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【活動報告】#ピルコンルーム no.32「#やせたい願望 との付き合い方」

こんにちは!ピルコンインターンのゆきこです!
今回はピルコンnoteを開いてくださって、ありがとうございます。
このnoteでは、ピルコンが主催するオンラインイベント・ピルコンルームのレポートをお届けしております!ぜひ最後までお読みいただけると嬉しいです😊

ピルコンでは、2月24日(金)19時半より、#ピルコンルーム no.32「#やせたい願望 との付き合い方」を開催しました!今回のゲストは、人類学者の磯野真穂さん。ダイエット、拒食・過食など食べる行為や、医療の分野から、自分らしさや生きることをテーマとする本の執筆や、人類学を学びたい人へ向けたワークショップの開催など精力的に活動されています。イベントでは、なぜ「やせ体型」に憧れるのかダイエットや、やせたい願望を煽る広告との上手な付き合い方などを皆さんと一緒に学びました。

TALK1 「やせたい」はどこからやってくる?

そもそもゲストの磯野さんは、なぜ摂食障害に興味を持ったのでしょうか。
それは、
・中学生のころから、頭のどこかにいつもダイエットのことがあった。
・留学先で "you are slim" と初めていわれて、住む環境によって評価が変わることを不思議に思った。
ということが理由としてあるそうです。

実際に日本の現状はどうかというと、若い女性のやせすぎが問題となっており、約5人に1人がBMI18.5以下だそうです。「美容体型」「モデル体型」と呼ばれることもあるBMI18.5以下は、低体重と分類され、健康リスクがあるとされています。

では、やせたい気持ち、というのはどこから生まれてくるものなのでしょうか。
最もよくあるのは、「比較」からうまれてくるものだそうです。
「最近太ったね」という他者からのコメントや、
「以前よりも体重が増えた」という自分自身との比較など、
やせたい気持ちは、「比較」と密接に関わっているそうです。

そして、このような「やせたい」という気持ちが大きくなると、これは自分の内側から生まれたものだと思いがちです。ですが、生まれたばかりの赤ちゃんのときから「やせたい」と思っている人はいませんよね?つまり、私たちは体型に関する「価値観」を社会やまわりから得ていくのだそうです。
では、その「価値観」とはどのようなものなのでしょうか。

磯野さんが指摘するのは、「我々は往々にして健康を後回しにする」という点です。
例えば、大切な用事に遅刻しそうなとき、朝ご飯を抜いて家を出る、なんてことはあまりにもありふれていることではないでしょうか?
専門家のような人が、「将来骨粗鬆症になる可能性があります」「生理が来なくなりますよ」などとやせすぎによる健康問題を指摘することはよくあると思います。
しかし磯野さんが、このように健康問題を指摘することがあまり効果的ではないと考えるのは、この「人は社会的にきちんとした『何か』として認められるためなら進んで健康を犠牲にする」という社会の価値観が理由なんだそうです。
皆さんにも、身に覚えのある経験はないでしょうか?

TALK2 この社会で、どのように生きるか

だからといって、どんどんやせていけばいい、という話ではありませんよね。
ここからは、私たちはどうすれば良いのかを考えてみましょう。

ここで磯野さんが強調するのは、
「やりたいと思うことはやらされているのかもしれない」というメッセージです。
「やせたい」という気持ちは、自分の内側から生まれてくるものではなく、実際は他者から「やらされている」のかもしれません。

磯野さんが最後に指摘するのは、
私たちは「他者が自分を存在させている」という事実から逃れることはできないけれど、
誰に呼びかけられたいかは選べる、ということです。
「自分らしさ」という言葉は現代社会でよく使われますが、結局は自分が他者より少し秀でている部分を「自分らしさ」として規定しがちなのではないでしょうか。つまり、結局他者との比較を行っているのです。
けれど人間はひとりでは生きていくことはできず、誰かと関わりながら生活していくものです。その社会の中で、理想とされる体型が生まれてきてしまうことはもはやしょうがないのかもしれません。ただ、「理想の体型になるためにダイエットしないと!」と呼びかける人たちではなく、「やせていることはそこまで大事じゃないよね」と考える人たちと生きていくことはできるのではないか、と磯野さんはおっしゃいます。

講義は参加者とのディスカッションをしながらの進行で、私自身も社会の中でどのように、どんな人と生きていくのか、というのを改めて考えてみることが、自分の心やからだと密接につながっているんだなと感じました👀

Q&Aコーナー

Q. 摂食障害の患者さんは女性が多いと聞きますが、男性の症例はいかがですか?
A. 女性対男性で、大体10:1と言われています。ですが、女性の病気と認識されることで、男性が言いづらくなっている可能性もありそうです。過食嘔吐の男性や、食べられなくてやせてしまった男性にお会いしたことがあります。ただ女性の方が圧倒的に数が多いのは、「自分とはなんだろう」「他者との関係ってどうだろう」と考えるようになる第二次性徴期に身体が変化し、そこでコントロールしたくなる、ということが理由としてあると思います。

Q. 対人援助職が使う「その人らしさ」という言葉にも、「自分らしさ」と同じような罠がありますか?
A. はい、あると思います。「その人らしさを引き出す」というような言葉は、良い意味で使われていると思いますが、実際に「その人らしさが引き出されてよかったな」と思うときは、見ている私からして理想的な存在になる場合が結構あると思います。

参加者アンケート

参加者のみなさまより、講演後にアンケートを記入していただいたので、
その結果を一部シェアさせて頂きます!

アンケートに記入いただいたすべての方に、
「講座を通して初めて知ることがあった」、「講座はあなたの役に立つと思った」と回答していただきました。

講演全体の感想としては、

・「自分らしさ」という言葉も、結局他者と比較し続ける原因になる価値観になり得る危うさを持っているということ。スッキリと解決策が提示されたわけではないが、この結論が明確化しないモヤモヤも大切にしたいと思えた。

・私の思想が文化に大きく影響を受けていることを知り、もっと深く広い学びを続けていきたいと感じました。

・差異化の欲望、ストーリーマーケティングなど、初めて聞いた言葉や自分らしさの罠など、とても興味深い内容でした。

など、様々なコメントを頂きました。アンケートにご協力いただき、本当にありがとうございました✨

他者と比較して自分は、、。と思ってしまうことは、体型のことに限らず、様々なシーンであるのではないでしょうか。そんなときに、自分のまわりにどんな人がいるのか、どんな社会があるのかを改めて振り返ってみるのも良いかもしれませんね。

さて、最後まで読んでいただきありがとうございました!
また次のnoteでお会いできることを楽しみにしています。
それでは!

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それでは次回もお楽しみに! 
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この記事を書いた人⇒ゆきこ💛
早稲田大学在学中で、ピルコンのインターン&フェローとして活動に参加中。「性について気軽に語れる場をつくっていきたい!」という気持ちから性教育に興味を持つ。最近は、世界の性教育に興味あり🌏


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