窪田博之

https://sobi-studios.com 1993年 ビーイング・グループ傘下…

窪田博之

https://sobi-studios.com 1993年 ビーイング・グループ傘下、スタジオ・バードマン入社。 所属アーティストのレコーディング、編曲、リミックス、MAを手掛ける。 2010年よりフリーランス。2014年より爽美録音所属。

最近の記事

Orange Crate Art

ポップ・ミュージックはテクノロジーではない。人と人とのふれあいの鼓動、音と音の共鳴が空気を伝わって届く。 アメリカの音楽プロデューサー、ヴァン・ダイク・パークスが、盟友で、ザ・ビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンをボーカルに迎えて、1995年に発表した「オレンジ・クレイト・アート」。 そもそも、僕は、ザ・ビーチ・ボーイズをリアルタイムで知らないし、熱心に聴いてこなかった。そう。遅れてやって来た世代だ。 僕がヴァン・ダイク・パークスを知ったのは、彼がこの作品の3年後に

    • NieR Chill Mix - SQUARE ENIX MUSIC Mixed by DJ KRO

      先日、スクウェア・エニックスさんのYouTubeコンテンツ、SQUARE ENIX MUSIC Channel用のDJミックスのマスタリングを手掛けさせていただきました。ミックスはHip Hop DJのDJ KROさん。 SQUARE ENIX MUSIC ChannelのDJミックスのマスタリングは昨年から引き続いてになりますが、いつも素敵なミックスなので、今回もマスタリングをとても楽しみにしていました。 今回、マスタリングにあたって、2月に導入したAvidのオーディオ

      • 終電車

        この間、この映画の事を話していて、『「終電車」って言い方、珍しい。』って言われたんですね。あぁ、なるほど、確かに普通、「終電」って言います。仕事や食事の後とか。 でも「終電車」って響きがいいです。鉄道の持つ趣きを感じます。 なぜタイトルが「終電車」なのか。それは当時のパリの人々が戦争の最中にそうしなければならなかった暮らしのスタイルのことなんですけれども。 フランスのフランソワ・トリュフォーが1980年に撮った映画です。主演は大女優、カトリーヌ・ドヌーヴ、相手役に若かり

        • 戦争は終わった

          今年の2月にグラフィック・デザイナーの信藤三雄さんが亡くなりました。日本のポップスのスリーブ・デザインを数多く手掛けた方でした。そして、信藤三雄さんと言えば渋谷系。 渋谷系っていつからいつまでとか、なにがそうなのかとかって言われるとはっきりと言えないですけれども、90年代から2000年代初めにかけて、音楽からアートワークのみならず、ライフスタイルのひとつの提唱みたいな感じたっだような気がします。 その中心だったのが、ピチカート・ファイブ。リーダーは小西康陽さん。後期のボー

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          Listen to the Music

          The Doobie Brothers 結成50周年 リユニオンツアー 横浜公演 パシフィコ横浜 国立大ホール 2023年4月18日 ドゥービー・ブラザーズって僕の世代からすると、もうちょっと上の世代のバンドというイメージがあります。僕も熱心に聴いていたわけではないので、思い浮かべる曲もそんなに多くはありません。 でも、自分のような90年代のアシッドジャズやレアグループのムーブメント世代には自ずと耳に入ってきたバンドです。彼らの代表曲「Listen to the Musi

          Listen to the Music

          朝美人

          日比谷公園の花壇がチューリップで彩られています。様々な色の花を咲かせていて、今が見ごろです。 「風のガーデン」の貞三先生を見習ってチューリップの花言葉をつくってみます。 朝美人 チューリップ なぜこの花言葉なのかはきっとお分かりですよね。 春を迎えた都会の公園にも鮮やかな緑と様々な色づきがここにもそこにも。 色づいた花々の周りには人がたくさん集まってきます。 花壇をつくり種を蒔いて花を咲かせる。人間社会においてもなにか同じようなことが言えるのかもしれませんね。

          風のささやき

          今日は大好きなフランスの作曲家、ミシェル・ルグランのお話しです。 1960年代、フランスの映画界には新しい風が吹いていました。ジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、ジャック・ドゥミらが現れ、映画の古典に敬意を表しながらも、新しい表現手法で、時に心地よく、時に疾風の如くフランスのみならず全世界の映画界に大きな風を吹かせました。 ヌーヴェルヴァーグと呼ばれたそんなフランスの映画作家たちに愛された作曲家がミシェル・ルグランです。 ゴダールの「女と男のいる舗道」

          風のささやき

          風のガーデン

          「もしも君たちがなくしものをして、それがどうしても見つからなかったら、富良野に探しに戻っていらっしゃい。残雪の溶けた熟地のぬかるみに、君らの探しものは転がっているはず。」 倉本聰 先日、お話しした「優しい時間」に続いて、倉本聰のシナリオの「風のガーデン」を観ました。放送当時以来ですので15年ぶりになります。東京で麻酔科医をしている主人公が癌に侵されて、故郷、富良野に戻り家族との時間を取り戻して行く話しです。 主人公の麻酔科医、貞美に中井貴一、長女ルイに黒木メイサ、長男、岳

          風のガーデン

          灯火 SHIKABI

          スタジオでお仕事をご一緒させていただいている映像作家の杉本篤さんのご自身の作品が出来上がったというのでお邪魔して来ました。スケボー、スケートボーダーを描いた作品です。 日本橋兜町にあるKeshiki スペースAAという場所です。会場に入って受付でブックレットを貰います。丁寧につくられたものであることがすぐにわかります。極力、装飾を配してシンプルなメッセージを感じる写真とモノローグで構成されています。レイアウトもとても素敵です。 会場内はご自身の写真やアクリルアート、アスフ

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          ポストプロダクション時の映像再生

          ポストプロダクション - MA時において、Pro Toolsはビデオファイルをタイムラインに貼り付けて再生できるので、とても便利です。Logic Proなど他のDAWも同様です。 ただ、まだ開発途上のようでPro Toolsのパフォーマンスの低下やVideo Engineのエラーが起こることがあります。Pro Toolsはレコーディング・ミキシングに特化したプラットフォームなので、致し方ないかも知れません。 Video Sync (旧 Video Slave)というアプリ

          ポストプロダクション時の映像再生

          勝手に逃げろ/人生

          この前も書いたゴダールの「勝手に逃げろ/人生」。この映画でもう一つ驚異的にかっこいいのはスローモーション。こんな想像を絶するスローモーションはゴダールにしか撮れない。 映画が始まってしばらくすると自転車に乗ったナタリー・バイが登場して、突然、スローモーションに切り替わる。 映画に脈略を求める人たちには理解できないと思う。なんでスローモーションなのかよくわからないけども、とにかくかっこいい。 ガブリエル・ヤレドの音楽にもビビる。スーパー美しいピアノのメロディ。 「映画は

          勝手に逃げろ/人生

          秒速5センチメートル

          「すずめの戸締り」が話題の新海誠監督ですが、大ヒットした「君の名は」より前に撮った、いくつかの映画がとても好きでよく観ます。 特に「秒速5センチメートル」が好きです。あくまで個人的な推測ですが、劇中で使われている山崎まさよしの大ヒット曲「One more time, One more chance」にインスパイアされてつくった映画な気がします。 主人公の貴樹が、栃木の岩舟に転校してしまったガールフレンドの明里に会いに行くのですが、そのルートを辿ってみました。映画では豪徳寺

          秒速5センチメートル

          Macを英語で使う

          Macを使い始めたのは、かれこれ30年ほど前。当時、Macの日本語OSは漢字Talkと呼ばれていて、国内でMacを買うと日本語キーボードのMacに漢字Talkがインストールされていた。 先輩のMacマニアのエンジニアがキーボードを英語のものに変えて、OSも英語OSにJapanese Language Kitなるものを入れて使っていた。まだ駆け出しのアシスタントだった僕は、それがとてもかっこよく思えて真似してやっていた。 Apple配列の英語キーボードはとてもシンプルでスマ

          Macを英語で使う

          優しい時間

          再びレコーディングの話しは片隅に置いておいて。 倉本聰のシナリオのドラマ「優しい時間」を10数年ぶりに観なおしていたところ。当時もとても好きだったけれども、今回の方が感動が大きかったように思います。寺尾聰と大竹しのぶの、二人だけの時だけ時計の秒針がすごくゆっくりになったかのようなやりとりの空間、二宮和也と長澤まさみのあどけないぎこちないやりとり。セリフの一つ一つがすーっと心に入ってきます。それと、記憶に残っている以上に笑える場面が多いことにもびっくりしました。倉本聰はひょん

          優しい時間

          ポストプロダクション時の映像送出

          リモートセッションはまだまだ多いですし、レコーディングの一つの形になりそうです。ポストプロダクション - MA時においてのProToolsからZoomなどのオンライン・プラットフォームへの映像の直結がようやく実現しました。遅ればせながらですが、ようやく対応です。OBSやWirecastなどは介在させずに流し込むので音と画のズレも最低限のところをキープ出来そうです。

          ポストプロダクション時の映像送出

          ゴダールとタイポグラフィ

          少しレコーディングの話しは置いておいて。昨年、亡くなったフランスのジャン=リュック・ゴダールの映画の魅力の一つはタイポグラフィ。1980年の「勝手に逃げろ/人生」のタイポグラフィにヒントを得て、壁紙をつくってMacやiPhoneに使っている。白文字に白文字を重ねるというアイデアが素敵すぎるくらい素敵。

          ゴダールとタイポグラフィ