見出し画像

【革命と恋】斜陽/ヨルシカ



2023/05/08 Release
TVアニメ『僕の心のヤバイやつ』OP

2023/05/10に
今作、「斜陽」 のMVが公開されました。


今日は、
MVを拝聴した感想や簡単な考察を記事にしていきます。



斜陽

1.夕日
太陽が地平線の下に傾き、空が暗くなっていく様

2.没落
新興のものに圧倒され、次第に没落していくこと

歌詞中にも、夕日を指しているような歌詞が散らばっています。


「茜さす日」
深い赤色が強く反射している、照り映える。

「夕凪」
風が止んで水面が穏やかになる、夕暮れ時。

「お日様」
とろとろと燃えたり、落ちていくお日様。


また、
斜陽が文学シリーズの1つだとするならば、
太宰治の作品が思い浮かぶでしょう。


太宰治



舞台は、第二次世界大戦終戦後。
主人公となる「かず子」たち家族は元々、貴族でした。

そんな家族は戦後の移り変わりにより、没落していきます。

酒、病、死、貧困、寂しさ。


そんな中、かず子は恋をしました。

「戦闘、開始、恋する、すき、こがれる、本当に恋する、本当にすき、本当にこがれる、恋しいのだからしようがない、すきなのだからしようがない、こがれているのだからしようがない」

太宰治/斜陽


「あのひとに一目お逢いするまで、二晩でも三晩でも野宿しても、必ず」

太宰治/斜陽


「私、いま幸福よ。
四方の壁から嘆きの声が聞こえてきても、私の今の幸福感は、飽和点よ。
くしゃみが出るくらい幸福だわ」

太宰治/斜陽


幸せを手に入れた。

だが長くは続かなかった。

日本の最後の貴婦人である、母は死に、

子どもを授かったと同時に
恋人は離れ、弟は死んでしまいます。


まさにこの作品は、日が傾き沈んでいく斜陽の様に、
貴族の没落を描いています。

また、貴族だった主人公が時代の流れに抗い、
懸命に生きていこうとする様子も見られます。

作中、
かず子は自らを「道徳の過渡期の犠牲者」と呼び、
「こいしいひとの子を生み、育てる事が、私の道徳革命の完成」とかず子は言います。

変わりゆく時代を生き抜くことが「革命」なのだと感じました。


葡萄


太宰の作品には、「葡萄」が頻繁に使われます。
(ワイン好きだとかなんとか)

作中でも、この様な文章があります。

革命も恋も、実はこの世で最もよくて、おいしい事で、あまりいい事だから、おとなのひとたちは意地わるく私たちに青い葡萄(ぶどう)だと嘘ついて教えていたのに違いない。

母が死ぬ直前、
ある本を読んだかず子が「革命」についてこう語りました。

かず子は、
手に届かない青い葡萄はやめて、恋や革命に人生をかけたのでしょう。

(大人の言う青い葡萄ではない、自分自身で意義を見出した葡萄≒恋や革命)

人生の意義


・時代の移り変わり
・没落
・恋
・革命

かず子は、「道徳の過渡期の犠牲者」でありながらも
恋に生き、子と共に革命を生きました。

現代でも、様々なニュースが飛び交い、
私たちを取り巻く環境は変わっていきます。

そんな中、時代に抗い、新しい時代を生きようとするかず子の姿は、
私たちに、「生」について何かを訴えかけている様でした。


さぁ、この物語を手がかりに考察を進めていきましょう。


本編


前置きが長くなってしまいましたが、
ここからは「斜陽」の歌詞を見ていきます。


茜さす日が爆ぜた



頬色に茜さす日は柔らかに
爆ぜた斜陽に僕らは目も開かぬまま


-斜陽が爆ぜた。
頬のように赤く射す日は、柔らかい。
悲しいことや、寂しいこと、
現実から僕らは目を背けた。

悲しくってしようがないんだ
お日様で手が濡れた
眩しくって仕方がないし
途方に暮れた帰り、
落ちて行くように茜が差したから

-悲しくてしようがない。
眩しくて目に手を当てたら、手が濡れていた。
そんな帰り道に
どうしようもなくなって、途方に暮れた。


もう少しで
僕は僕を一つは愛せたのに
斜陽に気付けば目も開かぬまま
静かな夕凪の中

-あともう一歩だった
こんな自分でも希望や生きる意義を見いだせると感じたが、できなかった。
夕凪のような瞳のまま、何も出来ずに涙に溺れた。


何かに触れた指先




悲しくってしようがないんだ
お日様に手が触れた
とろとろと燃えるみたいに
指先ばかり焦げた

-悲しくてしようがない。
お日様に手が届きそうだった。
指先は熱くなった。

途方に暮れ、現実から目を背けて居たが、希望がさした。
そこに手を伸ばすと燃えるように指先が熱くなったのを感じた。
『時代に抗い戦う』『革命』


高く成った葡萄みたいだ
届かないからやめて
僕は恋をしたんだろうか
あのお日様のように、
落ちていくのに理由もないのならもう

-大人は恋や革命は、青い葡萄だと言った。
でも大人が言うそれは、手が届かないから辞めた。
私が知る葡萄はもっと甘くて美味しいものだ。
だから「恋」や「革命」に生きるのだ。
※過去の言葉では無い、自分自身で切り開いた「恋」と「革命」


没落を味方に


落ちていくのに理由もないのならもう

-没落していくことに意味が無いのなら、、
⇔抗い戦う意思


頬色に茜さす日は柔らかに
爆ぜた斜陽も僕らの道をただ照らすのなら

-今までの人生(没落した日々)が、
新しい日々(革命)を柔らかい光で照らしてくれる。


もう少しで僕は僕を一つは愛せるのに
斜陽にはにかむ貴方(ぼくら)が見えた
静かな夕凪の中
僕らは目も開かぬまま

-景色が変わった。
はにかむ貴方(過去と未来の私、もしくは恋人)が見える。
もう少しだ。
閉じた目に「恋」と「革命」が映った。


MVに触れる


海の中のような、瞳の色のような風景から始まる。


遠くから見ているようだ。


羽を持つ人形かしら。

夕日を見つめたり、転がり落ちたり、空を飛んだりする。




考察を進めて思う。

僕は僕を一つは愛せるのに

一つは未来
未来は花




花が増えた。
未来に希望が持てたのだと感じた。


現代に抗い、戦う「道徳の過渡期の犠牲者」は

「恋」と「革命」に生きた




終わりに


今回の考察はいかがだったでしょうか。

あまり、深読みした考察は出来ません。
比較的ストレートに捉えて自分なりの言葉にしています。


単なる恋の歌ではなく、
生きる意義を見出すために、戦う姿が見られるような楽曲でした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?