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ソムリエという職業は、何故面白いのか? 石川遼平

ソムリエとして、チーズプロフェッショナルとして、10 年弱働いてきてもう一度なぜこんなにも、ワインとチーズ、そしてソムリエという職業が面白いのかを改めて考えみました。

ワインとチーズどちらにも、共通することはひとつひとつに、文化・歴史・継承が詰まっていることでしょうか。

それに、加えて本気で学ぼうと思ったときの範囲がとてつもなく広いことです。

ワインならば、まず地図を広げて、どんな気候・風土の場所なのかを把握します。冷涼なのか温暖なのか、太陽が多いのか、雨が多いのか。ブドウ品種は何か。どのように収穫されたのか。そして、どのような人達が、どのような歴史と文化を育み、どのような味を好み継承してきたのか、どのようなイレギュラーが生まれたり、どのような意志・意図をもって造り熟成をされたのか。

ワインそのものを考えるだけでも、地質学・歴史学・生物学・植物学・醸造学・天文学などを調べるわけですが、それだけではありません。

そのあとお客様に紹介・おすすめをするのが仕事だからです。ストーリーを話す力・味や香りをわかりやすく伝える力・料理の知識・食べ合わせの知識・語学・語彙力・シチュエーションによる使い分けやセールストークを含めた提案力。そして、何より この人感じいいな と思ってもらえる人柄とコミュニケーション能力。

自分で書いていて、大丈夫か?と思うことがたくさんありますが、それを楽しい、追求したいと思ったので、この職業を辞めずに続けています。

勉強していく内容が果てしないという魅力があります。

ワインは、ヴィンテージや熟成期間、保管状態、新しい技術や法律によって大きく変わりますし、お客様ひとりひとりの対応の正解も違います。複数人で行う場合は、チームプレイも必要です。

一生勉強していられるなんて、なんて幸せだろうと思います。

ワインのことやチーズのことを調べている時間、心理学や脳科学 きっと役に立ってくれるはずの学問 を調べている時間も私にとって、私の人生にとって楽しいと思える時間です。

誰かに伝えて喜んでもらいたいという気持ちも含めて、自分の人生が楽しいと思える時間がいっぱいでありますように。

そう思って続けている職業が今のソムリエという職業です。

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