思うのだが、本のタイトルに
なっている『場から未来を描き出す』
という表現そのもの、と言っても良い
かもしれない。
これこそが、著者の言う「生成的な
スクライビング」なのだそうだ。

「見られたがっているものを表に出す」
と図には説明されている。
まるで、まだ誰も到達していない、
一種の「真実」のようなものがあって、
それには意志ないしは意識があり、
我々人間に見つけて欲しいと願って
いる、そういわんばかりの説明だ。

ミケランジェロは、大理石の中に
予め像が内包されているのを発見
するのが彫刻家としての仕事だ、
という趣旨のことを言ったらしい。
鎌倉時代の有名な仏師である運慶も
似たようなことを言っていたらしい
が、いずれの例もスクライビングの
第4レベルの話と共通する点で非常に
興味深い。

これら①から④の段階は、それぞれ
適切な使い方があり、スクライビング
が必要とされている場の状況に応じて
使い分けていくことを著者は推奨して
いる。

例えば、
①のグラフィック・レコーディングは、
複数参加者が次々と発表するような
会議の場にうってつけ。

②の段階は、発言そのままを書き写す
のでは足らず、その発言、言葉の解釈
にまで踏み込んでグラフィックで表現
していくことが求められる。
パネル・ディスカッションのような場
にもってこい。

③の段階は、グラフィックを使っての
本格的なファシリテーションが求め
られる。
発言や言葉の解釈から、更にもう一歩
踏み込んで、「背景」とか「思い」と
いったものと結びつけていく。
異文化理解のようなテーマの会議は、
同じ言葉が異なる意味合いを持つこと
も多く、このレベルのスクライビング
を行うことで、上っ面の相互理解では
ない、もっと深い理解へと至るのだと
いう。

④の段階は、何をやっても行き詰まり、
既存の延長線上には進むべき道がない
と知りながらそれ以外の道を探せない
でいる、そんな企業なり組織が、
大規模な変革の構想を練りたい!
といったときに威力を発揮する関わり
方であると言える。


書いてあることを、できるだけ誰にも
分かりやすく、手短に言語化しようと
いう心意気で書いてみたものの、
なかなか難しい試みであったという
のがホンネだ。
ところどころ、マインドフルネス瞑想
とかヨガに傾倒しているのかしら?と
思しき表現があり、これらがどこまで
一般の人に伝わるものなのか確証が
持てなかった。

ただ、そんな難しさも含めて、今この
時代に学ぶべき考え方であり、スキル
であるのだろう。
一人ひとり、もっとアートに覚醒して
いく人が増えていくことで、地球は
良い方向に進んでいくのではないか、
そんなことも感じさせてくれた良書
であった。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。