石渡 英和(Hidekazu Ishiwata)

いくひ合同会社代表|日本酒の裾野を広げる|酒蔵並走家|日本酒鑑定官|

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最近の記事

「日本酒で乾杯」をする前に

10月1日は日本酒の日です。日本酒造組合中央会が1978年に定めたそうです。僕が1歳の時からあったのかと驚かされますが、個人的に殊更に意識に上るようになったのは、10年くらい前からのような気がします。 少なくとも、僕が学生の頃、実家の酒販店で日本酒の日をPRしていた記憶は一切ありません・・! 前職の官公庁勤務時代には、来春の内定者の解禁日である10月1日が日本酒の日と重なっていたことと、所属がお酒を扱う部局だったこともあり、内定者の歓迎会と合わせて、この日は日本酒で乾杯しよ

    • モノづくりが自由にできないということ。

      お酒の製造については免許制度があり、誰もが自由につくることができないということに対する賛否が様々な場面で論じられています。とりわけ日本酒は新規での免許取得は実質的には不可能であり、新たに自分でつくるにはハードルが極めて高い業界です。 税収確保の観点、致酔性の問題、既得権益、更には憲法の幸福追求権に反しているのではないかとか、新規参入を拒んできたが故に産業として衰退しているのだ、などなど。いずれの立場からも一理ある議論だと思います。 体制vs民衆という構図はいつの時代にも起

      • ウィズコロナの世界で、君を待つ酒。

        ウィズコロナの社会の中で、人と人との関わり方も変わりつつあります。 気軽に友人とお酒を飲みに行くというのも、簡単にはできなくなってしまい、どこか特別なコトのように感じてしまいます。 古来より、大切な人との付き合いでは、傍らに日本酒がありました。 万葉集に「待酒(まちざけ)」という言葉が出てきます。 『君がため 醸みし(かみし)待酒 安の野に 独りや飲まむ 友無しにして』 この歌は、太宰師大伴卿(大宰府長官の大伴旅人)が、大弐丹比県守卿(大宰府次官の「たぢひのあがたもりのま

        • 制約が創造を生み出してきた日本酒の世界。

          日本酒は、とてもクリエイティブなプロダクトだと思っています。 せっかくnoteのプラットフォームなので、いろんなジャンルのクリエイターの方にとって、ちょっと参考になるかも知れない日本酒の横顔を紹介したいと思っています。 お米から生まれる多様な世界これまであまり日本酒に接する機会がなかった方も多いと思います。 また、日本酒ってどれも似たような味わいだと思っている方も多いのではないでしょうか。 もし、あまり日本酒と縁がなかった方は、一度、気軽な感じで、違ったタイプの日本酒を比

        「日本酒で乾杯」をする前に

          うま味と塩味と日本酒の、別格の世界の心地よさ。

          最近、日本酒と料理とのマリアージュやペアリングがいろいろな雑誌などでも特集されていて楽しいですよね。日本酒は料理と一緒に楽しむことで、より一層世界が広がります。日本酒は型にはまらずに楽しむことができる、自由なお酒だと思います。 一方で、日本酒は長い歴史の中で、その殆どの時間を和食とともに歩んで進化してきました。新しい出会いも刺激的ですが、ずっと連れ添った夫婦のような円熟した深みのある関係からは、心底から温かい気持ちと深い感慨を覚えるものです。 これまで、いろいろな形で日本

          うま味と塩味と日本酒の、別格の世界の心地よさ。

          若者の日本酒離れをあきらめない。

          少し前の資料になりますが、平成29年版の消費者白書で「若者の消費」という特集が組まれ、若者の「車離れ」と「アルコール離れ」がピックアップされました。政府の報告で、この2つが象徴的に取り上げられたというのは、なかなかインパクトがありました。 僕が学生の頃は、自分の車を持てて一人前だと思っていましたし、バーでカッコよくお酒を飲むことに憧れてよく背伸びをしていましたが、そのような感覚も今は昔なんだなと痛感します。「お金を儲けたからと言って、ランボルギーニでオフィスに乗り付けるのは

          若者の日本酒離れをあきらめない。