セッションの可能性、その先
石のような目をしたクライアント、大腰筋に賭けるの続編です。
鋼鉄の腹筋
痩せて細い彼の大腰筋に触れる前に、より表層にあるお腹の筋肉(腹直筋周辺)を緩めることからはじめました。彼の腹部の筋肉は、鋼鉄のような硬さでした。
一般的には"硬い腹筋"という単語は、ポジティブな印象があるかもしれません。鍛え上げられた鋼鉄のような硬くて強い筋肉という感じでしょうか。このイメージはある部分では正しく、ある部分では間違っています。筋肉はリラックスしている時には柔らかい方がいいのです。グッと力を入れた時に硬くなることと、普段から硬いことではまったく意味合いが異なります。
普段のリラックスしている場合でも腹部に硬さがある場合、それは心理的な緊張、あるいは姿勢の悪さによって生み出されています。
彼の場合は、強い不安や怒りによって作られているものでした。それも私が過去に触れたことのないレベルの硬さです。もちろん、姿勢も良くありません。心理的なトラウマによって姿勢が悪くなり、また姿勢の悪さによってよりその心理的なトラウマが固着化しているのです。身体がそうセッティングされていることで、彼は牢獄の中に閉じ込められているのです。
鋼鉄のような彼の腹直筋。その際(きわ)に触れ、指を沈ませていきます。これまでに数えきれない数のセッションをおこなってきましたが、初めておこなう何かといった不思議な怖さがありました。未知の島に小さな舟で進んでいくような緊張感を感じながら、慎重に沈めていきます。
痺れる指先
腰椎3番辺りを狙って、大腰筋に向かって指を沈ませていくのがこのワークの定石です。
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セッションやレッスンの実際
「心理的なこと」と「身体的なこと」。どちらも区別することなく、身体を通して働きかけるボディワークの世界。経験したことのない人からすると、な…
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