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『ピエール瀧の23区23時』~セカンドシーズン 練馬区編

ピエール瀧が東京23区の各区を夜中に散歩したら一体何が起こるのか?!という自由徘徊実験企画。決まっているルールは“23時になったら写真を撮る事”と“100円自販機を見つけたら興味本位で味見をする事”のふたつ。それ以外は基本行き当たりばったりのゆるゆる企画。ファーストシーズンは2010年に開始。その模様は『ピエール瀧の23区23時』(産業編集センター/刊)として2012年に書籍化されている。10年後の2020年、セカンドシーズンがスタート。

練馬区編

西武池袋線「石神井公園」駅スタート

 

石神井公園駅

ー本日は練馬区です。石神井公園が、実はいろんな昆虫が集まるスポットということで、僕の友人の昆虫大好き芸人•カナブン坂本くんに石神井公園内を案内してもらう予定です。坂本くんとは公園付近で合流します。

瀧:了解。石神井公園駅ってさ、思っていたよりも全然開けていて衝撃なんだけど。

ー同じく僕も衝撃でした。学生時代、結構この辺は来てたんですけど、10年くらい前は石神井公園周りはこんな感じじゃなかったんですよね。

瀧:石神井公園駅は西武池袋線か。上石神井は違うよね、あれは西武新宿線だもんね。上石神井駅はさ、若い頃に人材派遣の会社に登録してたときに、田無の現場に行くためによく使っててさ。今日はそのモードで来たわけ、あのサイズの駅があるんだろうなっていう感覚でさ。それこそ中野区編のときの沼袋駅。何かあんな感じだと思って来てみたら、全然立派ですげえじゃんっていう。俺は今、驚きと共に石神井公園駅に立ってるよ。

ー今日は、石神井公園が実は昆虫採集の名所ということで、坂本くんに案内してもらいます。

瀧:そうなの? 石神井公園って。

ー練馬区主催で、石神井公園で昆虫を見ようみたいなイベントもやってるみたいです。坂本くんも、23区内では一番だろうと。

ーこの石神井公園のマップを見ながら、なぜ昆虫がいっぱいいるかを説明します。これが石神井公園で、二つの池を囲うようにできています。ここにある三宝寺池ってあるじゃないですか? この池の周りの植物群が天然記念物として指定されているらしいんですよね。

ー初めにこれありきで他のところも作っているから、結構いろいろな植物が豊富で、木もクヌギとかすごくいいものが揃っているから、昆虫が寄ってくるそうです。

瀧:なるほど。昔ながらの自然の姿がここの一帯に残ってるってわけね。

ーはい。なので、この辺が虫採りには一番いいらしいんですよね。ただ、二つめの池、この石神井池は人工の池らしいんですよ。なので、三宝寺池の周りがやっぱり昆虫からしたらベストな環境らしいですね。

瀧:住所で言うと石神井台1丁目だね。なるほど。さっき矢吹くんから聞いたけどさ、坂本くん朝からいろいろと準備してくれたらしいじゃんか。なんか仕掛けてあるんでしょ?

ー坂本くんが、昆虫が寄って来るようにバナナやリンゴをお酒につけて、それをストッキングに入れて潰したやつを木に吊ってくれてます。

瀧:なるほど、なるほど。健気に準備してくれてるんだね(笑)

ーもしかしたら、駅前をぐるっとしてから行くかもしれない、とは伝えてあるので、もしよければこの辺見てから行きましょうか。

瀧:OK、そうしよう。あのさ、さっき矢吹くんからL I N Eが来た時に行ってたラーメン屋さんって、美味しいの?

ー美味しいです! さっき行ってみたら、編集の松本さんがいました(笑)

松本:本当、美味しかったです!

瀧:美味しいんだ! そうか~。俺も早く来て食えばよかったな。ちょっと駅の周りを見てみてから行ってもいい? 何かいろいろ面白そうなお店がありそうな気もする。勢い次第じゃ、ちょっとそのラーメン屋行って、平らげてからっていう可能性も(笑)

駅前商店街

ー僕と松本さんは外で待っておきますので(笑)

瀧:そういうことになるのかもしんないけどね(笑)。今日さ、虫採りだって言うから、一応そういう格好してきたんだよね。長袖のジャージっていう。これだったら虫採りにいいでしょ。薮とかに踏み込んで行ってもいいような準備はしてきた。俺の勝手なイメージは、多摩川沿いみたいなところの茂みをガッサガサ突き進んでいくっていう感じだったんだよ。そしたら場所が公園だって言うからさ、ちょっと拍子抜けしてる(笑)。

ーただ、もしかしたらそういうとこもあるかもしれないです。

瀧:行ってみないとわからないよね。

昭和の香りが残る駅界隈

ーあ、いきなり100円自販機が。

瀧:いや、練馬は100円自販機には困らないんじゃないかなと思うんだよね。1回スルーしとこうよ。

ーもしかしたらですけど、公園内にあるかもしれないですからね。

瀧:そうね。ていうか石神井公園駅すごい発展ぶりじゃない。これとか新しいマンションでしょ? 後ろのこれ。

瀧:ちゃんと富士そばもあるしさ。ありがとう富士そば、ホント頼りになるぜ。この焼き鳥屋も美味そうね。

ー失礼な意味じゃなくて、この焼き鳥屋が似合う感じだったんすよ、昔は。

瀧:俺もそんな感じのイメージだったわ。賑わってるし美味そうじゃんね。まあでも、これからラーメンを食うかもしれないから一応我慢で(笑)

ーここです、その美味しいラーメン屋。「井の庄」

瀧:このビルの地下なのね。「麺処井の庄」。ちょっと様子見てみようかな。それにしても懐かしい誘い方をするビルだね(笑)

ー本当こういうとこだったんすよ前は、この街全体が。「井の庄」も結構歴史長いはずです。

瀧:そうか、町が順調に生まれ変わってるんだな。どこだ? 「井の庄」は。あー、お客さんが数人並んでるねぇ。それだとなあ。「お土産つけ麺、混雑時でも並ばずにご購入できます」か。でも冷凍なんだな。冷凍つけ麺持って虫採りはバカ過ぎるなあ。閉店は23時、……虫を採ってから考えよう(笑)。

麺処 井の庄

瀧:じゃあ公園に向かうとしよう。てかさ、俺この取材の時に、毎回道端の植木鉢タギングのことを言ってるじゃん。でもこの前気づいたんだけど、タギングとかスプレーアートって一時期より減った気がしない?

ー間違いなく減りましたね。単純にステッカーとかも。やっぱ、オリンピック開催の影響じゃないかな、と。

瀧:ああ、そっか。そういう感じの理由か。

ーそう言いながらも、江東区にはいっぱいありましたけどね(笑)。競技会場がいっぱいあるのに。

瀧:そうね(笑)。今歩いてるこれが、富士街道? もうちょっと向こうで石神井公園通りか。

ーそうですね、石神井公園通りをまっすぐ行くと石神井公園です。坂本くんは公園の入り口で待っててくれてます。

瀧:O K。かわいそうだから早く行ってあげよう(笑)。これも超立派な建物だなあ。

瀧:これ、多分再開発に関して攻防が続いてるだろうね。開発したいゼネコンサイドと、昔ながらの石神井公園駅がいいっていう人たちとで。でも、近くに石神井公園っていういい環境の公園があるわけじゃん。しかも23区内。そうなったら、池袋ベースで仕事してる人とかだったらここに住みたくなるのは自然だよね。池袋に着くんでしょ? この電車って。

ーも、そうだし、副都心線が開発されたので、新宿、渋谷を経由して元町・中華街まで行けます。しかも急行が止まります

瀧:だってさ、藤森くん(笑)。いいんじゃないの、ここに引っ越すのも?

藤森:そういうのも検討するつもりで今日は来ました(笑)

瀧:住むには便利でよさそうな雰囲気出てる町だよね。うわ、何かいい感じの酒屋さんだ。そして2階はキックボクシングジム

瀧:この感じなら角打ちもやってるのかな? そんな気もするけどな、奥がめっちゃ広いから。いいよね、あの瓶を並べて売ってる感じ。バャリースとかも瓶で売ってる。エモいわ〜。

瀧:ちょっと射的っぽい感じっていうかさ。そして店前にはサラッと100円自販機も。もはや今となってはよく見たやつばっかりだ。もうだいぶ目が肥えてきたからな、俺たちも。ここもスルーでOK。

友野屋酒店

ー僕の勝手な石神井公園周りのイメージですけど、漫画家さんがいっぱい住んでるイメージです。大泉学園周りも含めて。有名なとこだと、弘兼憲史・柴門ふみ夫妻とか。

瀧:へえ、あのご夫妻この辺なんだね。うわ〜、ゲームパークだって! すごい懐かしい佇まい! 

瀧:このゲーセンの匂いでもう連れていかれるね。と言っても、どうやらもう俺らがやるようなゲーム筐体は置いてないんだな。せめて匂いだけも嗅いでいこう。

瀧:いやあ、このタバコとクーラーのゲーセンの匂い胸アツだわ。俺、現段階、あくまでも現段階だけど、高円寺に住むならこっちに住むかも。

ーはいはい、すごいわかります言いたいことは。

瀧:昭和のイメージが街角のそこかしこに残ってるしさ。なんか懐かしくていいんだよなあ。第2ふれあい広場だって、中見てみたいわ。どうふれ合うんだろう。第2ってのがいいよね。

ーお、旅館もありますね。

瀧:本当だ、昭和館。ビジネス旅館か。矢吹くん、ボクシングジムがあったよ。石神井スポーツジムだって、知ってる?

ー知ってます(笑)。プロ加盟のジムなので。

瀧:ゲーセンとボクシング。石神井公園駅周辺好きだわあ。

ー今回の23区23時で色々な町を歩きましたけど、若い時と同じ条件で、今上京してきたら住みたいなって思うところありました?

瀧:もし今静岡から上京したとして、当時ぐらいの給料で? 俺、月15万だった気がするな、制作会社バイト時代。電気グルーヴはやってないとして、どこに住みたいかな。そこそこ難しい質問だな。何してるかにもよるじゃんか。……でも墨田区かな、両国のあたり。両国の近辺は雰囲気含めて良かったよね。

ー墨田区のたまたま出会った女性が言ってた、「地元の友達がこの辺に住んでるから」って住んでたの、すごくいい理由でしたよね。選び方として。

瀧:うん、そうだね。そういうのがあると、また選ぶところも違う気がする。

昆虫大好きカナブン坂本くん

ーあ、あそこにいます、坂本くん。

瀧:あの恥ずかしい格好の子?(笑)。こんばんは、坂本くん。ごめんね、待たせて。

坂本:いえいえ、よろしくお願いします! 吉本興業所属、昆虫大好き芸人、パプリカのカナブン坂本です!

瀧:こちらこそ、今日はよろしく! すげえ格好ね(笑)。俺たち野球場で会ってるらしいじゃん。

坂本:はい!

瀧:あ、赤いスパイクのショートの子だ。今やっと繋がったわ(笑)

坂本:ありがとうございます!

瀧:まずそもそも、坂本くんがなんでそんな虫採りに夢中になっているのかっていう説明をお願いします。慌てて特技探した訳じゃないでしょ? 最近の芸人さんにありがちな、とりあえず肩書きほしい的な動機じゃないんでしょ?(笑)

坂本:はい(笑)。そもそも僕、秋田県の大曲出身なんですけど、小さい頃から昆虫採集大好きで。家でも昆虫飼ったりしてますし、やっぱ昆虫の魅力を広めたいなと思いまして。本当に面白いんですよ、昆虫って。

瀧:はいはい、なるほど。

坂本:でですね、もしよろしければ、これ瀧さんの分のです。

瀧:ありがとう(笑)。これはあった方がいいよね。虫かごも。でもすげえ安い入り口から入ってくるのね(笑)。100円ショップの入り口付近で売ってるやつじゃん。

坂本:こういうのでいいんですよ。そんな高価なものはいらないんです。

瀧:なるほどね。それで、石神井公園にはどんな昆虫がいるの?

坂本:いわゆるカブトムシとかクワガタとかですね。そういうのを採るにはやっぱりクヌギの木とかがあった方がよくてですね。もうここに、くぬぎ広場って書いてあるぐらいこの公園は本当にクヌギの木が多くて。

坂本:時期的に今はまだ6月なんで樹液がまだそんなに出てなかったんですけど、今日朝から下見してみたら、桜の木の樹液なんかは出てたのでそこを重点的に見れたらなと思います。

瀧:OK。この時期は何が採れるの?

坂本:クワガタなんかはもう動いてるはずです、冬眠から目覚めて

瀧:え、クワガタって冬眠するの!?

坂本:冬眠する種類もあるってことですね。ミヤマとかノコギリとかは冬越さないんですけど、冬越す種類もあるんです。

瀧:そうなんだね、知らなかったなあ。じゃあ、運が良ければクワガタいけると。OK、わかりました。

ー地図で言うと僕ら今下の端っこにいるんですけど、クヌギ広場に向けて坂本くんがを仕掛けてくれました。

瀧:仕掛けてあるやつを巡って行く感じ?

坂本:そうですね。ちょっと昨日から仕込んでまして。で、この奥が野鳥誘致林なんですけど、ハチに注意の看板があって、実際に結構飛んでたのでそこだけ気をつけながらっていう感じです。

瀧:最悪、ハチだー!! の面白さもあるけどね(笑)。よしじゃあ行ってみよう。よろしくお願いします。

ー坂本くん、今日はお任せします!

坂本:はい!

虫を求めて公園内へ!

瀧:こんなちょっとボートに乗れるような池もあるんだな。水棲昆虫とかいっぱい採れそうじゃない?

坂本:今ね、絶滅危惧といいますか、水棲昆虫はすごい少なくなっちゃってて。タガメとかはもういないそうです。

瀧:ゲンゴロウは? お尻に空気の球つけてるゲンゴロウ。

坂本:ゲンゴロウもやっぱ減ってきちゃってるみたいです。悲しいですね。

瀧:そうなのか。でもゲンゴロウは、俺が子どもの頃でさえ静岡の田んぼで見たか見ないかぐらいのレア度だったよ。そんなに頻繁に見られる虫じゃないでしょ、ゲンゴロウって?

坂本:そうですね、はい。ちょっと稀な肉食昆虫なので。小魚がいるところじゃないと。

瀧:っていうか、もうこの歩いてる時点で虫の声結構してるじゃない。

坂本:はい。ただもう昨日の雨の影響で、結構昆虫が引っ込んじゃってる状態です。

瀧:昆虫は雨降ったらどこに行くの?

坂本:葉っぱの裏とか、土の中とか木の隙間とか、そういうところで雨宿りしてますかね。

瀧:そっか。まだ公園の入り口の方だけどさ、ちょっと他の公園と要素違うね。水辺に生えてるススキとかアシとか、背の高い草をそのままにしてる感じとかさ。

瀧:きっと昆虫にしてみたら住みやすい環境なんだろうね。「道端は綺麗にしなきゃな」なんつって、ワーッて草を刈っちゃうとさ、昆虫にしてみたら住む場所を奪われた感じになるでしょ?

坂本:瀧さん、なんて素敵なコメントなんですか。そうなんですよ!

瀧:きっとそうだよね(笑)。草ボーボーの方が虫も坂本くんも嬉しいんでしょ?

坂本:はいそうですね(笑)。

ー瀧さんは子どもの頃、昆虫採集やったりしてました?

瀧:一応網を持って友達と採りに行ったりはしてたけど。でも結局珍しい虫ってさ、どっか特別な場所に行かないとそうは採れないじゃない。実家からすぐの土手を越えた先がグランドとか河原だからさ、そこでトノサマバッタとかはもう無限に飛んでるのよ。そうなるとショウリョウバッタとかは、子どもからしたら無価値。トノサマバッタは一応捕まえてカゴには入れるけど、後でまとめてポイっと放す。一応河原に生えてる木にさ、子どもながらに蜂蜜を塗ったりしたこともあんの。でもクヌギの木に塗るってことがわかってなくて、テキトーに柳の木とかに塗ってた。そんなんで採れるわけないじゃんね。

坂本:でも諸説あるんですけど、最近の研究結果で、樹液が出る木にエサを仕掛けると昆虫が集まってくるっていう結果は出たらしいです。

瀧:なるほどね。石神井公園がすごい昆虫パラダイスってことは結構知られている情報なの?

坂本:昆虫好きの中ではちょっと有名な場所で、やっぱ知られてはいるんですけども、それでもなかなか穴場と言いますか。

瀧:釣りで言うとさ、知る人ぞ知るすげえ釣れる場所みたいなことでしょ。

坂本:そうですそうです。

瀧:でもわかんないけどさ、都内だったら明治神宮とか代々木公園とかでも良さそうじゃんっていう風に思うんだけど。そうか、明治神宮は夜入れないから駄目か。

坂本:代々木公園なんて、もうそれこそバッタとかしかいないですね。

瀧:あそこなんとなくいっぱいいそうな気もするけど、そうなんだね。23区内、特にこの辺で採れる一番珍しいものって何?

坂本:やっぱりクワガタの種類なんですけど、ヒラタクワガタなんかが出てきたら、すげえテンションあがっちゃいますね。

瀧:ワオ! 当たりの日だ!っていう感じ?

坂本:そうですね。オオクワガタっていうのは本当に森の奥深いところ、高い位置じゃないといないんですよ。

瀧:そうなんだ。へえ。この辺の木は樹液出ないの?

坂本:こういうものは出にくいです。もうちょっとボコボコしてないと。あとはやっぱり、昆虫が隠れる場所がない。クヌギとかって、木の肌がボコボコして浮いてるじゃないすか。この木なんかはつんつるてんなので、クワガタなんかだと隠れる場所がないんですね。

瀧:納得。クワガタは天敵とかいるの?

坂本:スズメバチは、カブトムシやクワガタの天敵ですね。食べちゃいます。

瀧:あれを食べちゃうんだ。どっから食うの?

坂本:頭からまっぷたつにすることが多いんじゃないすかね。スズメバチ、アゴめちゃくちゃ強いですからね。

瀧:そうなんだ。

坂本:それすらも凌駕すると言われてるのがカマキリです。オオカマキリはもうめちゃんこ強いです。

瀧:カマキリなの!?

坂本:はい。鎌って、別にあれでスパッと切れるわけじゃないんです。ギザギザしていて、捕まえちゃったらもう離さないんですよね。

瀧:俺の中での最強昆虫のイメージはトンボかな。オニヤンマ。怖いらしいじゃんあいつ、空中で捕まえてそのまま食べちゃうんでしょ。いわゆる肉食昆虫。ホバリングもできるっていう恐怖度

坂本:ですね。オニヤンマも強いです。

本日最初の獲物をゲット!

瀧:うわ、虫がいた!(網を振り回す)……これもう、全然捕まらないんだけど(笑)

坂本:僕がやりましょう。

ササッ(簡単に捕まえる)

瀧:上手だねえ。

坂本:ありがとうございます!

瀧:一応さ、今夜最初の昆虫じゃんか。今夜はこれからスタートしたっていう記念にとっとこうよ。なんだろう?

坂本:ですね。かわいい~、みてください! 細いタイプの蛾ですね。カゴに入れておきますね一応。

瀧:へえ、そうやって入れるんだ。ていうか、すでにもう1匹なんか入ってるじゃん!

坂本:昼間、捕まえたんです。コイチャコガネという虫で。

瀧:なるほど。ちょっと手ぶらじゃ来られねえってことで(笑)

坂本:そうですね(笑)。いやあでも嬉しいな、蛾を気持ち悪がらないっていうのが。

瀧:ちょっと待ってね。今日ポケットタイプの老眼鏡を持ってきたのよ。折りたたみのやつで、見かけが気持ち悪くなるやつ。

ウルトラアイみたいですね(笑)

瀧:そうだね(笑)。どこだ? この端っこのか。細いタイプだね確かに。羽が着物の合わせみたいに重なってるじゃんか。

坂本:そうですね。ちょっとなんていう種類かわかんないですけど。蝶や蛾はやっぱり種類が非常に多くて。日本でもベタなやつ以外だとすぐにはわかんないです、すいません。

瀧:オーケー。とりあえずさ、今夜は無駄じゃなかったっていうことにしておこう。

坂本:でも瀧さん、昆虫お詳しいですよね。トンボの話だったり。

瀧:いや、なんかの科学番組でたまたま見てさ。オニヤンマ怖ぇなって思ったのよ。そんな凶暴な虫なんだっていう驚きね。もう他の昆虫たちにしてみたら、オニヤンマに襲われたら、はい俺終わったって思う感じでしょ。しかもホバリングできるって、そんな卑怯なやり方あるかよって(笑)

坂本:オニヤンマもそうなんですけど、やっぱり昆虫の素晴らしいところは、まだまだ未解決なことが多いっていう。それがやっぱりすごいなって思いますね。

瀧:そうだよね、人類の歴史より古いんだもんね。億年単位だからすごいよね。本当今夜はこういう街灯とかにもちっちゃい虫しか飛んでないね。最近街灯が結構LEDになっちゃったじゃない。LEDの光だと、なんか虫が集まってこないイメージがある。

坂本:それもあるかもしんないですね。

瀧:光の周波数の関係とかあるよね、多分だけど。うわ、なかなかのサイズの木があった。虫がささっと隠れることができそうな木じゃない? しかもまさかのメタセコイヤ! こういうとこに隠れたりするってことでしょ?

メタセコイヤの木

坂本:そうですね、この皮の裏っかわとか、こういうとこの隙間とか。

瀧:メタセコイアってなんか樹液出しそうじゃん。あっちの木とかもすごくない? 何か大木系が並んでる。

坂本:瀧さん、ほら見てくださいこれ。こっちの木にワラジムシがいっぱいいますよ。

瀧:本当だ! めっちゃいる。こことかすごいよ。ワラジムシ、この木で快適に暮らしてるじゃん。やっぱり隙間があるから?

坂本:いやでも、昼間はいなかったんですよ。ここも見ましたけど、昼間は出てきてなかったですね。

瀧:嫌ーっ!って思う人は心底嫌って思うやつじゃんか、これ(笑)

坂本:ちゃんと気持ちが悪いですね、これね。はい。

ー坂本くんは、苦手な昆虫とかいるの?

坂本:やっぱゴキブリはそんな得意じゃないですよ。

瀧:下の方にもめっちゃいるじゃん。うわーすごい。光に反応するんだね、一斉に隠れちゃった。みんなパニクってる~(笑)。うわあ、ぞろぞろぞろぞろ歩いてる~。隣の赤い木もかっこいいね。でも赤い木の方にはワラジムシいないなあ。なんであっちの木なんだろう、好みがあるのかなやっぱり。

坂本:もうしばらくいったら、僕が仕掛けた第1ポイントがございますので行きましょう。

虫採りで子供とコミュニケーション

瀧:さっき釣り禁止って書いてあったなあ、この池。

坂本:でもなんかザリガニがめちゃくちゃ多いみたいです。今日昼間来たとき、子どもたちがザリガニ釣りしてました。

瀧:なるほど。

ーそれぐらいは許してあげてほしいですよね。ザリガニ釣り。それを駄目って言っちゃうと、子どもが生物とかに興味持たなくなっちゃうと思うんですよね。

瀧:いや、本当そうだね。坂本くんさ、昆虫目当てでフジロックとか良いんじゃないの? 虫採りとしてのフジロック最高だと思うよ。バンドを何一つ見ずに、ずっと3日間テントで虫だけ採るっていう(笑)。

坂本:えー、失礼じゃないですかね?(笑)

瀧:いやいや、大丈夫だよ。フジロックオフィシャルに頼んで、カナブン坂本と昆虫採集って企画やってさ(笑)。

ー是非、瀧さんからS M A S Hの日高さんへ(笑)。でもフジロックも、本当は家族連れ増やしたいみたいな事も聞いたことあるんで、子ども向けにいいかもしんないですね。

瀧:キッズパークがあるじゃん。そことかで、お兄さんが昨日採った虫だよって見せたりとかさ。大事にしようねとか言えばいいんじゃないの? うん、確かにフジロックいいかもしんない。昆虫の観点から見るフジロック(笑)

坂本:いやあ、できたらいいなあ(笑)

瀧:これまだ石神井公園の本物じゃない方の池(石神井池)だよね。今が全体のルートの3分の1ぐらいか。クヌギってさ、木材としては何に使われてるんだろうね。

ーちょっと調べますね。えー、硬いので家具にはしづらいらしいんですけど、耐久性の高さから神社の鳥居、それからシイタケ栽培の原木に使用される、と。

瀧:シイタケ育ててるやつってあれクヌギなんだ。

坂本:ドリルで穴掘って椎茸栽培してってやつですよね。僕、農業高校出身なのでクヌギはよく使ってました。そこにカミキリムシとかクワガタの幼虫だったりとかもいて。ちなみになんですが、これが第1クヌギなんですよ。

右がクヌギの木

瀧:これがそう? 木の肌がボコボコしててやっぱ隠れるとこいっぱいあるね。

坂本:すいません。嫌な人いるかもしれませんが、こっちにゴキブリがいますね。

瀧:ちょっと小さめなゴキブリだ。これは何を置いてあるの?

坂本:これは昆虫ゼリーです。今日の朝に仕掛けておいたやつですね。

ー朝方、仕事終わりにやってくれたそうです。

瀧:そうなんだね。わざわざありがとうね。

坂本:いやいや、いんですよ。アリはいっぱいいますね。

瀧:それと隣にナメクジもいる。

でもさ、やっぱクヌギは木の肌違うね。ほぼほぼゴジラだもんね。虫って上にいるとか下にいるってのもあんの?

坂本:基本的には上です、下にいることは基本ないですね。

瀧:上なんだ。そうかそうか。下側にいたら他の野生動物に狙われちゃうもんね。

坂本:樹液があると、アリは集まるんですよ。今は6月上旬ということもあってそんなに樹液が出てないかというのが不安だったんですけど、出てる木は出てましたね。

クヌギの樹液

ーちょっと質問。ナイフとかで木を刺して樹液を出したりすることはあるの?

坂本:可能ですけど、やっぱり木を傷つけるのはマナー違反ですね。

瀧:自然は傷つけないってのがマナーなんだね。またゴキブリがいた。

坂本:でも小さいですよね。普段の家庭とかお店が、ゴキブリにとっていかに生きやすい環境か、栄養価が高いものを食べてるかってことですよ。どこに行っても餌があるっていう。ゴキブリはいわゆる雑食なので、人間の髪の毛とかも食べて、食べ尽くしちゃうんですから。

瀧:ああ、髪の毛のたんぱく質も悪くないじゃん!って。綺麗にしてくれてるって意味では良い虫だね(笑)。こっち側はどうだろ? 坂本くんのLEDライト借りていい?

坂本:どうぞどうぞ!

瀧:これめっちゃわかるよ、坂本くん! いいね。葉っぱの裏っかわもよく見えるわ。でも確かに、第1クヌギはおとなしかったね。

坂本:そうですね。こっからまた間隔が空いてしまうんですが、次の木までまた歩きます。これちょっと余談なんですけど、昼間に子どもに声をかけられまして、激アツスポットを教えてもらったんですよ。小三ぐらいの子に。今日はそこが最終目的地になるのかなと。

瀧:頼りになる子どもだわ(笑)。虫採りしてて、「お兄さんよく採れるとこ教えてあげるね」って言ってくれるなんて、良い子だよねその子。

ーでも坂本くんが「芸人だよ」って言ったら、シャキーン! ってタブレット出して検索されたらしいです(笑)。

瀧:(笑)。そこは今の子だ。身分照会をちゃんとしたってことね。本当に芸人かどうか調べてみるっていう。もしかしたらヤバいやつかもしんねぇしっていう。

坂本:Twitterのフォロワーが1000ちょいで「すげえ!」って言ってたんで。よかったです、そのくらいでそう言ってくれて(笑)。あそこの信号を渡った向こう側が、いわゆる人があまり入ってないような場所なので、昆虫とかも好む場所です。

瀧:人があんまり入ってない場所ってのはどういうこと?

坂本:こういうちゃんとした道じゃないんですよ、人の手が入ってないっていうか。地面の土が多いってのもあるんですけど、多分幼虫とかにとってはすごく良いところです。昼間子どもに教えてもらったところはもうすごいです。おそらくですけど、スコップで掘ったら絶対に何か出てくるようなところです。

瀧:無数にクヌギの木がある。それで下はきっと腐葉土っぽくなってる感じなんだね。楽しみだわ。ところで坂本くん、そのナップザックからバナナの先っちょだけ出てるの、軽くヤバいやつになってるよ。野宿してる子みたい(笑)

坂本:すいません(笑)。バナナは一応昆虫の罠にも使ったので。

公園内の100円自販機

ー瀧さん、公園内自販機に100円ありましたね。

瀧:一応見ておく? 強炭酸水ミネラルストロング。うわ、これすごいよ注意書きが。「10秒以上待ってから開栓してください」だって。炭酸が相当強いってことだよね? これいっとこうか。指示に従わないとな。

チャリン ガシャン

瀧:10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0。もういいかな。開けるぜ、どうだ?

プシュ ゴクリ

瀧:へあ〜。う~ん、強い強い強い。

瀧:炭酸が強いし、このミネラルっていうのでなんかちょっと味ついてる気もする。

ー僕、待たずにすぐ開けてみます。ブワーッと吹き出してくるかも。

瀧:お、チャレンジャー。それじゃあ矢吹くん行ってみよう。

チャリン ガシャン

ーすぐ開けます! すぐ開けます!

プシュ ゴクリ

ーうん、ブワーッと吹き出すまではいかなかったですけど、確かに強いです。

瀧:ね、なんかうっすら味しない?

イスラエル産の塩湖ミネラルが入ってるって書いてありますね。

瀧:すげえじゃん! イスラエル産? 何かしらが耳かき一杯くらい入ってるのかな?(笑)。まあ100円だったらいいんじゃないかな、楽しめたし。信頼の伊藤園だよ、この100円自販機のラインナップの中では。(また飲む)へあ〜っ。

天然記念物エリア三宝池

瀧:よしじゃあ行こうか。道を渡ってと。こっちが三宝池? ここから先は国の天然記念物なんだよね? 坂本くんとしては今夜の本丸でしょ。

坂本:ですね。ちょっと厚めに仕掛けてあるので。で、こっちに来ていただいたのでわかると思うんですけど、一気に増すこの湿気感といいますか、自然感。

瀧:はいはい。わかるわかる。すげえもん、この下が砂利の感じとか。東京で小石が拾えるんだもん。

坂本:皆さん、こちらです。ここの橋お気をつけください。あれ、なんか死んでる?

瀧:ザリだ、ザリガニだ。

坂本:うわー、かわいそうすぎる。

瀧:うわ、川の中にいっぱいいんじゃん!! でも、このザリも俺が子どもの頃はほぼ無価値だった(笑)。なぜなら赤くないから。価値があるのはいわゆる赤いアメリカザリガニ。うわあ、でもたくさん動いてるねえ。この感じの水辺もあって、こっちのエリアは木の種類が増えてるってことだよね。

坂本:そうですね。もう格段に昆虫の匂いがしますね。

瀧:昆虫の匂い? 異常嗅覚じゃんかそれもう(笑)

坂本:これはいるぞ感があるってことなんですよ(笑)。

瀧:うわ! 急に地面が柔らかくなった! でも、この辺に虫がいる気配全然ないね。

坂本:はい。悲しいな。やっぱ昨日の夜中の1時2時ぐらいに雨がしっかり振っちゃったから。この木なんかも非常に魅力的だったんですけども……。

瀧:なるほどね。でも、さっきの説明を受けてたからわかるよ。確かに坂本くんのテンションが上がる木だな、ここは。これキノコか。キクラゲっぽいやつ。この奥とかも穴開いてるけど、アリしかいないな。他はクモの巣ナメクジ

坂本:でもまだまだです。これはメインディッシュじゃないので。

瀧:こっち側はさ、ランニングをしてる人とか散歩してる人がいないね。

坂本:やっぱ園内が暗いんですよね、ちゃんと。

瀧:そうだね。池の植物に解説も入ったりしてジオ感ありだわ。睡蓮花かきつばた

坂本:あ、アメンボがいた!

瀧:アメンボ昆虫じゃんか! おーホントだ。アメンボ久しぶりに見たなー。

坂本:田んぼとかがないと、なかなか見る機会がね。

瀧:うち、実家の近所に土手があってさ。土手の向こう側が河川敷のグラウンドとかだから、ものすごい雨降ると10メータークラスのでっかい水溜りができるんだよ。ちょうど道がへこんでるとことかに。もちろん茶色い濁り水なんだけどさ、何日か経つとアメンボがどこからともなく現れて、ツインツインツイーンって水面を走ってたよ。で、小学生の自分はそれを死んだ目で眺めたりしてた。なぜならアメンボも無価値だったから(笑)

坂本:まあ、あんまりアメンボ見てテンション上がる子どもはいないですよね。

瀧:うん、でも動きは面白いけどね。なんか、周囲がちょっと山っぽくなってきた。

坂本:はい。そして、こちらです。僕が今日1日見て、一番蜜が出ていた桜の木なんですけど。

瀧:これ? この木にこの罠を仕掛けてくれてたんだ。

坂本:はい。ストッキングの中に、焼酎につけたバナナを潰して入れて、それをくくりつけました。こういうのを仕掛けた後はしっかり回収して帰りましょう、と。

坂本:こっちのやつが悪い例ですね、やるだけやって回収して帰らないという。これはもう絶対にやっちゃ駄目なやつです。

ーそうか、ゴミを遺棄してくようなもんだもんね。

坂本:はい。……いやあ、でもアリしかいないなあ。

瀧:この罠の餌が好きなのはどんな虫なの?

坂本:カブトムシがやっぱり。今はもうアリばっかりですけど。残念ですけど、回収します。いやあ、悔しいな。明日の朝とかになったらもしかしたらわからないですけどね。

罠を回収

瀧:虫はさ、夜行性とか昼活動するとかあんの?

坂本:例えばクワガタ、これも種類によるんですが、ミヤマクワガタは昼間に活動する昆虫です。それと先ほど僕が採っておいたこのコイチャコガネ、これも昼です。ただ、コイチャコガネは害虫なんですよね。農作物を食べちゃうってことで。

コイチャコガネ

瀧:そうなんだ。トマトとかキュウリとかの葉っぱとかを食べちゃうようなやつってことでしょ?

坂本:はい。いやあ残念です。いろんなとこ見た結果、この桜の木が一番樹液出てたんですけどねえ。

瀧:確かに、さっき教えてもらった隠れるとこがいっぱいあるもんね。幹もボコボコしてるし。あ、下の方にヤスデがいるよ!

ヤスデ

坂本:ああいた!かわいい~。ちっちゃいやつですね。

瀧:ヤスデ、ミニムカデみたいなやつだよね。これもかわいいって感覚なんだ(笑)

坂本:いや、やっぱりちっちゃいんでね(笑)

瀧:でも、無価値です(笑)

坂本:昔から不人気です(笑)

瀧:そうだよね。でも、刺したりはしないもんね。無害は無害。

坂本:で、この斜面の上の方に上がりたいなと思ってるんですけども。そこにちょっとちっちゃい道があるので、そっちの方に。……ああ、いないかあ。一か八かでここの街灯の下にも仕掛けたんですよ。一か八かですよ。いけるかなっていう。

瀧:街灯にもあまり大きいのいないね。一応そうか、理論があって罠を置いてるんだね。坂本理論

坂本:ちょっと今のところ悔しい結果ですが、はい。でも、流行の時期的には8月ですから、7~8月はもうすごいと思うんですけどね。で、すいません皆さん、ここからちょっと上に上がりますが。

瀧:O K。夜を楽しんでる若い子ちゃん達がベンチにいるね。恋の話でもしてるのかな。そういう話をしてる子たちを尻目に、網を持ったおっさんたちが丘を登っていく(笑)。

地元の子の夜の集会

坂本:この上が先ほど言った、子どもに教えてもらったクヌギのオンパレード、激アツスポットです。

瀧:いよいよ確変入りますよと。

坂本:そうなんですよ。あ、これはちょっと待ってください! もっと寄って見てみてください。これ、この葉っぱが丸まってるところ。瀧さんこれ何かご存知ですか?

瀧:オトシブミ?

坂本:正解! 嬉しい、そうです! オトシブミが卵を産みつけて、葉っぱを丸めるんですね。そっから孵化して出てくるという。うわ~、かわいい!

瀧:こんなのどうやって丸めるんだろう?

坂本:本当器用なんですよ、手足を上手に使って。

瀧:へえ。この淡い緑の葉っぱ、柔らかいんだな。そっちのもっと濃い緑のやつと触り比べてごらんよ? 全然違うでしょ? 葉が柔らかいから丸められるんだろうね。で、こうして改めて注目すると、ゴキブリってどこにでもいんね。こんなにいるんだな。

坂本:そこで交尾してますね。

瀧:本当だ。横ちゃん撮って! ゴキブリの交尾を! プロのカメラマンになってゴキブリの交尾を撮ることになるなんて思わなかったでしょ(笑)。ほら、葉っぱの上で交尾してるよ。昆虫エロ写真だ。

瀧:オトシブミの本体はどんな形してんの?

坂本:本体は甲虫ですね。

瀧:あ、でも中にアリが侵入してる! すでにいただいた後の感じがある。弱肉強食感あるね、坂本くんほら。

坂本:うわ、本当だ! 辛っ! でもアドバイスするとしたら、やっぱこんな低いところに作っちゃ駄目だよということで。

瀧:そうね。高いところじゃないと、ブミさんよ、と。でも、この森は昆虫が住み着いてる片鱗があったね、卵を産み付けているし。

坂本:はい。いやあでも、瀧さんの口からオトシブミが出てくるとは嬉しいです。すごく嬉しい。

瀧:いやでも、学研の図鑑を子どもの頃一通り見てたら出てくる名前じゃない?他にも、ハンミョウとかさ。

坂本:ハンミョウは昆虫界のスピードスターですよ! クヌギにはクワガタとかカブトムシの他にも、いわゆるカミキリムシとかがいたりするんですね。

瀧:カミキリムシ、懐い! カミキリムシに噛まれると超痛いよね。ちゃんと血が出るもんね。

坂本:あれね。本当痛いですよね。


メインディッシュ! くぬぎ広場!

坂本: はい、そして皆さんお待たせいたしました! こちらほとんどクヌギの木のゾーンでございます!

瀧:ここ?!

くぬぎ広場

坂本:はい。先ほども言ったんですけど、もう足下がふかふかしてるでしょ、落ち葉でね。

瀧:確かにしてる。ふかふかでさっきと全然違うね。

坂本:なので、やっぱ掘ったりすると幼虫とかは出てくると思いますね。

瀧:ホントに全部クヌギなんだね。お、これはサルノコシカケかな? 

瀧:なんかあっちの東家で騒いでる連中がいるな。バーベキューしてるの? ここで火を使っちゃ駄目だよね、していいのかな? そんなことないと思うけどなあ。

坂本:もちろんダメですよ~。昆虫が逃げちゃうなあ。

瀧:そっちの観点かよ(笑)。でもほら、これもゴキブリじゃん。しかも立派なゴキブリになってきた。いよいよ背中が黒くなったよ。

坂本:ですね。いわゆる皆さんが家庭でよく見るゴキブリですよね。

瀧:いやでも、この森にゴキブリが大量にいるっていう事がわかっただけでも、俺にとってはは収穫だけどね。本当に。

坂本:ありがとうございます(笑)。あそこに、子どもたちが掘った跡があります。幼虫いるんじゃね? って僕のために掘ってくれたんですよ。

瀧:いい光景だな(笑)。こういうところから出てきたりするんだよって? でも本当地面がふかふかだね。足で掘ってもすげえ簡単に掘れるわ。これは確かにいいとこかもしんない。虫が好む腐葉土だもんね。でもそんな簡単に昆虫採集ができたら苦労しねぇっつーのって話だから、いないのも昆虫採集のうちなんじゃないの。

坂本:いわゆる、木(の皮)を剥がすっていう探し方、あまりよろしくないんですけども、そういったことをすると結構クワガタがいたりするのは間違い無いんでしょうけど。この環境なら。

瀧:その感じはあるかもしれないね。

坂本:こっちの木のとこにも置いたんですよ。でも、結果は大量のアリですね。

瀧:やはり。この木、樹液でびしょびしょだね。確かにアリがものすごいいる。

坂本:一番こういうときに期待できるのは、コクワガタのメスなんですけど……。

瀧:コクワのメスって、クワガタ界でもうだいぶ下の方だよね。ランク的には。

坂本:そうですね。あそことか、めっちゃ見てみたいですけどね。あの高い二股になっているところ。

瀧:どこ? ああ、あそこね。

坂本:ああいうとこだと、もうほぼ100パーと言っていいほどいるんですよね。

瀧:俺が木の脇に立って、その上に坂本くんが立ったとしても見れない高さだもんな。

坂本:相当高いです。

瀧:完全に無理だね。

坂本:こういう木の皮がめくれそうなとこにクワガタが潜むんですね、こういうとこ。

瀧:そうなのね。めくれポイントいっぱいあるじゃん。いやでも、アリとゴキブリは本当にどこにでもいるんだね。アリの地球上の個体総数を考えるとクラクラするわ。一体何匹いるんだっていうさ。ある程度進化した動物の中で一番多い命って、ひょっとしたらアリなんじゃないの?

坂本:ここでもちょっと見えてるだけで100を超えてますからね。

瀧:でも、大体木のどこを見ればいいかわかってきた。あ、これ何だろうね? ちょっとタマムシっぽい? 背中がテカテカしてるやつがいる。

坂本:キマワリの仲間かもしれないですね。木の周りをぐるぐる回る昆虫がいるんですけど。綺麗~、背中が。

瀧:すごい。ピンセット出してきた、当たり前のように(笑)

坂本:よいしょ。(じっくり見る)でも、タマムシとかそっち系かもしれないですね。キマワリはめちゃくちゃ足が長いんですよ。

瀧:次は昆虫図鑑を出したぞ(笑)

坂本:(パラパラ)これだこれ、ルリハムシです! いやあ、かわいい。カゴに入れておきましょう。

瀧:いやあでも、俺ら結構見落としてるのかもしんないわ。本当にあの感じでいるんだから、わかんないよ。

坂本:クワガタは、実は夜より昼の方が採るには適してるとも言われてます。単純に見えやすいから。夜行性ではあるんですけど。

瀧:そうか、基本目視で探すんだもんね。

坂本くん愛用昆虫図鑑

ひまわりの種で休憩

瀧:あそこのベンチでちょっと休憩入れようか。ベンチ脇の木も一応チェックしておこう。うわ! ハサミムシがいた! これこれ。

坂本:ああ、ハサミムシですね。

瀧:ハサミムシにおしっこをかけると、ちんちんが腫れるって言われなかった?

坂本:言ってましたね。

瀧:まあ、ハサミムシは置いておこうか(笑)。でも、一応新しい虫は見つけたぜ。これで見つけたのは、蛾、コイチャコガネ、ゴキブリ、ワラジムシ、アリ、アメンボ、オトシブミ、ルリハムシ、ハサミムシか。

坂本:でもワラジムシは昆虫じゃないんです、足がいっぱいあるから。

瀧:そうか、多足動物だ。ヤスデとかムカデと一緒で。

坂本:そうです。足の数が6本より多いので。ただ、その例外として、足の数が6本で羽がないのに昆虫なのがアリですね。これ結構盲点で。昆虫の定義は、頭・胸・腹と3つに分かれてること、それと羽があって足が6本なことなんですよ。

瀧:なるほどね、羽も必須なんだな。

横ちゃん:このタイミングでなんですけど、グアムに撮影で行ったので、お土産です。ジャーン!

瀧:ひまわりの種! バーベキュー味だ。横ちゃんありがとう。これはね、中身だけ食べるんだよ。上と下の前歯で、種を縦にして支えてからグッて噛むと、パキンと殻が割れて中だけ飛び出るんだよ。それで中身を食ったら殻だけペッ! て出すのが食い方。歯で割ってる時に無表情になりがちなので注意。食ってみる?

坂本:いただきます! ……あ、美味しい!

ーコロナの時は、メジャーリーグで「ベンチでひまわりの種食うの禁止」って言われてましたね。

瀧:言われてたね(笑)。ビールとか飲みたい。慣れてきたらもう次から次に食べられるようになるよ。ありがとう横ちゃん。後でまた食べよう。缶ビールとこれ持って、公園で昼間飲るのもいいよね。じゃあ次、行ってみようか。休憩終了。

瀧と坂本合体する!

坂本:瀧さん、早速ですけどこちら。あんま見たことないと思うんですけど、テントウムシの幼虫です。黒くて、ちょっとしましま入ってるやつ。

瀧:この、ちょっとムニムニしてるやつ?

坂本:そうですそうです。柔らかいんですよね。

瀧:(ちょっと触る)うわあ、まだ柔らかい。こんなちっちゃいのよく見つけたね。テントウムシの幼虫は見たことなかったよ。

坂本:これはナミテントウだと思います。漢字で書いたら「並」ですね。ノーマルなテントウムシなんですけど、背中の模様の種類もいっぱいあるんですよ。

瀧:これも何かの卵だよね? 木の肌の所々にめっちゃある。

縦に並ぶ謎の卵

坂本:はい。でも、テントウムシの卵ではないですね。

瀧:そうなんだ。割れてるのも何個かあるわ。うわ、ここにがいた! 全然気づかなかったわ。ライトを当てて初めてわかった感じ。上手に擬態するなあ。

写真中央に蛾がいる

瀧:下の方ではアリが卵かサナギかみたいなものを運んでるね。ほら、みんなで力合わせて運んでる。この環境と足場で、あの重量のものを落とさないっていうのがすごいよね。

坂本:顎の力なんですよね。

瀧:踏ん張る力も相当なもんだよね。だって落とさないんだもん。どこまで運んでくんだろう。見た感じは強奪に見えるけどね(笑)。

坂本:やっぱり木の中に昆虫っていっぱい住み着いてるんですよね。

瀧:そうね。やっぱ気楽に木を切り倒しちゃいけないんだな。今夜がなかったら、ここまでガチで木の肌を見ることなんてなかった。よく見てみると一本の木にものすごい数の命がいるんだな。その卵とかさっきの幼虫も含めてさ。そう考えると、木は気楽に切り倒せないよね。いつの間にか、俺すっかり虫側の思考で考えるようになってる(笑)。よし、じゃあ次行ってみようか。

ーここでクヌギゾーンは終わりですね。いやあ、色々仕掛けてくれてありがとう坂本くん。

坂本:いやあ悔しいっすマジで。ちょっと、クワガタくらいはねえ。

ーじゃあ、そこにある石神井公園の野球場で今度また草野球の試合組むから、ピンセット持って助っ人に来てよ。で、試合終わりにいろいろ捕まえてよ(笑)

坂本:是非(笑)

瀧:でも俺、ここで網持って野球のユニフォーム着てるヤツ見かけたら、すげえ引くけどね(笑)。午前中からユニフォームで野球と虫採りっての、楽しそうでいいけどね。あ、これもゴキブリじゃね?

坂本:これは違いますね。これコガネムシです。

瀧:コガネムシか。この木、樹液めっちゃ溜まってるわ。すごい。いや、これガチで1本づつ木を見始めてたらさ、全然時間が足りないね。

坂本:いやそうなんですよ。ガチで見始めていくと本当に1本1本、どんだけ時間あっても足りないんです。

瀧:今ならわかるわ、その気持ち。あ、なんかいる。クモがゴキブリ食べてるわ。もう最低の食事シーンだね、クモがゴキブリ食ってるって(笑)。

坂本:いや、これ、ゴキブリじゃないな。多分コオロギの幼虫かなんかですね。この足、コオロギ系の足ですね。後ろ足が太いというか。

瀧:そうか。やっぱこんだけ集中してると、なんとか見つけられるようになってきてるな。あ、蛾が飛んでる! 俺も採りたい。(網を振り回す)遠近感がわからない。あれ、全然採れねえじゃん。……入ったかも。入ってない? これ。

坂本:入ってますね!

瀧:入ってる? やった!

坂本:でもほら、やっぱさっきのとは種類違うんすよ。もう蝶や蛾は何千何万種類の世界なんで。

瀧:これさっきのと違うんだ。でも、色み的には確かにそうだね。別にこれはもうリリースでいいや。一応採れたっていうことだけ嬉しい。

坂本:採るには斜め45度ってよく言いますね。、虫は斜め45度に飛ぶんですよ。だから先読みしてその角度で採るか、あとは後からとか。

瀧:なるほどね。あ、これも昆虫だよね? タマムシ系じゃない? ちっちゃいな~。

坂本:ピンセットでちょっと失礼。これはですね、ゴミムシ系ですね。

瀧:ゴミムシ。ああ、確かにちょっと細長いもんね。ひまわりの種みたいな(笑)

ー昆虫採集って、標本とかにはしないの?

坂本:基本的にはリリースですね。なかなか標本にはしないです。標本にするのは生きてるうちじゃないとできないんですよ。なので、色々大変なんで。

パチン!

瀧:うわ、虫が手のひらで跳ねた! これ跳ねるってことはさ、ゴミムシとは違うやつなんじゃないの?

坂本:ごめんなさい、じゃあコメツキですね多分。

瀧:そうだ、跳ねるのはコメツキだ。坂本くん、今この木の上に黒いのが動いてったよ。上の方の窪みに入ってった、しかも結構デカかった。5センチくらいのサイズ感

坂本:本当ですか? この上に?

瀧:でももうだいぶ奥に行っちゃったかな。なんか真っ黒だった。クワガタの可能性もゼロじゃないよね? これ登る? それか肩車とか。

坂本:本当ですか!? いいんですか?

瀧:うん、大丈夫。せっかくだからいってみよう!

坂本:本当ですか? うわー、失礼します。じゃあ見てみますね!

坂本:……瀧さんすいません、めちゃくちゃゴキブリです(笑)

瀧:マジで(笑)?

坂本:めちゃくちゃでっかいゴキブリです。立派なめっちゃでかいやつです。

瀧:でっかいゴキブリか(笑)。……そうか、ありがとう。(坂本くんを下ろす)

坂本:なんかすいません、ありがとうございます。

瀧:ゴキブリか。いや、かもなとは思ったんだよ。

坂本:あのスピード、確実にゴキブリです。

瀧:でも、ゴキブリだってわかっただけでもすっきりした(笑)。すげえ家に出る感じのやつじゃなかった?

坂本:はい、完全体でした。

瀧:今日の流れで言うとさ、すごくいい物を食ってたやつってことでしょ。

坂本:そうですね。では、次のポイントが最後の採集スポットですね。

最後の可能性に賭ける!

瀧:じゃあ、ラストポイントに賭けてみる?

坂本:はい。まだクヌギが全然蜜をつけてなかったので、また桜の木ですけど。

瀧:なるほど。お、発見! 人形の髪留めかな(笑)。キーホルダーの一部かな。

坂本:かわいいっすねえ。子どもの仕業ですね。さて、ここから先はもう蜂が出て危ないんですよね。

瀧:そうか、蜂ゾーンか。お、ガガンボが飛んでる。さっきも見たね。

坂本:ガガンボはね、もう全くの無害なので放っておけばいいです。嫌がる人多いんですけど。

瀧:今夜は坂本くんのおかげでクヌギを覚えたよ。木のルックスを。

坂本:いやあ嬉しい。あら、また可愛いくまが挟まってますね!

クヌギとクマ

瀧:新種だ(笑)。子どもの宝探し遊びなのかな。あ、これ背中光ってるけど、なんだろう?

坂本:これですね! なんだろうな。

瀧:今、横ちゃんがなんの気なしに木に括りつけてある札をめくったら、裏側にクモいた。怖いわ〜、ちょっとドキドキ。よく気軽にめくったなと思って(笑)。この背中の光沢とか綺麗だよね。ちょっと緑系の光沢じゃない?

坂本:はい。タマムシのちっちゃいやつ。でもゴミムシなのかコメツキなのかは難しいです。あの辺も種類すごい多いんですよ。これだ! って言い切れないようなものが多いです。

瀧:図鑑見ても違いが微妙だもんね。あ、でもこれコメツキじゃない?!

坂本:あ、本当だ。コメツキですね。

パチン

坂本:跳んだ! かわいい~。

瀧:ごめん、俺はこれをかわいいとは思えないわ(笑)

ー以上で、石神井公園がぼちぼち終了ですね。

坂本:そうですねここまでです。こっから先は蜂に注意なので。

瀧:ここら辺りはもう、夜中1人で歩いたらちょっと怖いね。そろそろ23時だね。じゃあ、蜂に注意の看板あったからそこで撮ろうか。じゃあ坂本くん、一緒に。

坂本:いいですか? よろしくお願いします!

坂本:いやあでも、本当に申し訳ないです。小さいのしか採れなくて。

瀧:いや全然大丈夫だって。ちっちゃいものに注目するっていうことが面白かったからさ。リアルだもんね、楽しかったよ。で、ここもなんかいるね。うわ、なんかめっちゃいる!

坂本:これはシロアリですね。でもシロアリって実はゴキブリなんですよ、身体の構造的には。

瀧:そうなんだ。この木の中を食い荒らしてるってことでしょう? おそらく。

坂本:あと、カマキリもゴキブリと種類的には一緒ですね。

瀧:そうなんだ。

ーでは、石神井公園を出ましょうか。坂本くんありがとう!

坂本:いやあ本当すいません!

瀧:そんなことないって! 謝んなくて大丈夫。本当、面白かったよ。だってみんな最後には夢中になってたじゃん。もうしばらくはゴキブリ見てもなんとも思わなくなったよ(笑)

余韻と昆虫あれこれ

瀧:この道端の木のキノコちょっと病的! すごいルックス。熊楠が夢中になるわけだわ。(コンコン)見かけよりも硬いんだな。

瀧:通行人が興味本位で叩いた後がたくさんある、俺みたいに。さっきのクヌギをシイタケの原木にするっていう話を思い出した。もしかしたらクヌギって菌糸が入りやすい構造をしてるのかもしれないね。

ーでは、ぐるっと周って石神井公園駅前まで戻りましょうか。

瀧:うん。周りにどんな人が住んでるんだっていうのも見てみたいし。坂本くんに網返すね。ありがとね。

坂本:僕、最後までご一緒していいですか?

瀧:もちろんだよ。ここで帰れってのもなんか寂しいじゃんか。

ー本当本当。だってさ、もしかしたら駅前にクワガタ飛んでる可能性もあるじゃん(笑)。その時に落ち込んでる坂本君の写真が欲しいじゃん(笑)

瀧:そうそう。公園行く必要なかったじゃん、っていうね(笑)。可能性はあるわけでしょ?

坂本:可能性は全然ありますね(笑)。でも、それは悲しいなあ。

瀧:駅の改札の切符売り場のところにクワガタひっついてたりしてね。ここは、何通り?

ーここは富士街道ですね。昔はきっと見えたのかもしれませんね。

瀧:富士街道っていい名前。あ、これもオトシブミじゃない?

坂本:いや、これは違いますね。これあれですわ、コガネムシが葉っぱを食べてるとこです。葉っぱを食べるってことは、害虫の証拠ですね。ただこれはもう取れてる葉っぱなので、ぜひそのままにしておいてあげてください。

瀧:夢中で食べてんね。ごめんよって感じ。すごいびびってる。

坂本:でもカナブンは益虫ですよ。

瀧:そうなの? 何が益虫なの?

坂本:葉っぱとか食べないんです。蜜しか吸わない。

瀧:でも、害虫に対しての益虫って呼び方だけど、カナブンが何かを俺らにもたらしてくれるわけじゃないでしょ? 何か利益を。

坂本:いやいや、カナブンだー! ってしてくれるじゃないですか! 

瀧:それは坂本くんの場合ね(笑)。何か利益をもたらしてくれるから益虫って言うんじゃないの? 違うの? そうじゃないとしたら、益虫っていう呼び方を変えた方がいいと思うわ。だって益はもたらしてくれないじゃんか。例えば人間にとって、すごく役に立ってる虫は何なの?

坂本:難しい質問ですね。

瀧:ほら、アリとアブラムシの関係あるじゃんか。蜜を分泌してアリを引き寄せて、それによってテントウムシから守ってもらうみたいな。

坂本:まあ、害虫を駆除してくれるんだから、例えばクモだったりとかは益虫寄りですよね。ただ、クモは昆虫じゃないんですよ。

瀧:そうね。例えばイナゴを食べてくれるみたいなさ。

坂本:そうですね。イナゴはがっつり害虫ですもんね。イナゴって食べたことあります? 佃煮とかで。

瀧:食べたことはあるよ。でもあれ、お前を食べたところで、お前が食べた分の米以下なんだけど、っていう話じゃんか。最近は昆虫食が注目されてるじゃんか。そっちには興味はないの?

坂本:食べるのはちょっと……。

瀧:そこも踏み込めよ(笑)

ーそれは、相方の角田12球団にやらせればいいじゃん(笑)

坂本:確かに(笑)でも、罰ゲームでやっぱあるんですよね。

瀧:あるよね、俺もタガメ食ったことあるよ。

坂本:タガメね、美味しいですよね。

瀧:まずくはないよね。ただ、乾燥しててくれてないと嫌だわ。あっち系は無理、いわゆる幼虫とか。歯ごたえを想像するとゾッとする。幼虫も美味しいっていうけどね。

坂本:んー、どうなんでしょうね。食べた人に聞いたら、美味しいとは言ってましたけど。

瀧:まずくはない、ってことでしょ多分。

坂本:どうなんですかね。僕は絶対無理です。

瀧:でも木の味がしそうだなとは思う。

坂本:ナッツっぽいっていいますもんね。やっぱ食べたものの味がするって感じなのかと。それは動物とか魚とかと一緒なのかもしれないですね。

瀧:なるほどね。

ー自分は、蚕は食べたことありますね。

瀧:俺も韓国で食べたわ! あれ結構美味しいよね、醤油味で煮て、紙コップにガサーって入れてくれるやつ。あと台湾料理屋で、ハチのから揚げを食べたこともある。サクサクパリパリっていう食感で、ちょっとスナックっぽいって言ったら変だけど、そういう感じだったから結構美味しかった気がするな。

坂本:なるほど。

街の残り香を味わう

瀧:石神井公園近隣のマンションの住民とかはさ、目の前にデカい庭あるようなもんだよね。しかも誰かが手入れしてくれる。

坂本:多分昼に遊んでた子どもたちも、この辺の子達だと思いますね。

瀧:練馬区立石神井中学校。結構古い感じで伝統がありそうだな。ここのマックって、何の前触れもなく突然あるね。何か関連するものもなく、住宅街の真ん中に突如マックが現れる。

瀧:ここ真っ直ぐ行けば駅方面? このちっちゃいお店群は、パブスナックにスナックか。右の方の店、鉄道模型のお店みたいだよね。

ーちょっとわざと汚してあるような。

瀧:そうそう。富士街道、この辺りから急に道幅が狭くなったんけど、走ってる車はそのままの速度で走ってくんだな。

ーどうやら駅前だけですね、開けてたの

瀧:そうだねぇ。坂本くんはさ、昆虫採集に1人ではいかないでしょ?

坂本:1人でも行ってますよ! コロナ入る前はもうしょっちゅう行ってて。後は、知り合いの方のお子さんとか連れて

瀧:ちっちゃい子と行くのいいね。ちっちゃい頃から虫と触れ合わせておけば、そんなに嫌がらないようになるもんね。駅前からちょっと離れると、この間口のお店多いね。二階に住んでる感じの。昔はラーメン屋さんだったんだな。なんか練馬って、古い家というか、同じような感じの間口の家が多いね。

瀧:足立区もずっと住宅街だったけど、建物自体は比較的新しかったもんね。でも練馬区はなんか古いまま残ってる。

ーなんか、それこそのび太が住んでたのが、ここ練馬区内っていう感じもしますよね。

瀧:ああ、そんな気もするね。空き地に土管があるところだから、やっぱ東京の中心地じゃないだろうし。ドラえもんミュージアムって登戸だよね。そうなると、川崎の可能性もあるな。子育て地蔵遊び場だって。なんか奥のお地蔵さんすごくない? 

瀧:「大山街道は富士街道、道者街道ともよばれています。それは阿夫利山ともいわれた大山(伊勢原市)へ、また大山から富士山への道者達が通ったからです」だって。富士街道は富士山への道だったんだね。ちょいと失礼します。なんかすごく高いところにいるんですけど、子育て地蔵様。

子育て地蔵

瀧:手前の丸いやつ、鍋蓋だ。ここで何かを焼く慣わしのかな?

ー焼いた痕跡がありますね。

瀧:まあでも子ども達を見守ってくれてる感じはあるよね。

ー確かに。高いところから。

瀧:高層のマンションが近づいてきた。もう駅の近くまで戻ってきた?

ーもう近くですね。あ、屋台っぽいラーメン屋がありますね。どうですか? 結局ラーメン食べそびれましたし、最後に一杯。

瀧:いいよ、やってそうだしね。テーブル席もある。じゃあ行ってみようか、タバコも吸える感じだ。ありがたい。すいません、いいですか〜?

店主:はい、いいですよー。

瀧:じゃあ、ビールとラーメンで。

店主:はい、こちら缶ビールです。

瀧:ありがとうございます。じゃあ坂本くん、今日はありがとね。乾杯~。

坂本:いやあ、ありがとうございます! 悔しさが残りましたけど、本当にありがとうございました!

ーでは瀧さん、最後に練馬区とは?

瀧:今夜の虫採りをもって、練馬区とは? って聞かれて、答えていいものか迷うところはあるけど(笑)。天然記念物の石神井公園もそうだけど、なんか昔からのものが結構残ってるじゃんか。駅前はきらびやかになっちゃったけど、ちょっと歩けばスナックとか昭和風情の店とか、古い家屋だってまだまだいっぱいあるし。今はすごく古びた感じに思えるだろうけれど、このスタイルを変えずにちゃんと保存できれば、それらは後にすごく価値が上がるような気もする。江戸風情の残る街の昭和版というかね。だから「近い将来、近代遺産として花開く可能性がある区」にしておこうかな!

 

歩数:7804歩


聞き手・構成/カルロス矢吹

写真/横井明彦

タイトル画/天久聖一

地図デザイン/日高慶太(monostore)

編集/松本貴子(産業編集センター)

協力/藤森大河(株式会社macht)

 

 

編集注:コロナ期間中はマスクを着用。撮影の時だけ周りに人がいないことを確認しながらマスクをとることがあります。

 

 

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