彼からの提案

はじめに

10月からマガジンをリニューアルするつもりでしたが、このシリーズに限らずいくつかが途中で止まってしまっています。それらを書き終えてからということで、1ヶ月伸ばして11月からリニューアルすることに変更しました。

筆が進まない理由は飽きたからなどではなく、基本ここに書き綴っている「セッションやレッスンの実際」は関係性がある意味で終了していたり、区切りのついたセッションになります。書き始めた当時の気分からか、ハッピーエンドな関係性の終了、良い別れというものもたくさんあるのに、少し痛みの伴うものばかり書いていました。そうすることで私自身の悔恨を整理したかったり、反面教師にして頂ければという感情もありました。ただ、今の私はもう少し前向きであり、こういうドロっとした文章を書くと過去に吸引されていくような嫌な疲れもあって避けておりました。

とは言え、「結局どうなったの?」と思われる方もおられるはずです。けじめとして完結させていきたいと思います(ふぅ。

今月中にできる限り完結させて、11月からタイトルも含めて内容を大きく変更します。購読くださっている方はこのまま、特に新しく何かをして頂く必要などはありません。より皆さんに役立つ内容になると思います。どうぞよろしくおねがいします。

石のような目をしたクライアント

石のような目をしたクライアント」「大腰筋に賭ける」「セッションの可能性、その先」「セラピストの性(さが)」「過呼吸」「野の医者」の続編です。マガジン購読者のみがお読み頂けるものもありますが、基本的には個別で有料記事として読めるようにしています。

これまでのまとめ

ご両親を自殺によって失ったクライアント。彼は感情や感覚を喪失したような状態で、私の前に現れました。精神科投薬カウンセリング入院。心理学界でも、彼の病名は何なのか議題になるような状態だったそうです。結局、従来の医療では彼は救われず、自己啓発宗教ロルフィングなどのボディワークセラピーなど彼はあらゆる可能性を模索したものの、それらの前後でまったく変化を感じることができなかったと。そういった状態で、彼は目の前に現れました。

初回のセッションで、彼は初めて変化を感じました。その変化を実感したことで彼は可能性を感じ、翌月、再び私のセッションを受けることになります。私の私生活のトラブルが途中にあったことを書いて、前回は終了しましたが、うまく心の中で整理をつけられて、最終日まで回復の可能性を感じる中で彼の初回リトリートは終わりました。蜘蛛の糸にも近いか細い可能性ではありましたが、彼は笑顔で帰っていきました。私も心底、役目を果たしたことに安堵していました。

着実な回復と希望

それから1,2ヶ月に1度、彼は私のセッションを受けに来るようになりました。少し前まで自宅に引きこもっていた彼にとって、飛行機に乗って、ホテルに泊まり、それらすべてがチャレンジでした。飛行機機内で、隣の席の女性に気持ち悪がられて、席を移動された話を聞いたり。宿泊先のベッドが合わなかったと、セッション前にイライラしている彼。毎回、緊張感のある彼との関わり合いが続きました。当時一目置いていたカウンセラーの知人が手に負えないと拒んだ彼に対して、自分の実力には余る負のエネルギーを抱えた彼に対して。どうにかこうにか、自分は役立っているのではないかという手応えを感じ始めていました。そして、彼も変化に自覚的で前向きさが芽生え始めていました。

提案

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治療家(セラピスト、ヒーラー)は隔離された空間の中でクライアントと時間を過ごします。その時間の中では、耳が聞こえなかった人が聞こえるようになったり、一般的な価値観の理解を超えたことが起こります。その中で、何を見て、何を感じ、何が起きたのかについて。あるいは何が起きなかったのかについて、書き記していきます。月に2つから3つの記事を目安に、投稿していきます。

「心理的なこと」と「身体的なこと」。どちらも区別することなく、身体を通して働きかけるボディワークの世界。経験したことのない人からすると、な…

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